完璧な自己PRを求めるのはおすすめしない理由

お悩みナンバーワンの「自己PR」をつくるためのコツをつかむ連載の2回目。

前回は、自分も相手も納得できる強みの見つけ方についてお伝えしました。強みを見つけるために効果的な質問を、復習しておきます。

1.自分の良いところや個性は?(人に聞く)

2.これまで長い時間かけたことや、長くいた環境で、伸びた力や得た経験は?


3.過去上手くいったことは、自分のどんな力によってうまくいったのか?

このような質問で整理して、自分の強みがいくつか見えてきた!と思っても、さらに完璧な自己PRを求めて、自分探しの旅に迷い込んでいく人がいます。

自分のことがわかっていくのは面白いので、ハマってしまう気持ちもわかります。でも自己PRは相手との信頼をつくるためのものですから、ある程度メドがついたら、次は自分よりも「相手(企業)」を調べていくのが効果的です。

企業の情報はWebサイトのほか、直接社員と話せるようなインターンや説明会、業界地図(業界の全体像や動向が書かれているもの)などいろいろありますが、そもそも「なんで自己PRなのに企業を知るの?」という感覚をつかんでほしいです。

相手の好みの人物像を知ることが大切なのは恋愛と同じ

相手の好みの人物像を知ることが大切なのは恋愛と同じ

自己PRなのに、自分より相手を調べるのがなぜ大事なのか。

就活=恋愛

自己PR=好きな人へのアピール

と置き換えて考えます。

あなたがいいなと思っている人には、自分の良いところを知ってもらって好感を持って欲しいですよね。

そのために、その人がどんなことに興味があり、どんなことに価値を感じ、どのような付き合いを求めているのかを知った上でアピールをした方が効果的だと思いませんか?

たとえば、アクティブで一緒に色々な場所に出かけられる恋人を求めている相手に、わかりやすく自分の優しさを伝えても、あまり響かないかもしれません。でも、相手の好みの人物像を知っていれば、そういった引き出しもあるかもしれないのです。

企業にも「こんな人がいい」という人物像があります

就職活動に話を戻すと、あなたがいいなと思う企業があるのと同じように、企業にも、「こんな人がいい」という人物像があります。

その人物像や、なぜそういった人を求めているのかということを理解してコミュニケーションをとったほうが、相手と良い関係をつくりやすくなります。

相手に合わせて嘘をつくということではありません。

入社すれば長い付き合いになるわけですから、自分にないものをあるように伝えるのは誰も得しませんからね。

相手を知ることで、相手目線に立って、自分のどの引き出しを見せるか、どう伝えるかということを調整したり、検討したりできるようになるということです。

企業のことがより深くわかってくる質問

企業のことがより深くわかってくる質問

相手がいいなと思うことを理解していくために、私はこのような質問で整理していきます。使ってみて下さい。

1. この企業はどのような商品・サービスを提供している?

2. この企業の顧客は誰?どんなことを期待している?


3. この企業が事業を運営するために、どんな仕事がある?

4. 仕事で大変なことや難しいことはどんなこと?

5. その仕事で成果を上げられる人/顧客の期待に応えられる人はどんな人?

6. 自分のどういった強みを活かせそうか?

1~5までの質問は、企業のことを調べていかないとわかりません。そこまで知ったことを、6の自分の強みと結びつけることができれば、相手が聞いたときにピントが合っていると感じる話になりやすいでしょう。

ちょっとしたことですが、丁寧にこういった情報整理をするだけで差がつきやすいです。

さらに発展として、この企業が、他に同じような商品やサービスを提供している競合となる企業と比べて、どんなことを強みとしているか?ということまで理解できれば更に踏み込めます。その強みに対して、更にプラスになるあなたを伝えることができるかもしれません。簡単な例文を紹介しておきます。

御社は商品点数の多さが強みとお聞きしました。


人が喜ぶ提案をすることに自信があるので、売り場の商品をいち早く頭にいれ、お客さまの求めているものを会話からくみ取って、喜ばれる商品提案ができるスタッフとして貢献したいです。

もし自分の調べられる範囲では、なかなか情報がないな・・・と思ったら、わからない部分は説明会、OB訪問、面接などで聞いたり、店舗がある企業なら足を運んで調べたりして、自己PRもどんどん磨いていきましょう。初めからパーフェクトである必要もありません。

企業・お客様の役に立てることは何かを考える人の方が好かれる

企業・お客様の役に立てることは何かを考える人の方が好かれる

自己PRを考えるとき、私たちは自分視点で考えがちです。

もちろん自分の強みの理解は大事ですが、結果につながるコミュニケーションが取れるのは、自分の話したいことを一方的に披露する人ではなく、相手のことを知る努力をして相手に役に立てることを考え、欲しいものを差し出せる人です。

どうしても自分にベクトルが向きがちな就職活動ですが、そこで「もっと相手を知ろう」という感覚を大事にすると、自己PRに限らず、企業の面接官と良いコミュニケーションがとれるようになります。ぜひ意識してみてくださいね。

次回は自己PRの仕上げのポイントとして、「未来を語る」というコツを紹介していきます。

※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。


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