履歴書で一番悩ましい箇所と言えば自己PRではないでしょうか。自分の強みを企業に伝えることができる自己PRは、履歴書の中でも特に重要度が高いため、書き方を工夫する必要があります。

この記事では、履歴書の自己PRに盛り込むべき内容や、自己PRの書き方のポイント、自己PRの基本構成などについて解説します。

合わせて、「書いてはいけない自己PRのNG例」についても紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

評価される自己PRはどんな内容がベスト?

評価される自己PRはどんな内容がベスト?

履歴書の自己PR欄には、一体どのような内容を盛り込めばいいのでしょうか。自己PRには特に書き方の形式がないため、何を書けばよいかわからず手が止まってしまった方も多いはず。

この章では、企業に評価される自己PRに盛り込むべき4つのポイントについて解説していきます。

ポイント① これまでの経験や実績

ポイント① これまでの経験や実績

自分がこれまで何を経験してどのような実績を積んできたのかを書きましょう。

例としては以下のような経験が挙げられます。

・飲食店のアルバイトでホール接客を3年間経験

・テニスサークルのキャプテンとしてチームをまとめた経験

・前職で旅行代理店の営業チームのチーフを務めた経験

新卒の方なら、大学時代のアルバイトやゼミ、サークルなどでの経験から、職務経験がある方なら前職で経験したことや実績から探していきます。

ポイント② 自分自身が保有するスキル

あなたのスキルについても明確に記載しましょう。

スキルというのは、「経験や実績」とは別に、「あなたができること」です。例えるなら、

・営業スキル

・コミュニケーションスキル

・論理的思考スキル

などがスキルに該当します。

ポイント③ 自分の人間性

ポイント③ 自分の人間性

あなたの性格的なところでアピールできるポイントについても自己PRに盛り込んでいく必要があります。

・負けず嫌い

・協調性がある

・ムードメーカー的存在

など、思いつくままにたくさん候補を挙げてから絞り込んでいくと良いです。

ポイント④ 自分こそが企業の求める人材であることの理由

とても重要なポイントです。履歴書の自己PRは、ただの自己PRとは異なります。企業にとって、あなたがいかに魅力的な人材であるかをアピールしなければ意味がありません。

例えば、プログラマーとして就職したい場合、あなたの強みが「人と接すること」や「人と話すこと」だとしても、そこをアピールする意味はないということ。

プログラマーという職種なら、「細かな作業が得意」、「集中力の高さ」などの方がアピールポイントになりますよね?

企業が求める人材像をイメージし、いかに自分がそこにマッチしているかをアピールすれば説得力が一気に増します。

自己PRを書く時に注意すること

次に、自己PRを書く際の注意点について解説していきます。履歴書の自己PRの書き方において重要なポイントは4つ。それぞれについて説明していきましょう。

文章は簡潔にわかりやすく

自己PRを書く欄は、それほど長文が書けるほどの大きなスペースではありません。そのため、文章は簡潔にわかりやすく書くことがとても重要です。

だらだらと書いてしまうと文章が長くなり、結果的に何をアピールしたかったのか「結論」部分がぼやけてしまいがち。基本的に結論ファーストで書くように意識しましょう。

企業の求める能力について触れる

企業の求める能力について触れる

自己PRを書く際には、企業が人材に対して求めているであろう能力について触れておくのも重要です。

「保険営業の仕事に必要なのは、お客様の話をしっかり聴く傾聴力、コミュニケーション力、提案力だと思います。」

などと自分が予測した「企業が欲しい人材像」を先に書いてから、自分がその要素を持ち合わせているとアピールすることで、企業が納得する自己PRが完成します。

アピール内容についての根拠を明記

例えばあなたのアピールポイントが「計画性の高さ」だとします。このポイントをアピールする際には、「なぜ計画性が高いと言えるのか」を明確に説明しなければなりません。つまり、根拠なしにアピールしても説得力に欠けるということですね。

「計画性」をアピールするなら、過去に何かを計画して、その計画に基づき行動したことで結果を出すことができたエピソードが必要です。

「根気強さ」をアピールするなら、過去に根気強く何かの目標に対して粘りつづけ、結果を出すことができたエピソードが必要です。

「私の強みは計画性の高さです」と言っただけでは、企業側は納得しませんし、アピールとしてはかなり弱いです。

誤字脱字が一切ない状態にする

言うまでもありませんが、履歴書の書き方云々以前に、「誤字脱字は完全アウト」であることを知っておく必要があります。

どれほど綺麗にまとめられた自己PRも、誤字脱字があれば台無し。何度も読み直し、誤りがないことを確認してから提出しましょう。

自己PRを書く手順

自己PRを書く手順

ここからは、履歴書の自己PRを書く際の手順を具体的に解説していきます。自己PRの作成ステップとしては4つあります。それぞれのステップについて、わかりやすく紹介していきましょう。

