常に笑顔100%、明るくハキハキした受け答え、
どんな相手にも対応できる…それがコミュニケーション能力!!
…だと思っていませんか?
「どんな会社でも、求める人物像のところにコミュニケーション能力って書いてあるやん…」とショックを受けてしまったみなさま、安心してください。そういう意味ではありません。

「私ほんとにコミ障なんで、事務しかできないです! 一般職がいいです。
転勤とか営業とか考えるだけでぞっとします」
こんなご相談を毎年多くの学生さんたちから受けるキャリアセンター相談員として、「コミュ障=事務系」という、「就活の大誤解を解くシリーズ」第2弾をお届けします。
※連載第1回「接客はしたくない。だから小売・流通業は避けています!」はこちら
「コミュニケーション能力」とは何なのか?

「コミュニケーション能力に自信がありません…」
という方も、
「自己PRのテーマはもちろんコミュニケーション能力!」
という方も、
同じように誤解しがちなのが「コミュニケーション能力とは何か」という点です。
コミュニケーション能力について、こんなイメージを持っていませんか?
その1
「友達や、仲間が多いこと」
その2
「明るくて、誰とでも仲良くなれること」
その3
「初対面の人とも緊張せずに自分から話しかけられること」
その4
「相手の気持ちを理解して、寄り添ってあげられること」
確かに、コミュニケーションは「人と人との関係性」のなかに生じることですから、コミュニケーション能力がある方が、このような特性を持っているケースは珍しくないでしょう。
しかし、「コミュニケーション能力」とは本来、そういう性格的なことや、気質的なポイントを言うのではありません。
コミュニケーション能力とは、「人を、自分が期待している方向に、動かす力」のことです。
「口数が少ないが、自分が率先して取り組むことで周囲を巻き込む」タイプも、「非常に高圧的だが説得力があり、相手が断ることができない状況を作り出す」タイプも、同じように「コミュニケーション能力」があるといえます。
しかし、一般的には「北風と太陽」の寓話があるように、「相手の状況によりそい、自分の意思で行動すると決めたかのように感じさせること」が全体的に円滑に人間関係を構築する可能性が高いため、「共感」がクローズアップされがちなのです。
実際の「事務職」

今度は「事務職」の誤解についてです。
①
「パソコンに向かって、決められたことを黙々とこなす仕事
②
「残業やノルマといった厳しいことがない仕事
③
「特別な能力や強いやる気がなくてもできる仕事
④
「自然と経験やスキルがついていく仕事
⑤
「チームで取り組むから、自分一人で責任をとらなくていい仕事
一般職や、事務職についてこのようなイメージをお持ちの方が少なくありません。
しかし、「仕事によって全く違う」のです。
①
「パソコンに向かって、決められたことを黙々とこなす仕事」
→営業補佐として商品をお届けしたり、在庫管理のため倉庫で力仕事をしたり、一日中お客様からの電話応対をするといった仕事もある
②
「残業やノルマといった厳しいことがない仕事」
→例えば決算期前の経理部の忙しさは通常と比べ物にならないし、1日に処理しなければならない書類の数が決められていることもある
③
「特別な能力や強いやる気がなくてもできる仕事」
→例えば経営企画室や法務部など、専門性の高い知識を求められるうえに、毎年のように新しい法令を確認して覚え直すことが求められることもある
④
「自然と経験やスキルがついていく仕事」
→専門部署だからと言って「どんな会社にも通用する知識やスキル」が自然と身につくわけではない。「その会社で使っていたシステムが古くて他では使えない」というケースさえある
⑤
「チームで取り組むから、自分一人で責任をとらなくていい仕事」
→完全分業で、「この仕事は○○さんだけが扱う」という会社もある
どちらが多数派か、という問題はありますが、「事務職」は一言では説明できないほどさまざまな働き方があることを意識しながら企業研究を進めましょう!
それでもコミュ力に自信がない方へ

「とにかく面接は受けなきゃいけないけれど、コミュニケーション能力にはまるで自信がない…」
そんな方は、大学キャリアセンターなどで実施される模擬面接や個別相談で「面接のロープレ」を依頼してみましょう。
面接は慣れればなれるだけ上手になっていくものです。自分が納得できる「コミュニケーション」方法を表現できるように、意識して自分の過去を思い出してみましょう!
コミュニケーション能力は比較的身に付けやすいスキルです

コミュニケーション能力は持って生まれた性格や気質と関係なく、ある程度「人を動かす方法」を学び、自分にあったやり方を知ることで能力として後天的に身に付けることができます。
また、「明るく元気!」は一般的には「良いこと」とされますが、そういうタイプが苦手な方もたくさんいます。「誰にでも明るくなんて振る舞えないから、私にはコミュニケーション能力なんてない」と思う必要はないのです。
「冷静かつ論理的に考える能力」が相手を動かすコミュニケーション能力になる職場もあれば、「スピーディーに作業を処理する能力」がコミュニケーション能になる職場もあります。
「コミュニケーション能力に自信がないから私は事務職」は二重の誤解があることを理解していただけたなら、仕事内容についてもっと深く研究してみましょう。
仕事選びのきっかけは、「好きなもの」でも構いません。その会社に入社したら、「自分は」何をするのか? 具体的に「できる」と想像できる仕事なのかを情報収集します。
「その会社で日々の仕事をしている私」が想像できるなら、あなたの「コミュニケーション能力」が活かせる会社だということです!
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
沼田絵美さん連載記事
就活の誤解が解けるおまじない
- 第1回 – 接客は向いてない。だから小売・流通業は避けています!
- 第2回 – コミュ障なんで事務職希望。っていうか他にあります?
- 第3回 – 企画の仕事がしたい! マーケもいいですね!
- 第4回 – 安定した仕事ランキング(文系学生におすすめ)を教えて!
- 第5回 – 私服OKの面接…服装は何が正解なの?
- 第6回 – 成長とやりがい!となるとスタートアップ?
- 第7回 – コロナの就活への影響は 今私が伝えられること
- 第8回 – 2021年 ウィズコロナ就活はどうなる?
- 第9回 – 就職浪人する理由は?不利になる?
- 第10回 – 「地元へ残りなさい」 と言われたらどうする?
- 第11回 – CAの夢、諦められないあなたに知ってほしいこと
- 第12回 – SDGsを就活の軸に 志望動機は? 企業の探し方とコツ
- 第13回 – あえて就職偏差値を深掘りしてみた
- 第14回 – 2022年 トラ年の就活を占う
- 第15回 – 「コロナで自己PR・ガクチカが書けない」
- 第16回 – 2023年 ウサギ年の就活を占う
- 第17回 – 将来も安定した仕事とは? ChatGPTでますます増えたこの悩み
この記事を書いたひと

キャリアコンサルタント&フリーライター。超氷河期時代の就活を経て人材広告会社の営業に。退職後は大学キャリアセンター相談員や採用支援のお手伝いなど、かれこれ20年間「就職・採用」界隈でご飯を食べている個人事業主です。