近頃、若者たちの間で「リセールバリュー」に対する意識や関心が高まっています。売却時の価値を意味する「リセールバリュー」。「後で売ったらいくらになるかな」と考えること自体は、今や決して珍しいことではありません。
今回は、若者におけるリセールバリューについての考え方、そしてリセールバリューを意識した行動などについて詳しく解説します。
そもそも『リセールバリュー』とは?
リセールバリューという言葉を耳にしたことがない人もいるかもしれませんね。
まずは今回のテーマでもある「リセールバリュー」の言葉の意味について解説しておきましょう。
リセールバリュー(resale value)とは、リセール(再販)する際のバリュー(価値)のことを意味します。
一般的にリセールバリューという言葉は、中古車や不動産を売買する際によく使われる言葉でしたが、最近ではそれら以外にも洋服や小物など幅広い範囲において使われています。要するに、購入時の価値ではなく、売却した時にどのくらいの価値があるかを考えることがリセールバリューを意識した買い物の仕方。
身近な物に関しても、「将来的に売るとしたらお金になるだろうか」と考える人は近年増加傾向にあり、特に若者の間でリセールバリューへの関心が高まっています。
若者を中心にリセールバリューへの関心が高まっている理由
今、特に若者たちの間でリセールバリューへの関心が高まっていると言いましたが、その理由は一体何なのでしょう。
若者にとって不動産売買など高額な財産の売却は身近ではありません。若者が関心を抱いているのは、もっと馴染みのある身近なものを対象としたリセールバリューです。
若者がリセールバリューに関心を寄せるきっかけとして挙げられるのは主に、
- SDGsが世界的に大きな取り組みとして認識されているから
- 誰でも簡単にリセールを体験できるフリマアプリが広く浸透したから
- リユースショップの店舗が身近に増えたから
上記3点であると考えられます。
ここでは、若者にリセールバリューを意識させるのに大きく貢献したSDGsとフリマアプリについて詳しく解説していきます。
SDGsへの関心
リセールバリューへ関心を持つ若者が増えている理由のひとつにSDGsが挙げられます。
今はもはや一般常識のひとつとも言えるSDGs。SDGsとは、『Sustainable Development Goals』の略で、持続可能な開発目標を意味しています。これは、要するに「持続可能でより良い世界に変えていこう」という動きで、世界中で現在多くの取り組みが実施されています。
サステナブルという言葉を聞いたことのない人はおそらくいないでしょう。そのくらい、「地球にやさしい、今後も長く持続する世界を目指す」という考え方は人々に浸透しています。
ここで注目したいのは、若者の多くがSDGsに関心を抱いているという点。15歳から24歳のいわゆるZ世代を対象にしたアンケートの結果によると、実に7割以上の若者たちがSDGsに興味関心を持っていることがわかっています。
※参考:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント「Z世代のSDGsと消費に関する意識調査」
ものを大事に使うこと、使わなくなったものを捨てるのではなく再利用する考え方を持つことは、若者たちの間で確実に浸透していると言えます。
フリマアプリの進化と利便性
今の時代、「人からもらったけど使わないなぁ」、「気に入ってたけど新しい型を買ったから、古い方はもう不要だな」となったときに真っ先に思い浮かぶのがフリマアプリではないでしょうか。
多くの若者がフリマアプリ上で自分の持ち物を売り、その売上金で新しいものを購入するという方法でショッピングを楽しんでいます。
このフリマアプリこそ、まさにリセールバリューを考える一番大きなきっかけになっていると言っても過言ではありません。
誰でも簡単にすぐに使うことができるフリマアプリがあるからこそ、若者たちでも容易に「物を無駄にせずに売る」選択肢を常に持つことができているわけですね。
そして、「どんな商品が高く売れるか」を考える癖がつき、常にリセールバリューを意識するようになるのです。
フリマアプリがなければ、おそらく多くの若者たちは「リセール」について理解をしていたとしても、身近に感じることはなかったでしょう。
リユースショップの増加
リセールバリューへの関心が高まった理由としては、まず「自分の持ち物を売る」という行為を身近に感じるようになった点が挙げられますが、これはフリマアプリだけではありません。
以前に比べて多く目にするようになったリユースショップ。
