やっぱり公務員試験受けたほうがいいんじゃない?
後期の単位残して、来年早めに就活したいんだけど
学費はどうするの?
就職浪人ってなに??
キャリアセンターでも、毎年複数の学生さんから「就職浪人」について相談を受けます。
「就職浪人」について悩んでいる学生さん、困っている保護者の皆さんに就職浪人について提供している基礎知識をご紹介します。
就職浪人ってどうなの??本当のところが知りたい!
「キャリアセンターとして、就職浪人を勧めますか?」
と聞かれた場合、多くのケースで「勧めない」と答えるケースがほとんどでしょう。
これは「大学として就職率が大事だから」ということではなく、過去の経験上「実際に就職浪人をして満足な結果をつかみ取った事例」と「同じような失敗を繰り返した挙句、非正規労働を選択することになった事例」では、後者のほうが多いという理由が一つ。しかし、目の前の学生さんが「成功事例」にならないという確証などもちろんありません。
そもそも、「就職浪人」自体は履歴書に記載されるわけでもなく、例えば病気や留学などでの留年や休学が一概に不利になるわけではないことと同じで、「就職浪人は絶対に不利だ」というものではありません。
採用選考する企業としても「浪人留年休学合わせて2回まで」は書類選考上で一律に不利とされるケースは少ないです。(それ以上の回数は選考途中で理由を必ず確認されます)
そういう意味では、「就職浪人」=絶対的に辞めた方がいい というものではないと言えます。
しかしそれでも、ほとんどの方には就職浪人を勧めないのは、就職浪人したい理由が以下の3点の理由のいずれかであることが9割以上だからです。自分に、我が子に以下の理由が当てはまっていれば、就職浪人を回避するようにお勧めしたいのです。
就職浪人したい理由その1「今から就活したって遅い」
就職浪人を相談されるケースでいちばん多いのは、「今から始めても間に合いませんよね……だから諦めて就職浪人しようと思います……」というケースです。
場合によっては、「え?むしろ今から始まるんだけど??」という4年生進級直前の3月にそんな相談が来たりします。内定式が行われる10月以降であっても、卒業式直前の年明けであっても「いやいや!まだまだ諦める必要ないから!!」と言えます。
確かに、就職サイトを検索しても自分の希望勤務地で絞り込むとヒットせず、興味がない業種が数件あるだけ。合同企業説明会の案内は次の学年が対象になっている……というのを見るとあきらめたくなります。
しかし、キャリアセンターへの求人票は来ています。
特に後半になればなるほど「あと少しの欠員補充なので、大学の求人票だけ募集をして数人面接をしよう」という企業の割合が増えるのです。キャリアセンターにさえ来てくれれば、紹介できる求人はたくさんあるのに!と待っているのです。
実際、文科省が毎年調査している「就職内定状況調査」でも、10月1日時点では「50%~70%」だった内定率は、卒業時点の4月1日まで上昇を続け、最終的に90%台にのります。2020年3月卒業者の数字は98%でした。景気環境によって数値は変動しますが、最悪な環境下でも最終的に9割に届くのです。
「諦めさえしなければ、ぎりぎりまで就職の門戸は開いている」ということを知ったうえで、決断してほしいと思います。
就職浪人したい理由その2「景気が悪い」
2021卒の皆さんは、新型コロナウイルスの影響を受けて就活することになります。
確かに、求人倍率の伸びは止まり、10月時点の内定率もその前年までの増加傾向から一転して7ポイント下落しています。
しかし、この点から言えば「翌年以降景況感が改善する」根拠は何一つありません。
昔から採用に関する景況感は数年単位で変わっていくものです。1年先送りすることに意味はなく、「いつ就職したか」よりも「どのように就職したか」が大切です。
就職浪人したい理由その3「諦められない会社がある」
就職に対して熱心に向き合ってきた人だからこその理由もあります。
入社を熱望していた会社について、本当に惜しいところまで選考が進んだにもかかわらず、惜しいところで不採用になってしまった場合です。「もう一度チャンスが欲しい。次こそしっかり企業研究やOB・OG訪問に力を入れて、次こそ内定を得よう」と考えたくなります。
しかし残念ながら、この「リベンジ」が成功したというケースはほとんど聞きません。
会社によっては、一度不採用になった人物は書類選考も突破させないこともあります。
この理由の皆さんにお伝えしていることは、「新卒というマーケットではなく、中途採用というマーケットでリベンジしよう」ということです。
中途採用を一切行わない、という会社はほとんどありません。数年後その会社に優秀な転職者として迎え入れてもらうために、どのようなマーケットでどのような経験を積むか考え、就職活動するという方法のほうが、最終的な成功率は高くなります。
「親世代の常識」で判断しない
これまで、「就職浪人したい」に反対する3つの理由をご紹介しました。9割の方はこの3つのいずれかの理由に当てはまります。
しかし、これ以外の理由で就職浪人を選ぶ方もらっしゃいます。
例えば、就職するという選択肢ではできない、ほかにやりたいことがあるから、就職自体を遅らせたい、というケースです。
就職浪人にデメリットがあることを承知のうえで、それでもやりたいことを貫きたい。そういう場合は、「親世代の常識」で判断せず、不安な気持ちを子どもにぶつけるのではなく「今世の中はどのように動いているのか」一緒に情報収集して発散させましょう。
大学などの学校側にも、保護者向けの相談窓口を用意しているケースがあります。ぜひ活用してください。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
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この記事を書いたひと
キャリアコンサルタント&フリーライター。超氷河期時代の就活を経て人材広告会社の営業に。退職後は大学キャリアセンター相談員や採用支援のお手伝いなど、かれこれ20年間「就職・採用」界隈でご飯を食べている個人事業主です。