持続可能な社会の実現に向けて採択された「SDGs」には17の目標があります。
貧困の根絶や環境問題の解決と聞くと「自分にできることはない」と思いがちですが、実は個人の活動でもSDGsの達成に貢献できるのです。
そこで本記事ではSDGsの17の目標に注目し、私たち自身ができることや企業の活動例について紹介します!
SDGsの17の目標と私たちにできること
SDGsには「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」など、社会問題ごとに分けて17の目標を設定しています。
ここでは、これらの目標すべての概要と、目標達成のために私たちができることの例を説明します。
参考:SDGグローバル指標(SDG Indicators) ※外務省公式ページ
目標1:貧困をなくそう
SDGsでは1日1.25ドル未満で暮らす極度の貧困層をなくしたり、人口あたりの貧困者の割合を半減させたりすることを目標にしています。
【私たちにできることの例】
- フェアトレード商品を選んで購入する
- 貧困問題解決に取り組む組織へ寄付を行う
- こども食堂をはじめとするボランティアに参加する
目標2:飢餓をゼロに
すべての人が常に栄養のある食事を取れるようにして、飢餓をゼロにするのも17の目標に盛り込まれています。
【私たちにできることの例】
- フードバンク団体を支援する
- フードバンクに食べ物を寄付する「フードドライブ」活動に参加する
※フードバンクとは:個人や企業からまだ食べられる状態の廃棄食品を回収し、福祉施設等で無償提供する団体・活動のこと
目標3:すべての人に健康と福祉を
健康と福祉の充実のために、死亡率を下げたり、エイズや結核などの病気をなくすことが目標です。
【私たちにできることの例】
- なるべく徒歩や自転車を利用する
- 定期的に健康診断を受診する
目標4:質の高い教育をみんなに
性別や障害の有無に関係なく、すべての人が公正・効果的な教育を受けられるようにすることが目標として掲げられています。
【私たちにできることの例】
- 世界の教育の現状を調べる
- 教育関係者・団体に対して寄付やボランティアによるサポートを行う
- リユース文庫に本を寄付する
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダー平等を実現するため、女性の社会進出・差別の撤廃を中心としたターゲットが設定されています。育児や介護、家事など、軽視されがちな家庭内活動の評価を高めることも狙いです。
【私たちにできることの例】
- 育児や家事などを平等に分担する
- 性的マイノリティの人に対する理解を深める
目標6:安全な水とトイレを世界中に
下水設備や衛生施設の能力が不足していると、下痢をはじめとする健康への悪影響が出てしまいます。油汚れを紙でふき取ったり原油回収に参加したりして、汚れた水を処理施設に流さないようにすると水質維持に役立ちます。
【私たちにできることの例】
- 節水に取り組む
- 油を下水道に流さない
目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率の改善に取り組むことで、クリーンな方法でエネルギーを届けられます。途上国に対してインフラ整備の支援を行うことも。
【私たちにできることの例】
- LED電球に切り替える
- 再生可能エネルギーを利用して作った「グリーン電力」を使う
目標8:働きがいも 経済成長も
気持ちよく働ける労働環境づくりと経済成長を両立するための目標もあります。
【私たちにできることの例】
- ワークライフバランスを改善する
- 地産地消品を買う
- 地元の商店街を利用する
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
産業と技術を発展させるための基盤づくりとして、インフラ整備や、研究開発従事者を増やすことによる研究体制の整備などを行います。
【私たちにできることの例】
- インフラ設備についての理解を深める
- 災害復旧に関する募金を行う
- SDGsに取り組む企業の商品・サービスを選ぶ
目標10:人や国の不平等をなくそう
民族や宗教などの垣根を取り払い、不平等をなくすのもSDGsの重要な目標です。税や賃金、社会保障など制度面の改善も欠かせません。
【私たちにできることの例】
- パラスポーツを体験してみる
- いじめや差別をしない、させない
目標11:住み続けられるまちづくりを
交通機関を拡大したり、緑地や公共スペースへのアクセスを確保したりするなど、住み続けられるまちづくりを行うという目標もあります。
民族や宗教などの垣根を取り払い、不平等をなくすのもSDGsの重要な目標です。税や賃金、社会保障など制度面の改善も欠かせません。
