「総合商社なんて就職偏差値高すぎて受かる気しない」

「大学受験みたいに、就職偏差値出せる模試があればいいのになー」

どんな会社を受けたら内定可能性が高いのか、偏差値のようなわかりやすい基準があったら就職活動がちょっとは楽になるんじゃないかな……そんな気持ちで「就職偏差値」と検索したこと、ありませんか?

自分はどんな会社に入れるんだろう?と気になった先輩たちが、インターネット掲示板上で「就職偏差値ランキング」を作って各企業の難易度を付けてみる……といったことは昔から続いています。

それを見ると、次に気になるのが「自分はどんな会社に入れるのかな?」ということ。

「自分の立ち位置を客観的にチェックしたいけれど、何か方法はありませんか?」

そんな要望をたくさん聞いてきたキャリアセンター相談員として、「就職偏差値の出し方」を考えてみました!

たくさんの評価指標のなかで、客観的にチェックできるものは何?

そもそも「偏差値」とは集団の中である数値の位置を相対的に示す値のこと。ペーパーテストの場合、すべての受験生が同じ条件のテストを受けるからできる比較です。

一方、就職活動では「何を比較するポイントにするか」が企業や職種、場合によっては面接官によって異なります。この「評価基準が異なる」のが就活の難しさの原因のひとつです。

とはいえ、多くの仕事で評価されやすいポイント、重視されやすいポイントはあります。それらの共通するポイントをどれだけ備えているかを「集計」してみると、いわゆる偏差値に近い表現ができるかもしれないな……と考えました。ポイント数は「希少性」と「一般的に企業から評価されやすい項目かどうか」を考慮してつけています。

注:この指標やポイント数がすべての企業に共通して判断できるというものではなく、あくまで私が20年間採用・就職支援に関わる中で「比較的一般的である」と考えたものです。

注:各ポイントの数値の付け方も、あくまで参考程度にお考えください。

卒業大学や学部、資格・語学力や成績などの「わかりやすい指標」

まずわかりやすいのは所属する大学と学部です。

※以下の数値はあくまで参考値です

・大学: 5ポイント ~ 40ポイント
・学部: 1ポイント ~ 8ポイント

※どの大学や学部が何ポイントか、今回記載しません。地域や業種、個々の会社によって評価が大きく変わるからです。大学名で全く差はない、という企業も少なくありません。しかし一方、特定の大学は学内合同企業説明会参加社数が多い、キャリア支援が充実しているといった就活上での有利不利な条件に差が出てきます。

その他、以下のような指標が挙げられます。

※以下の数値はあくまで参考値です

・一般入試(推薦やAO入試ではない)で合格: 2ポイント
・進学先は、住所や偏差値関係なくやりたいことで選んだ: 3ポイント

・GPAが3.5~: 5ポイント
・GPAが3.0~: 3ポイント
・GPAが2.5~: 1ポイント

・体育会運動部所属: 8ポイント
・卒論必須のゼミナールに所属: 5ポイント
・20年以上の歴史があるサークル、文化系部活に所属: 2ポイント
・全学年で100人以上のサークル、文化系部活に所属: 2ポイント
・小規模(一学年数人)、歴史の浅いサークルに所属: 1ポイント

・英検1級 or TOEIC810ポイント以上 or TOEFL iBT91ポイント以上: 8ポイント
・英検準1級 or TOEIC700ポイント以上 or TOEFL iBT80ポイント以上: 5ポイント
・英検2級 or TOEIC500ポイント以上 or TOEFL iBT50ポイント以上: 1ポイント
・資格はないがビジネスレベル以上の語学力がある(英語に限らず): 5ポイント
・宅建、簿記二級~など志望する業界や職種に関連する資格を取得した: 5ポイント

・学位取得できる正規留学経験がある: 10ポイント
・学校での正規交換留学プログラム(半年以上)に参加した: 5ポイント
・半年以内の語学留学、ワーキングホリデーを経験した: 3ポイント