手順① 自分の強みを知る

まずはあなたの強みを知ることから始めましょう。ここでは深く考えずにいくつも箇条書きにしていくと良いです。

・提案力がある

・お客様対応が得意

・協調性がある

・正確にミスなく仕事をこなすことができる

・地道な作業が得意

・社交性がある

など、思いつくままに書きましょう。

手順② 企業が求めるスキルをリサーチする

あなたの狙う企業が、どのようなスキルを持った人材を求めているかを考えましょう。ここでは企業のホームページをくまなく読み込むことが大事です。求人要項やエントリーシートなどから答えを見つけましょう。

企業が求めるスキルがわかる記載例を挙げておくと、以下のようなものがあります。

・人を巻き込む力

・信頼を獲得する力

・チャレンジ精神

・変化に順応する柔軟性

このような記載から、企業の求める人物像、具体的なスキルを調べていきましょう。

手順③ 自分の強みの中からアピールすべきものを選定

あなたの強みと、企業の求めるスキルが出揃ったところで、ここからは両者の共通点を探していきます。

あなたの強みとなるアピールポイントのうち、企業の求めるスキルと合致しているものがあなたのアピールすべきポイント。1つでも構いませんが、2つほどあると自己PRの文章がより書きやすくなります。

手順④ 強みが伝わる文章を作成する

アピールすべきポイントが定まったら、いよいよ自己PRの文章を作成していきます。履歴書の自己PRには、ある程度決まった型があるので、次の項目で解説していきますね。

理想的な自己PRの構成

理想的な自己PRの構成

ここでは、基本となる履歴書の自己PRの書き方について解説します。自己PRの書き方がわからないという方は、まずこの構成どおりに文章を作っていくことを強くおすすめします。

▼自己PR文の基本構成

①自分のこれまでの経験・実績

②その経験・実績を通して得たスキル

③自分の強み(根拠もあわせて記載)

④入社後にどのような面で活躍することができるか

以上の流れで自己PRを作成すると、企業にアピールポイントがしっかりと伝わります。ここで、ひとつサンプルとして例文を紹介しておきましょう。

◎ 理想的な自己PRの例文

「前職の飲食店では、自分以外は全員アルバイトスタッフだったので、社員として配属された私がリーダーを務める必要がありました。日頃から密にコミュニケーションを取り、スタッフ全員のスケジュールなどを把握していたため、体調不良など急な連絡が入った際にもうまく日程を調整することができました。

また、シフト制の職場だったこともあり、全員参加のミーティングの開催が難しかったため、本社からの指示などは毎朝の連絡事項として伝えました。一方的な指示にならないよう、個別に意見を聞きアイデアを積極的に取り入れるよう意識しました。結果的にアルバイトスタッフの売り上げへの意識を高めることができ、目標達成を果たすことができました。

このような経験から、私には人を巻き込み、目標を達成するために計画的に行動するスキルがあると自負しております。

貴社では、店舗数が多いため社歴の浅い社員でもマネージャーに昇格することが珍しくないと耳にしました。これまでのリーダーシップを生かし、早い段階からマネージャーとして貢献していきたいと考えております。」

NGな自己PRの例

ここからは、注意しておきたい「企業に評価されない自己PRのNG例文」について解説していきます。

新卒、第二新卒、異業種転職、同業他社転職など、さまざまな例を挙げながら紹介していきます。どの部分がNGとされるのか、理解しながら読んでみてくださいね。

NGな自己PRの例① 新卒のケース

新卒にありがちなのが、「強みや経験を入社後具体的にどう生かしたいのかわからない自己PR」になってしまう例です。

◎ NGな自己PRの例 新卒のケース

「大学のサークル活動でリーダーを務めた経験があります。25名のサークルメンバーをまとめ、皆が居心地よくサークル活動に専念できるような雰囲気作りを常に心がけていました。御社でも、この経験を最大限に生かしていきたいと考えています。」

この文章を読んでも、「結局その経験が今後どう生かされるのか」が全く見えてきません。アピールするポイントが入社後にどのように生かされるのかは必ず明確に伝える必要がありますね。