【私たちにできることの例】
- 住んでいる地域の良さについて調べたり考えたりする
- 地域の清掃や防災活動に参加する
目標12:つくる責任 つかう責任
天然資源の管理や利用効率アップなどを行います。ほかにも廃棄物の発生を防いだり、再生利用や再利用を促進します。
【私たちにできることの例】
- マイバッグやマイボトル、マイ箸を利用する
- エシカル消費を行う
- 使い捨てをせずにものを長く使う
※エシカル消費とは:人や社会、環境などにやさしい商品・サービスを選ぶこと
目標13:気候変動に具体的な対策を
気候変動を食い止めるために、啓発活動や制度の改善に取り組みます。
【私たちにできることの例】
- 省エネを意識する
- 自転車や公共交通機関を利用する
- 緑のカーテンを設置する
目標14:海の豊かさを守ろう
海洋汚染を防止し、海の豊かさを守る目的もあります。水産資源の生産量を持続可能なレベルに調整したり、生態系の回復に尽力したりするのも活動の一環です。
【私たちにできることの例】
- プラスチック製品の利用を控える
- アウトドアの遊びを楽しむときはごみを持ち帰る
目標15:陸の豊かさも守ろう
陸上の生態系の保全や回復もSDGsの目的の一つです。砂漠化や干ばつへの対処や森林保護はもちろん、絶滅危惧種を守るのも重要なターゲットです。
【私たちにできることの例】
- 森林公園や市民の森に行き自然に触れる
- 植林活動をはじめ森林保全活動に参加する
目標16:平和と公正をすべての人に
平和と公正さを維持するために、暴力や子どもへの虐待・搾取を減らすことが重要です。選挙でSDGsに力を入れてくれそうな候補に投票するのは有効といえます。
【私たちにできることの例】
- 国内外の情勢に目を向ける
- 選挙に行く
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう
パートナーシップを発揮し、開発途上国への国際支援や資金投入を拡大する目標です。WTOのルールに基づき、開発途上国と公正な貿易を行う必要があります。
【私たちにできることの例】
- SDGsを広めるためのイベントに参加する
- SDGsの達成に取り組む企業を応援する
まずはナマケモノにもできるアクション・ガイドを実践しよう
SDGsにこれから取り組むという人に向けて、国連広報センターでは「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」を公開しています。
こちらで取り上げられているもののうち、実践しやすいおすすめの活動を紹介します。
出典:ナマケモノにもできるアクション・ガイド ※国際連合広報センター
ナマケモノにもできるアクション・ガイド1:ソファに寝たままできること
ソファに寝たままできることでおすすめなのは以下の活動です。節電や投稿をシェアすることからはじめると、SDGs達成に向けて手軽に最初の一歩を踏み出せます。
節電する | 使っていない電子機器の電源を切る、不要な照明を消す |
紙の消費量を減らす | オンライン支払いへ切り替える、印刷量を抑える |
SDGsへの理解を深める | SDGsに取り組む企業の投稿をシェアする |
ネット上のいじめをなくす | 本人へ注意する |
ナマケモノにもできるアクション・ガイド2:家にいてもできること
家にいてもできることの中で、比較的実践しやすいのは以下の通りです。部屋やドアの隙間をふさぐとエアコンを効率的に使えるようになります。
節水する | 洗濯機は容量いっぱいで使う、バスタブ入浴の代わりにシャワーを利用する |
資源を無駄にしない | 食べきれないときは冷凍する、簡易包装の製品を買う、できるだけリサイクルに出す |
省エネを意識する | 髪や衣服を自然乾燥する、エアコンを効率よく使う |
ナマケモノにもできるアクション・ガイド3:家の外でできること
外出中にできるSDGsへの取り組み方としては、以下のようなものが挙げられます。訳アリ品や詰め替えボトルなどは、利用すると経済面でもお得になりやすいです。
地産地消を意識する | 地元で買い物をする、地産地消品を選ぶ |
物の消費を抑える | 訳アリ品を買う、詰め替えボトルを利用する、マイバッグを持参する |
捨てるものを減らす | 中古品を買う、不要な衣服や本を寄付する |
政治に参加する | SDGsに取り組む人に投票する |
ナマケモノにもできるアクション・ガイド4:職場でできること
職場でできるSDGs活動としては、次のものが考えられます。 まずは自分の権利について調べたり、同僚の相談を聞いたりするのが手軽にはじめられてよいでしょう。
労働者の権利を確保する | 労働者が持つ権利について知る、差別や不平等な制度に声を上げる |
同僚と助け合う | 若者の相談相手になる |
