「SDGsに関わる仕事は?」
と質問されたとき、皆さんどんな仕事や職業、企業、事業などをイメージしますか。
JOB STORY編集部が独自にアンケート調査を実施したところ、世間ではSDGsに関わる仕事として、下記のようなものをイメージしているようです。
●【アンケート調査】SDGsに関わる仕事、具体的にはどんなものをイメージしますか?
※アンケート回答の一部を紹介
貧困や教育、安全な水の確保などで貢献していると感じる
SDGsは教育に関する目標があるため
食品ロスに取り組んでいる企業
いらなくなった服やおもちゃを回収して、また再利用したり、発展途上国に支援する取り組みはすごくいいと思います
近年の工場は、廃棄する食材を家畜の飼料に回したりするほか、発展途上国に商品を送ることをしていると耳にしたから
つまり、発展途上国で作られたものを適正な価格で取引することによって、持続的な生活向上を支えるための仕組みになっていることは良いと思う
sdgsと脱炭素を目指しているから
皆さん、アンケートへの回答ありがとうございました!
上記の回答一つひとつに気づきをいただく一方で、それ以外の回答を見ていると、「SDGsって難しいから、そもそもどんな仕事がSDGsに関わるかイメージしづらい」という趣旨のコメントが数多く見られたのも特徴的でした。
というわけで、こちらの記事では「SDGsに関わる仕事は?」をテーマに、具体的な仕事やSDGs事業についてピックアップしてご紹介します。
「そもそもSDGsとは?」という基本的な疑問についても簡単におさらいしていますので、SDGsについて理解を深める際の参考にしてください。
SDGsとは?簡単におさらい!
SDGsとは” Sustainable Development Goal”という英語の略です。読み方は「エスディージーズ」となり、「持続可能な開発目標」と訳すことができます。
SDGsを日本語にしても、はっきりと意味がわかりにくいかもしれません。簡単に言うと、「地球上で問題となっている環境や貧困、差別や人権に関する課題を解決しよう」という世界的な計画のことです。
SDGsは、2015年9月の国連サミットで取り上げられた「2030アジェンダ」の中で、世界的な目標として17のゴールと、169のターゲットが掲げられました。
2030年までにSDGsを達成し、「サステナビリティ(持続可能性)」を持った未来都市を実現してその先へと繋げる。SDGsへの取組みは、現在世界中の企業が目指すところとなっています。
2021年9月14日から開催された国連総会ハイレベルウィークにおいて、イベントの1つである「SDGモーメント」に菅総理がメッセージを寄せたのも記憶に新しいところです。SDGsを世界中の課題として推進してくために、国連広報センターでも、積極的に情報を発信し続けています。
こうした流れにより、SDGsを目標に掲げる企業が増えてきています。SDGsについて一人ひとりが関心を寄せ、課題解決に取り組む企業を応援し、積極的に関わることも大切です。
SDGsに関わるサステナブルな事業にはどのようなものが挙げられるのか、以下で更に詳しく見ていきましょう。
CO2削減に貢献できるリユース事業
私たちの暮らしに身近なSDGs事業の1つに「リユース事業」が挙げられます。
SDGsで掲げられた17の開発目標のうち、12にあたる「つくる責任つかう責任」では、廃棄物の削減とリユース事業がターゲットとなっています。
さまざまな廃棄物を削減し、再生利用することによって、温室効果ガスの原因となるCO2の排出量を削減することが可能となるのです。
● リユース事業がSDGsにつながること、まだ世間ではそれほど浸透していない?