NGな自己PRの例② 第二新卒のケース

NGな自己PRの例② 第二新卒のケース

第二新卒にありがちな自己PRと言えば、「前職に対する不満」が前面に出てしまうケースです。

◎ NGな自己PRの例 第二新卒のケース

「毎日が決められた業務の繰り返しで、変化のない毎日に物足りなさを感じていました。もっと自分から積極的に意見できる環境の下に身をおき、会社をより良くしていくために自ら貢献できる機会が欲しいと思い、転職を決意しました。」

積極性をアピールするつもりが、これだと「単調な業務が面倒だった」、「自分の意見が通らないと気が済まない」などのように伝わってしまいます。

NGな自己PRの例③ 30代・40代の転職のケース

30代を超えると、転職のハードルが高くなってしまいます。その理由は、「30代40代なら当然これまでに責任のある役割を任されていたはず」と企業側の期待値が上がってしまうからです。

◎ NGな自己PRの例 30代・40代の転職のケース

「私は、前職で営業部門でのエリアマネージャーを務めた経験があります。エリアの営業スタッフは40人。チームが一丸となって動き、成果を上げられるよう・・・」

このような、「役職」を前面に出した自己PRは説得力がありますね。ただし、嘘はいけません。本当は5人のスタッフをまとめる「チーフ」だったのに関わらず、さらに上の役職「エリアマネージャー」だったとアピールすれば、それはただの嘘になります。

水増しした虚偽の経歴を自己PRに盛り込むというのは中高年にありがちなNG例。何かの拍子にバレることもあり得るため、絶対にやめておきましょう。

NGな自己PRの例④ 職種・業界未経験のケース

未経験の職種や業界へ転職する際にありがちなのが、「単なるやる気のアピール」で終わるケース。

◎NGな自己PRの例 職種・業界未経験のケース

「これまで飲食業界は未経験ですが、私自身食べることに強い関心があり、何よりも食に対する思い入れが強いため、顧客目線に立って考えることができると自負しております。」

「好きだから頑張る!」という幼稚なアピールになってしまっていますね。未経験の場合は、これまでに経験した異業種の仕事の中から、その業種の仕事に通じる要素を見つけてアピールする方法が良いでしょう。

NGな自己PRの例⑤ 同業種・同業界経験者のケース

同業他社への転職というのは案外少なくありません。ここで注意すべきは、「また同じように同業他社へ転職するのではないか」と思わせないこと。

◎NGな自己PRの例 同業種・同業界経験者のケース

「前職では◯◯会社で5年間ウェディングプランナーとしての経験を積みました。これまで数多くの結婚式に携わり、マネージャーとしてチームをまとめる経験を積むこともできました。同じウェディング会社の御社に転職を希望したのは、経験を生かしつつ、新たな舞台で多くの実績が積めると感じたからです。」

この自己PRだと、「ひととおり経験して満足したら、また次の同業他社に転職するんだろうな」と思われて当然です。大事なのは、同じ業界の他の会社ではなく、なぜその企業を選んだのかを明確に伝えることですね。

NGな自己PRの例⑥ 応募資格を満たしていないケース

例えば、営業職の募集要項に「営業職経験者(2年以上)」と書かれていたとします。仮にこの求人に応募する時点でこの条件を満たしていない場合には、「応募資格を満たしていないけれど応募した」と明確に伝える必要があります。

◎NGな自己PRの例 応募資格を満たしていないケース

「前職では、お客さまのパートナーとして、保険選びのご相談、保険の見直し、各種手続きのお手伝いなどを行なってきました。電話でのアプローチや訪問営業など、さまざまな営業を行い・・・」

2年以上の条件を満たしていないことには一切触れずに前職での具体的な仕事内容の話に入っていますね。企業側から見れば、「2年以上を条件にしているのに、きっと募集要項を読まずに応募してきたんだろうな」と思われてしまうリスクがあります。

NGな自己PRの例⑦ 派遣社員から正社員へ転職するケース

派遣から正社員への転職の場合は、「自分の生活の安定のためだけに正社員就職を目指している」と思われないようにしなければなりません。

◎NGな自己PRの例 派遣社員から正社員へ転職するケース

「前職では雇用形態が派遣社員だったため、将来への不安が常にありました。正社員として働き生活を安定させた上で、不安のない前向きなマインドで日々仕事ができればと強く思っております。」