SDGsに取り組むきっかけを作る | ノーインパクト(地球への影響ゼロ)週間を短期間でも設ける、リサイクルができているか見直す、環境にやさしい取引先を選ぶ |
SDGsの目標達成のために行動している企業と行動例
ここでは、SDGsの目標達成のために行動している企業その行動例を紹介します。
ぜひ今後SDGsをもとに商品・サービスを選ぶときの参考にしてみてください。
事例1:パナソニック株式会社
パナソニックは、ソーラーランタンを10万台寄付するプロジェクトに取り組む企業です。アジアやアフリカの無電化地域に無償でランタンを提供し、明かりの普及という面でSDGsの目標を後押ししています。
ランタンによって明かりが利用しやすくなると、医療機関の運営や学校教育を夜でも行えるようになるのです。
事例2:キューピー株式会社
食品会社であるキューピーは、食糧問題の解決に向けて以下のような活動を行っています。
- 廃棄物を有効活用する
- NPOや地域団体と協力してフードドライブ活動を行う
- 容器包装を改善する
従来廃棄していた卵殻膜を化粧品に使うなど、ユニークな取り組みが多いです。
事例3:株式会社ヤクルト本社
ヤクルトは女性の職務能力向上やヤクルトレディの就労環境の改善など、女性の参画に強い関心を持ってSDGsに取り組んでいます。
こうした取り組みが評価され、第2回「ジャパンSDGsアワード」で「SDGsパートナーシップ賞」を受賞しています。
事例4:明治グループ
明治グループでは、グループ全体で水資源を有効活用するための取り組みを行っています。
代表的な活動は自社拠点における水使用量の削減です。2030年度までに2017年度比で20%以上、売上高原単位ベースでの水使用量を減らす計画を打ち出しました。
生産工場での節水ノズルの導入や冷却方法の最適化などを実施し、順調に消費量を減らしています。
事例5:リユース業界の各社
リユース業界はビジネスモデルそのものが再利用の推進につながっており、SDGsの達成に貢献しているといえるでしょう。
中古品を回収すれば廃棄物を減らすことにつながり、環境への負担を減らすことが可能です。また、環境への有害物質の放出や、天然資源の節約にも効果があるでしょう。
SDGsが重要な理由
SDGsへの注目が高まっているのは、社会問題が深刻であること以外にも理由があります。
ここからは、なぜSDGsが重要なのかについて簡単に解説します。
SDGsが重要な理由1:社会問題が深刻になってきたため
社会問題の深刻さが年々増しており、世界で一丸となって対処する必要があるためです。
SDGsの採択以前、「ミレニアム開発目標(MDGs)」という国際目標が掲げられていました。しかし、2015年までに貧困や飢餓をなくしたり初等教育の普及を推進したりするはずでしたが、目標を達成できなかったのです。
異常気象や温暖化による作物の成長阻害などを本気で食い止めるためにも、SDGsの達成は重要といえます。
SDGsが重要な理由2: ビジネスチャンスがあるため
SDGsを達成するための商品・サービスを開発すれば、大きなビジネスチャンスにつながります。
実際に、2017年に行われたダボス会議では、SDGsには12兆ドルの経済価値と3億8千万人の雇用創出効果があると発表されました。このようにSDGsに取り組むと経済効果が期待できるため、多くの民間企業が参入しているのです。
SDGsが重要な理由3: ブランディング効果があるため
SDGsには、取り組むことで企業イメージがよくなるというブランディング効果があります。
SDGsの達成に向けた活動を行えば、環境や人にやさしい企業というイメージを持っていもらえるのです。
就職先や取引先、投資先を選ぶとき、SDGsへの取り組み方を参考にするケースもあります。
【SDGs 17の目標】私たちができること まとめ
本記事では、SDGsの17の目標とそれに向けて私たちができることについて解説しました。
SDGsは持続可能な社会を実現するために、世界で一丸となって取り組むべき目標です。
節電や節水など、国や企業だけでなく私たち個人個人にも取り組めることはたくさんあります。この記事をきっかけにSDGsに関心を向け、できることから小さくはじめてみてはいかがでしょうか。
本記事を読んでさらにSDGsについて詳しく知りたくなった人は、わかりやすく説明したこちらの記事もぜひお読みください。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
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この記事を書いたひと
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