※調査概要(JOB STORY調べ)
・調査方法:18~29歳の男女100人を対象にWEBアンケート調査を実施
・実施期間:2021年9月30日〜10月1日
「リユース事業が本当にSDGsと関係あるの?」
そんな風に思う方もまだ多いかと思いますが、リユースの推進によるCO2の削減は、開発目標11の「住み続けられるまちづくりを」と、13の「気候変動に具体的な対策を」の目標にも繋がります。
リサイクルショップや古着屋などのリユース事業で働くことは、SDGsに深く関わっているといえるでしょう。
環境や海洋の生態系に優しい再生可能エネルギー事業
再生可能エネルギー事業も、暮らしに身近なSDGs事業の1つです。いくつかの電力関連企業では、CO2ゼロの100%自然エネルギーによる電力供給を目指したり、太陽光発電の普及に努めたりするといった取り組みが行われています。
電力供給に限らず、太陽電池やLED照明の推進、回収した廃棄木材のバイオマス燃料化など、さまざまな企業がクリーンエネルギーの普及促進を目指しています。
このほかにも、海洋プラスチックの買い取りや天然資源に影響しない養殖を目指すなど、生態系に優しい事業も再生可能エネルギー事業に含まれるでしょう。
こうした再生可能エネルギー事業は、SDGs開発目標7の「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」や、14の「海の豊かさを守ろう」にも繋がります。
具体的には、電力会社や電気設備メーカー、プラスチック加工業や養殖業、食品加工業などが挙げられるでしょう。
人々の健康と福祉を支える事業
SDGsの開発目標3にあたる「すべての人に健康と福祉を」には、介護や福祉に関連する事業が該当します。
家事代行業や各種介護支援業、福祉系の人材派遣業や医療機器メーカーなどが取り組んでいる事業です。
車椅子に乗ったまま乗車できる介護タクシーや買い物代行支援、ドライバー派遣などで移動困難者へのアテンドサービスを提供する事業など、福祉や介護に関する新しい事業も、盛んに行われています。
飢餓ゼロを目指すための事業
飢餓に終止符を打ち、食料の安全確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進することも、SDGsの重要な目標となっています。
開発目標の2にあたる「飢饉をゼロに」へ貢献できる事業としては、食品ロス削減や食料の再分配などが挙げられるでしょう。
アフリカ地域へのスマホ普及や、社員食堂の売り上げの一部を発展途上国へ寄付する取り組みのほか、近年話題の昆虫食も飢饉ゼロを目指す事業の1つです。
また、農業インフラの整備もSDGsに深く関わっています。持続可能な農業を確立できれば、常に食料を確保できるため、慢性的な飢餓、災害による一時的な飢餓からの脱却を目指せるからです。
酪農や農家、食品系の商社などで働くことでも、SDGsに貢献できることがわかるでしょう。
質の高い教育を実現するための事業
SDGsにおいては、教育に関連する事業への取組みも重要視されています。開発目標4にあたる「質の高い教育をみんなに」では、すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を
提供し、 生涯学習の機会を促進するという課題が示されているからです。
例として、アジアやアフリカ地域で教育強化計画やカリキュラム改訂導入、教育養成大学設立のための基盤構築などのほか、「正しい自動車リサイクル方法」の普及などが挙げられます。
日本では、全国銀行協会が実施している「どこでも出張講座」も、新しい教育の形として注目されています。
どこでも出張講座とは、銀行のしくみやマネープラン、金融に関する知識について、中高生や大学生、成人など、あらゆる世代に向けて銀行から講師を派遣して実施している講座です。
将来大切なお金に関する知識をわかりやすく身につけることができるという点で、これまでにない貴重な教育の機会が得られる場となっています。
教育関連事業に関わる企業だけでなく、金融や建設業など、専門的な知識を有していれば、幅広い業種で教育を強化する事業に携われる可能性があるのです。
貧困をなくすための事業
最後に、SDGs開発目標の1にあたる「貧困をなくそう」と、16の「平和と公正をすべての人に」に貢献できる貧困に対する事業を紹介します。
コーヒーやバナナなど、発展途上国が生産地であることが多い生産物は、流通の過程で価格を抑える目的などのために、生産地での労働環境が劣悪となる点が問題視されてきました。
こうした問題を解決する事業の1つとして挙げられるのが「フェアトレード」です。
フェアトレードとは、生産性を向上するために、生産者が搾取されることがないように配慮し、適切な価格で輸出入を行う取組みをさしています。
コーヒーをフェアトレードで仕入れ、国際フェアトレード認証コーヒーとして販売することで、コーヒー農家の労働者の生活や労働環境の安定に寄与することができます。
フェアトレードコーヒーを使用したカフェの経営や、フェアトレード商品を扱う店舗で働くことも、SDGsに関われる選択肢とすることができるでしょう。
SDGsに関わるサステナブルな仕事 まとめ
SDGsとは、環境や貧困、差別といった問題について、世界中で2030年までに解決していこうとする目標のことです。SDGsの開発目標は17あり、それぞれのターゲットは169にものぼります。
すべての開発目標やターゲットについて、今回の記事で語りつくすことはできませんが、わかりやすい例として、リユースや再生可能エネルギーの事業などをいくつか紹介させていただきました。
こうしたSDGsへの取り組みを行っている企業で働くことはもちろんですが、事業を応援したり、商品やサービスを利用したりすることも、SDGsへの貢献に繋がります。
また、プラスチック製品を買わないようにする、ゴミが極力出ないような生活様式に変えるなど、個人でもできることはたくさんあります。
SDGsは、私たちが暮らす地球を守り、子供や孫が暮らしやすい環境を繋いでいく大切な取組みです。「SDGsは企業がするもの」「指導者や政治家が取り組むもの」と他人事としてとらえることなく、自分の事として身近に捉え、小さな事から実践していきましょう。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
この記事を書いたひと
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