「やっと私も最終面接に進めた!!」

私のキャリアコンサルタントアカウントには、誰かが「イイね」したツイートがたくさん流れてきます。

今日この原稿を書き始める前にも、Twitterタイムラインに流れてきたツイートを見て「諦めなくてよかったね、年内に内定まで行けるから、お正月はゆっくり休んでね……」と思いながらハートをクリックしようとした手がアカウント名を見て止まりました。

そこには「2023卒」の文字。

そう、3年生の12月上旬に、「やっと」最終面接にすすめたとツイートしていたのでした。

もちろん、キャリアセンターにも早期選考を受ける学生さんたちからの相談はぽつりぽつりと入ってきます。しかしやっぱり少数派。でもこのツイ主さんの周りはきっと、すでに就活の佳境を迎えている人が大勢いるからこその、「やっと」というツイートなのでしょう。

「就活って、いつ始めたらいい?」

「どうやってやればいい?」

「どれくらいまでに終わればいいの?」

こんな質問がどんどん「意味のないもの」になりつつある2023卒就活生にむけて、今年もキャリアセンター相談員として「今年の就活ポイント」を考えてみました!

ポイント①:「コロナ禍は『就職難』には直結しない

【2022年 トラ年の就活】キャリセン相談スタッフの立場で考えてみた

キャリタスを運営する株式会社ディスコが毎年全国の主要企業を対象に調査する「2022年卒採用 内定動向調査/2023年卒採用計画」から、2023卒の新卒採用に向けてどのような動きが出てくるか整理してみましょう。

ポイントのひとつ目は「コロナ禍は『就職難』には直結しない」ということです。

2022卒の先輩たちの就職活動では、先行き不透明感が今年よりも強く、コロナ禍での採用活動も全く手探り状態で企業側も学生側も不安の多いスタートでした。それから1年が経過し、コロナの企業活動への影響もある程度見通しが付き、感染対策をふまえた選考活動にも一定のめどが付きました。

企業の採用意欲は旺盛です。

企業の採用意欲は旺盛です

2023年卒の採用見込みは「今年度並み」が最も多く、従業員規模1000人以上の企業では17.7%が「増加見込み」の一方、「減少見込み」の回答はわずか3.7%。採用見込みだけではなく、採用のための予算を増やす企業も20%を超えるなど、全体的に上向き傾向になっています。

その理由の一つが「2022卒では充足できなかった内定者数」の確保です。同調査では前年よりも内定辞退者が「増えた」企業は41.8%に上っており、内定充足率は平均76.2%と、ともに前年を下回る数値となっています。

アフターコロナを見据えた企業活動の再開を担う人材を確保するために、採用課題となっているのがオンライン面接での「志望殿見極め」です。対面よりも、学生一人一人の志望度を確認することが難しいと感じていたり、対面との印象との違いに戸惑ったりといった意見が多くみられました。

ポイント②:インターンシップは有効だがマストでない

ポイント②:「差」を感じてしまった時は

一方、2023卒の学生のみなさんへの調査データから見えてくるものは「楽観」と「不安」の振れ幅の広さです。

今度は「キャリタス就活2023学生モニター調査」を見てみましょう。

就職戦線の見方についてのアンケートでは、2023年卒の約半数の方が「先輩たちよりもやや楽になる」と回答しています。これは、コロナ禍就活1年目であった前年からなんと8倍の増加です。

だからといって「就活」そのものへの意識が低いわけではありません。

冒頭にご紹介したとおり、「3年生の12月ですでに内定を目前にしている学生」がいるというのも事実です。

その一因がインターンシップです。

インターンシップ参加経験は年々増加の一途を辿り、2023年卒では11月時点でなんと90.6%が「参加した」と回答しています。

企業側も志望度の高い学生を確保するための有効な手段としてインターンシップに期待を寄せています。

オンラインで実施できるインターンシップコンテンツが増えたこともあり、地方学生も参加しやすいインターンシップが開催されるようになった影響が大きいでしょう。

企業にとっても学生にとっても「良いもの」に見えるインターンシップとそこからの早期選考ですが、デメリットもあります。

それはインターンシップ参加有無が大きな「差」に見えてしまうという点です。

9割の学生がインターンシップに参加した、というアンケートを見て、参加しなかった学生さんは非常にショックを受けるでしょう。部活やアルバイト、勉学に集中していて「もう就活が始まっているなんて知らなかった」という方は毎年多くいらっしゃいますが、特に今年は「差」が激しいように感じます。

しかし、たとえこれまでインターンシップに1社も参加していなかったとしても、それにショックを受ける必要はありません。2023年に「インターンシップに参加しなければ選考を受けられない」という選考スタイルが主流になることは絶対にありません。そして、採用活動は昨年に引き続き2023年も「長丁場」になることが予想されます。

「自分が就活にしっかり取り組める時期」を選んで就職活動をすることに、自信をもつことが大切です。

ポイント③:意識して「言葉にする訓練」をしよう

ポイント③:「なんとなくしっくりこない」問題を解決するために

先ほどご紹介したアンケートに、興味深い質問項目がありました。

「インターンシップに参加した結果、就職したいと思った企業があったか」という質問です。

8.6社のインターンシップに参加し、そのうち「就職したい」と思った社数は2.8社。これを「多い」と思うか「少ない」と思うかはそれぞれですが、重要なのは「なぜ就職したいと思ったか」と同時に「なぜ就職したくないと思ったか」ということを、言語化しておくことです。

特に「人が良かった」という抽象的な、比較が難しいポイントを重視しているなら「どういう点でA社の社員は人が良いと感じられなかったのか』を説明できるようにしておきましょう。

「なんとなくこの内定先でいいのか不安」

「うまく説明できないけどしっくりこない」

こんな理由の「就活を終われない」相談が増えないように、意識して「言葉にする訓練」を積み重ねておいてくださいね!

※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。



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