これまでは「ユーズド品」に対するなんとなくネガティブな印象がゼロではなかったものの、フリマアプリの影響もあってか、今や「売れるものは売る」という考えがかなり根付いてきているように見えます。
街を歩けばリユースショップを探すことは難しくなく、今の若者にとってリユースショップは「どこにでも当たり前にあるお店」という立ち位置でしょう。
むしろ、欲しいものが決まっている時に、真っ先にリユースショップをチェックしに行く若者もいるくらいです。
リセールバリューに対する関心がこれほどまでに高まっている背景には、急成長を遂げている数々のリユースショップの影響も確実にあると言えますね。
フリマアプリが若者に浸透した背景
さて、若者がリセールバリューに関心を持つ理由のひとつとしてフリマアプリを挙げましたが、なぜフリマアプリはこれほどまでに若者の間で定着したのでしょう。
ここでは、多くの若者にリセールバリューを考えるきっかけを与えたもののひとつ、フリマアプリについてさらに深掘りしていきましょう。
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① 簡単に売買できるわかりやすいシステム
フリマアプリを使ったことのない人はかなり少ないのではないでしょうか。おそらく使ったことのある多くの人たちが「こんなに簡単なんだ」と驚かれたことでしょう。
フリマアプリが若者に浸透したのは、スマホひとつで使える利便性。そして、売り買いが簡単にできる非常にわかりやすいシステムが理由と言えます。
「状態はいいのに使わずにクローゼットの中で眠っているだけのバッグなんてもったいないなぁ」と思ったら、即座に販売の準備に入ることができます。
写真を撮って商品紹介文を作成したらすぐに出品。あとは購入希望者からのメッセージを待つだけです。
最初はやや戸惑うこともありますが、一度経験したら「こんなに簡単ならもっと他にも売れるものがないか探してみよう」という気持ちにさせられます。
特に、普段からSNSなどで写真の投稿に慣れている若者こそ、メルカリなどのフリマアプリは使いやすく親しみやすい仕様になっています。
② 収入を増やす一つの方法になり得る
フリマアプリは新たな収入源にもなり得るのが特徴。今の若者たちはコロナ禍など難しい時代を経験しながら、「自分の力で少しでもお金を稼ぐ」必要性を特に強く感じている世代です。
フリマアプリをうまく活用することで、毎月バイト代や月給と別に副収入を得ることが十分可能。これこそが、まさに今の時代にマッチしているとも言えます。
最初は単純に「使わないから売ろう」と軽い気持ちで始めたフリマアプリでも、徐々に売りやすい商品や、さらに売れやすくするための工夫などについて考えるようになるケースも。
もっと言えば、「これはきっと買っておいたら後で売れるだろう」と商品の価値を購入時に考えるようになる人も。この部分はまさに今回のテーマであるリセールバリューと一致しますね。
「売れるから買っておこう」、「リセールバリューがある商品でなければ買わない」など、だんだん買い物の仕方も変わります。
リセールバリューを意識した若者の行動
フリマアプリの利便性や、SDGsの取り組みも手伝って、リセールバリューを意識する若者が増えていることはもうお分かりですね。
ここからは、リセールバリューを意識した行動に着目していきましょう。リセールバリューについて考えることのなかった時代と比較して、リセールバリューを意識するからこそ取る行動は主に以下の3つ。
- 売る前提で買い物をする
- 売る時に高く売るための工夫をする
- 欲しいからではなく高く売れるから購入する
それでは、これら3つの行動について解説しましょう。
売る前提でものを買う
従来であれば、何かを購入する時、この先きっとこの商品を売る時が来るだろうとは考えもしなかった人がほとんどだと思います。
ですが、今の若者の多くは「これならきっと先々売るときに○○円くらいで売れるだろう」と予想する人が増えています。
つまり、最初から「ゆくゆくは売る」ことが前提になっているということ。その背景にはリユースショップの増加ももちろん大きく関係しています。
例えば、iPhoneユーザーの中には、最新機種を常に使っていたい人も多いはずです。この場合、最新機種を購入して古くなるまで延々と使用するのではなく、次の機種が発売されたらすぐに使用しているiPhoneを売却し、最新機種を購入する方法を取ることができます。
使い倒したiPhoneはリセールバリューとしても落ちてしまいますが、1年ほど丁寧に使ったiPhoneならリセールバリューはかなり高め。