習慣や意欲などの「わかりにくい指標」

身についた習慣や意欲などは内定獲得に大きく影響しますが、数値化が難しい項目です。これらを推測できるような客観的事実をピックアップしてみました。

※以下の数値はあくまで参考値です

・一人暮らしをしている: 5ポイント
・親兄弟と高校までの先生以外の大人に真剣に叱られた事がある: 3ポイント
・レポートや課題は締め切りにいつも余裕をもたせて仕上げている: 2ポイント
・レポートや課題でWEBからのコピペをするときはきちんと出典を書く: 2ポイント
・文章を書くことが得意だと思う・好きだと思う: 2ポイント
・10歳以上年の離れた友人がいる: 2ポイント
・「ガイアの夜明け」などビジネス系ドキュメンタリーが好き: 2ポイント
・月に2冊以上本(雑誌・漫画・娯楽系除く)を読む: 2ポイント
・初対面の大人と会話するのが好き: 2ポイント
・就職活動のスーツはきちんとお直しをした: 1ポイント
・1年以上続いているアルバイトをしたことがある: 1ポイント
・ズボンプレッサー、靴磨きなど身支度用品を持っている: 1ポイント
・姿勢が良いと人にほめられる: 1ポイント
・子どものころからきちんと金銭管理ができる: 1ポイント
・遅刻をすることはほとんどない: 1ポイント
・PCやスマホはバックアップをとる習慣がある: 1ポイント

就職活動でも作れる「プラス指標」

「人気企業の内定を獲得する=高就職偏差値」のためには、就職活動の仕方や過程もプラス指標になります。

※以下の数値はあくまで参考値です

・SPI模試では全分野上位50%に入っている: 3ポイント
・インターンシップ選考に合格した: 3ポイント
・OB/OG訪問を10人以上している・する予定: 3ポイント
・OB/OG訪問を1~9人している・する予定: 2ポイント
・エントリーシートを親、友人以外にチェックしてもらった: 1ポイント
・大学への書類提出は全てきちんと行っている: 1ポイント

意外と重要な「マイナス指標」

就活をするうえで、マイナス評価につながりやすい項目もあります。避けられること、直せることで失ポイントしないよう気をつけましょう。

※以下の数値はあくまで参考値です

・BMI(肥満度)が30以上: マイナス3ポイント
・喫煙者である: マイナス1ポイント
・浪人留年合わせて3回以上: マイナス5ポイント
・実は4年生での卒業単位取得がギリギリ: マイナス1ポイント
・企業選びのポイントは研修が充実していること: マイナス1ポイント
・企業選びのポイントは働きやすさ: マイナス1ポイント
・企業選びのポイントは社風のよさ: マイナス1ポイント
・エントリーはメジャーなサイト1、2箇所からしかしたことがない: マイナス1ポイント
・合同企業説明会は友人と一緒に行く: マイナス1ポイント
・文字数が長いESは大変なので応募を避ける: マイナス1ポイント

一番大切なことは「仕事への理解とマッチング」

就職偏差値を考えるうえで、企業が採用に当たって「参考にするポイント」の一部を紹介しました。

しかし、最初に書いた通り、実際は企業によって評価項目も、そのポイント数も異なります。そのため「総合偏差値」として計算できる形では紹介しませんでした。

気が付いていただきたいことは「一つの項目で、就職のしやすさが決まるわけではない」ということです。

就職活動に「〇〇学部だから圧倒的不利」「なぜ部活に入らなかったんだろう」「資格ももってない」といった後悔をする必要はありません。

そして一番大切なことは「この会社はどんな評価基準で選考するのか」を真剣に考えることよりも、「この会社に入社したら、半数以上の人が担う中心的な仕事はどのようなもので、私はそれができるだろうか?」と考えることです。

大学入試でも「偏差値はずっとA判定だったのに不合格」「C判定だったが追い込みで奇跡が起きた!」ということがあるように、大学名や部活、留学などで「高ポイント」を持っていたからといってすべての企業の内定が出ることもありません。すべての仕事に向いている人などいないからです。

なぜご紹介したチェック項目が評価されるのかを考えながら、「今からできるプラスポイントの積み重ね」に目を向けてみてくださいね!

※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。



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