正社員の方が安定しているのは事実です。しかし、それは企業のメリットでなくあなたのメリット。この自己PRだと、「正社員だったらどの企業でもいいのでは?」と思われてしまいかねません。

NGな自己PRの例⑧ 前職の勤続年数が短期間のケース

NGな自己PRの例⑧ 前職の勤続年数が短期間のケース

前職での勤続年数が1年未満など極端に短い場合には、「続かない人」と思わせない自己PRにすることが大事です。

◎NGな自己PRの例 前職の勤続年数が短期間のケース

「前職では、人間関係のトラブルが大きなストレスになり退職を余儀なくされましたが、心機一転貴社でゼロからのスタートを切りたいと考えています。」

このように、「人間関係のトラブル」、「正当な評価をされなかった」など、前職で勤務していた会社についてネガティブな表現をするのはあまりよくありません。仮に本当のことであるとしても、企業側からしてみれば「またすぐ辞めるんじゃないか」と思われてしまいます。

NGな自己PRの例⑨ 離職期間が長いケース

一般的に、退職してから半年以上が経過していれば離職期間がやや長い印象になってしまいます。この場合は、なぜブランクが空いてしまったのかを明確に説明した方が無難です。

◎NGな自己PRの例 離職期間が長いケース

「退職してから1年間の間は、就職先のリサーチや、自分探しの旅に出るなど、本当に自分がやりたいことを見定める時間として使いました。」

一見納得できそうでもある自己PRですが、やはり曖昧ですし漠然とした印象です。もう少し明確にブランク期間の過ごし方を説明し、その経験が今どう生きているのかまで書けると良いですね。

NGな自己PRの例⑩ 前職の退職理由が「結婚」のケース

前職を寿退社した場合には、自己PRに結婚についてあれこれと記載する必要は特にありません。むしろ大事なのは、結婚していても今後支障なく働けるとアピールすることです。

◎NGな自己PRの例 前職の退職理由が「結婚」のケース

「結婚を機に退職後、1年間の間は新生活へ順応するための移行期間として過ごしました。共働きですが子供はおりませんので、結婚前と変わらずフルタイムで働くことができます。」

このような記載は自己PRには不要です。むしろ、「移行期間のためにわざわざ仕事を辞めてしまう必要があったのか?」と墓穴を掘ってしまうリスクがあります。履歴書には詳細を書かず、面接の際に聞かれた際に回答しましょう。

面接で自己PRする際に注意すること

自己PRを考えるのは、履歴書を書くときだけではありません。最も重要とも言える面接においても、自己PRは必ず用意しておく必要のあるもの。ここでは、面接時に自己PRをする際の注意点を4つお伝えしておきましょう。

明るく謙虚な姿勢で望む

元気よく明るく、かつ謙虚な姿勢で自己PRに望みましょう。当たり前のことですが、暗い雰囲気で俯いたまま話す人に対して、好印象を抱く人はまずいません。また、横柄な態度もNGです。

質問には簡潔に答える

面接の際には企業からの質問にも答えていく場面が多々あります。その際には、簡潔に答えることをまず心がけましょう。

例えば、「前職の◯◯会社はなぜ退職されたんですか?」と聞かれたとします。このときに、「前職では、〜〜の仕事を任されていて、〜〜の作業を主に担当していたのですが・・・」と長々と昔話をしてしまうのはおすすめできません。

「◯◯会社を退職したのは、〜〜だったからです」と答えてから、事情を簡潔にまとめて話しましょう。

質問にはまず短く答え、その後に説明したい事情などがあれば加えていくと良いです。

論理的に話す

面接の際の自己PRでは、常に「論理的に話す」ことに意識する必要があります。論理的な話し方とは、

①結論

②理由

③詳細

の順番で話すこと。これは自己PRを書く際も同じです。

上記の3つの要素を必ずこの順番で話すことで、相手に伝わりやすくなります。面接時のみならず今後「できるビジネスパーソン」を目指す上でも役に立つテクニック。この機会に身につけておきましょう。

人間性もアピール

これは少し補足程度にはなりますが、企業側の採用担当者も人間です。印象に強く残れば、それだけあなたが採用される確率はUPすると考えて間違いありません。

面接の雰囲気を見ながら、狙えそうであればちょっと相手を「ふっ」と笑わせることができればなお良し。もちろん、伝えるべき自己PRを伝えた上で余裕があればの話ではありますが、あなたの人間性を少しでも印象付けるためには効果的ですよ!

※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。


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