ここ数年就職活動での「企業選びの軸」「志望動機」としてSDGsを挙げる学生さんが増えています。
それと同時に、こんなご相談が増えてきました。
● SDGsに関係する会社を探したいけれど、どうやって探せばいい?
● 志望動機でSDGsについて書いたら、OB・OG面談でダメ出しの連続
● そもそも何のためにSDGsに取り組みたいと思っているか、自分でもよくわからなくなってきた
今回は「SDGsを就活の軸にしたい!」とお考えの就活生向けに、自分の希望を明確化して、志望先企業を探す方法と考え方のコツをお届けします!
SDGsって志望動機や軸にしている学生ってどれくらいいますか?
まず、2020年卒の就活生に行われたインターネット調査「22卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」(株式会社ベイニッチ調べ)を紹介します。
このなかで、17.3%の学生が「SDGsに対する姿勢や取り組み」を挙げています。少数派ではあるものの「有名企業であるかどうか」という回答を上回る票が入っていることに注目です。
この回答をした17.3%の方に、さらにその理由を聞いています。
● 企業の社会的役割を重視したい:55.8%
● 将来性のある企業だと判断できる:52.6%
● コロナ禍で持続可能なビジネスモデルの必要性を実感したから:40.0%
● 企業イメージが良く、親しみが持てる:38.9%
● 働きがいがある:35.8%
● 企業の方向性が明確である:30.5%
● その他:3.2%
今、ここまで読み進めてくださっている方も、共感できる理由があったのではないでしょうか。
「あなたはなぜSDGsへの取り組み方を企業選びの軸にしたのですか」にどうこたえるか
就職活動の軸に上がるほど認知度が高くなったSDGs。ですが、SDGsを達成するために「今、自分で」具体的な活動に取り組んでいるという方はそう多くはありません。
「世界で取り組まなければならないような、大きな問題に自分一人の力ではどう立ち向かっていいかわからない」と感じてしまうのが正直なところではないでしょうか。だからこそ、大きな組織として取り組んでいる会社の一員になることで、貢献したい。そう考えていらっしゃる方も多いと思います。
SDGsを志望動機や就職活動の軸として「PR」するときの難しさがここにあります。
志望動機でも自己PRでも、面接の基本は「本人が話したことを確認する」の繰り返しです。
● SDGsに取り組みたいと考えるようになったきっかけは何ですか
● あなたはなぜSDGsへの取り組み方を企業選びの軸にしたのですか
● これまで、もしくは現在個人として取り組まれている、SDGsにつながる活動があれば教えてください
● たくさんの企業のなかから、なぜ当社のSDGs活動に注目されたのですか
● 直接的にSDGsに関わらない部署への配属となる可能性についてどのように思われますか
● SDGs17の目標のうち、あなたが特に関心を寄せるものとその理由について教えてください
● あなたの考える持続可能なビジネスとはどのようなものか聞かせてください
これらの質問を通して、企業は「学生が入社後、熱意をもって取り組めることは何か」イメージしようとします。そして、それが「自社で取り組んでほしい業務と合致し、それを担う能力があるか」確認する作業が質疑応答です。
つまり「今はまだ具体的に行動していることはないけれど、SDGsに関わってみたいという興味」だけでは、価値観や将来の目標などが確認しにくいのです。
一方、ボランティア活動などでSDGsに学生時代熱心に取り組んできた方の場合、熱意や行動力をアピールするのは比較的難しくありません。
この場合起こりやすいのは「不一致」です。SDGsには17の分野があります。どの分野に、どのように取り組んでいるかは企業によって様々です。
「意欲はあるが、そういうことがしたいなら、当社ではなく他社の方が良いのではないか」と言う理由で選考に落ちてしまうこともあります。
大切なことは、その会社の本業、つまり新入社員として入社して過半数はその業務に就くであろうというメインの仕事に取り組むことが、自分の理想とするSDGsを達成することにつながると考えられるかどうか、です。
で、結局企業探しはどうしたらいいですか
「SDGsに注目した企業探し」をする場合、二つのパターンに分けて考えましょう。
①「SDGsに貢献する企業に将来性を感じる、社会貢献度が高い企業で働きたい」場合
②「SDGsの特定分野の目標達成のために、直接的に働きかけたい」場合
この2パターンです。それぞれ探し方が異なります。
「SDGsに貢献する企業に将来性を感じる、社会貢献度が高い企業で働きたい」場合
「SDGsに貢献すること自体が、企業の業績に繋がる」いわゆる安定や未来の成長に魅力を感じているケースです。
実際、世界の投資会社は投資判断に環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を組み込んでおり、その基準をもとに投資先を選定しています。
この視点で企業探しをする場合は、SDGs投資信託商品の投資先に選定された企業や、公的な取り組み事例を調べてみましょう。 例えば、外務省「JAPAN SDGs Action Platform」(令和4年3月末で掲載終了)では、さまざまな企業の取り組み事例を紹介しています。
そのうえで、自分がその会社の「本業」でどのように貢献できるか考えなければなりません。
「SDGsの特定分野の目標達成のために、直接的に働きかけたい」場合
この場合、分野によって「一般企業での就職」がしやすいもの、難しいものがあるかもしれません。
まずは自分の興味のある分野での「困りごと」をどのように解決すればいいか、就職とは関係なく調べてみることです。
例えば気候変動対策に、日本の技術がどのように貢献しているか調べてみる。
貧困家庭への支援策を講じている団体にどのようなものがあるか調べてみる。
少し遠回りのように感じるかもしれませんが、リクナビやマイナビなどの就職サイトを見ているだけでは絶対に気が付かない出会いがあります。
世の中に貢献していることを実感したい
どんなに売上高が大きな会社に就職したとしても、その会社の中で自分が「役に立っている」という実感がないのは辛いものです。
SDGsを「自分ごと」にするためにも、「私が働く8時間を使って、喜んでもらえることは何か?」という視点でたくさんの仕事を見てみましょう。あなたが2030年の目標達成を支える一員として活躍できる場を見つけられるよう、応援しています!
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
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この記事を書いたひと
キャリアコンサルタント&フリーライター。超氷河期時代の就活を経て人材広告会社の営業に。退職後は大学キャリアセンター相談員や採用支援のお手伝いなど、かれこれ20年間「就職・採用」界隈でご飯を食べている個人事業主です。