「いきいきと仕事をしている社員さんが大勢いる会社で一緒に働きたい。そのためにはスタートアップ・ベンチャー企業がいいと思う!」

仕事や就職に対しての期待にあふれた、優秀な学生さんが大勢いらっしゃることは、キャリアセンターの相談員としてとても嬉しいことです。

その一方、「いやいやいやその思い込みはちょっと待って・・・」と心配になってしまうのが「スタートアップ・ベンチャー企業」に対する思い込み。

「・・・良いスタートアップってどう探せばいいですか?」

こんなご相談を毎年多くの学生さんたちから受けるキャリアセンター相談員として、「就活の大誤解を解くシリーズ」第6弾をお届けします。

スタートアップ・ベンチャー企業ってそもそも何だ?

スタートアップ・ベンチャー企業って何だ?


中小企業基本法でその定義が定められている「中小企業」と異なり、ベンチャー企業・スタートアップともに法的な定義はありません。

強いて言えば、ベンチャーが和製英語なのに対して、スタートアップは英語でも通じる言葉です。

  • 設立から数年程度の若い会社であること
  • 革新的な新しいサービス分野に取り組んでいること

が多くの場合の共通点ですが、設立10年以上でも「ベンチャー企業」と自称するケースもあります。

どちらかと言えば、「挑戦者」的立場でマーケットに参入する姿勢や意欲といった特徴を重視しているのかもしれませんね。

そのような「成長過程」にある組織に身を置けば、自分も一緒に成長できるような気がする・・・と感じるのは自然なことですが、実際には「やりがい」にあまり関係ないかもしれません。

社員全員やりがい感じている=僕も私も?

社員全員やりがい感じている=僕も私も?


スタートアップでは、社員数は比較的少なくなります。

そのため、経営者も含めて「社員全員の顔と名前が一致している」という環境で仕事ができるでしょう。つまり、一体感を持ちやすい環境だということです。

しかしそれはスタートアップに限った話ではありません。大手企業でも部署や支社単位の人数は少ないことは珍しくありませんし、スタートアップではない一般の中小企業でも同じことです。



新しいサービスや価値観を世の中に提供しようとする強いパワーを感じるという方もいらっしゃいます。

しかしこれも、スタートアップでなければ叶えられないということはありません。

「説明会で会ったOB・OGの方たちや、会社訪問やインターンシップでお会いした社員の方たち。皆さんやりがいがあって仕事が楽しいと口々に仰っていました」

これは確かに憧れますね。「ほぼ社員全員と接することができた」というのも、「入社してみたら雰囲気が全然違った」というリスクを小さいものにすることができそうです。

しかし、これにも誤解があります。

「やりがいを感じているチームに所属すれば、だれでもやりがいを感じることができる」わけではありません。

例えば、全国大会に毎年出場するような吹奏楽部があったとしましょう

例えば、全国大会に毎年出場するような吹奏楽部があったとしましょう


メンバーは全員、熱心に練習に取り組み、本番の結果に涙し、感動し、卒業後も連絡を取り合う固い絆に結ばれているとします。

その吹奏楽部に、

「楽器も触ったことがないどころか、音楽に興味は一切ない。コツコツと技術を積み重ねること、周囲の様子を把握して強調していくことにも苦手意識がある。得意なことは体を動かしたり自分で工夫して新しい取り組みをすること」

という人が入部したとしたら、どうでしょうか。

果たして、「音楽が好きで、吹奏楽が好きで・・・」というメンバーに囲まれて、同じようにやりがいを感じることはできるでしょうか。

仕事も同じです。

「やりがいを持ったメンバーに囲まれること」以前に、「取り組む仕事そのものに興味を持てるか・求められる水準で働くことができるか」が重要なのです。

そのうえで、「こんなメンバーとだったらもっと楽しく過ごせるだろう」という点を最終的な内定先を選ぶ一つの目安にすることは大いに賛成します!

「私が感じるやりがい」の見つけ方

「私が感じるやりがい」の見つけ方


「私はやりがいを持って仕事に取り組みたい!」ぜひ、その希望をかなえていただきたいと私たちは考えています。

すべての人に共通して感じられる「やりがい」はありません。

例えば、アルバイトで同じ「塾の講師」を経験していたとしても、

  • トップレベルの高校を受験するクラスを担当させてもらったことに自信を持った方
  • 勉強大嫌い、0点も当たり前だった生徒を高校合格に導いて感動した方

それぞれ感じたやりがいは異なるはずです。

自分がこれまで選んできた生活の中で、何に「面白味」を感じて、何に「他の人よりも少し得意だな」という感想を持ったかが重要なヒントになります。

自分で考えても、ぼんやりしていてつかみどころがないなあ・・・と思っている方は、ぜひ「新入社員のうちからいろいろな種類の仕事に取り組める会社」の仕事を研究し、先輩社員が「やりがい」と感じるツボがそれぞれ違うことを発見してみてください。

※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。






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