最新機種を購入するのに今や13万円など高額な費用がかかるiPhoneですが、常にリセールを繰り返すことで手出し金額をぐっと抑えることができます。
高く売るために大事にものを使う
「売る時になるべく良い値段をつけられるようにしたい」という思いから、購入したものを大事に綺麗に使うようになるのも、リセールバリューを意識した行動のひとつ。
リユースショップに足を運ぶと、大体どのような商品がどのくらいの値段で売られているのかを簡単に知ることができます。
数々のリユース商品を見るうちに、「これがこのくらいの値段で売れるなら、大事に使ってちゃんと高値で売れるようにしよう」と考える若者が増えるのも納得。
後々売るのなら高く売りたいのは当たり前。誰もがそう思うでしょう。だからこそ、リセールバリューを意識することは、ものを大事に使用し良い状態を保ち安くするための行動にも繋がるのです。
好みよりリセールバリューで購入を決断する
極端に言えば、「自分は全く興味がないけれど、売れるだろうから購入する」行動を取る若者も少なくありません。
リセールバリューが高いものを購入することで、高く売り自分の収入にするという考え方は、メルカリなどのフリマアプリユーザーや、リユースショップ利用者にも非常に多いと言えます。
もはや、商品購入は自分の物欲を満たすためではなく収入を増やすためと捉える若者たちも増えています。
若者がリセールバリューに関心を持つことがもたらす効果
実際、若者がこのようにリセールバリューに関心を寄せることは多くのメリットをもたらします。
リセールバリューを意識する若者が増えることで得られる効果は主に以下の3つでしょう。
- SDGs貢献
- 稼ぐ力を身につけられる
- 浪費を防ぐ
ここでは、上記3つについて詳しく解説していきます。
SDGsへ貢献できる
リセールバリューを意識することで、若者たちは「売る時に高値で売れるように大事に綺麗にものを使う」ようになります。
さらには、「飽きた、使用機会が少なくなった」という理由で簡単にものを処分するのではなく、「売れるなら売りたい」と考える機会もかなり増えてくるでしょう。
このような考え方は、個人の利益を増やすための考えではあるものの、結果的に「捨てるものが減り、ものを長く綺麗に使うようになる」点においては、SDGsへの効果も絶大であると言えます。
地球がこの先もずっと良い状態で存在し続けるために、資源を節約し、賢く使っていくことは必要不可欠。リセールバリューを意識する若者が増えれば増えるほど、廃棄物が減るため、意図せずともSDGsへ貢献できることになります。
お金の稼ぎ方を早くから身につけることができる
会社員だから安心、という時代はすでに過ぎ去ったと言っても過言ではありません。今の時代、多くの人が本業と別に副業収入を得る方法を模索しています。
リセールで収入を得る方法もそのひとつ。リセールバリューを意識し、購入する商品を選定することで、より多くの収入を産むことが可能です。
メルカリなど、手軽に利用できるアプリを駆使することに長けている若者こそ、リセールバリューを理解し、自らの収入UPを実現しやすいと言えます。
無駄な浪費を抑制する効果がある
リセールを身近に感じるようになると、人は常々「これは売る時にお金にならないかも」などと考えるようになります。
その結果、「今とても欲しいけれど使わなくなったらリセールも難しいだろうし‥」と購入を断念することも増えるはず。
リセールバリューを意識するようになると、それまでは「欲しいものはなるべく購入したい!」と思っていた人のお金の使い方が大きく変わります。
結果的に出費を抑えることができ、無駄のない買い物ができるようになる効果も絶大です。
まとめ
今回は、若者におけるリセールバリューに対する意識や、その行動パターン、見込まれる効果などについて解説しました。
リセールバリューを意識することで、SDGsにも貢献でき、自分自身にも利益を産むことができます。
これからも、リセールバリューを常に意識しながら日々の生活を送ることができれば、きっと自分自身だけでなく、周りの人たち、地球全体にもメリットを生み出すことができるでしょう!
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
この記事を書いたひと
転職・就職に関連する領域で数多くのライティング実績があるほか、英会話、婚活など幅広く活躍。ブライダル業界勤務10年の経歴を活かし、ブライダル関連のコラムが専門分野。これまでにWEBサイトを中心に1000本以上の執筆経験がある。