わたしが古着を着る理由
わたしは趣味でよく古着を着ている。
ときどき「おっ、それ古着ですか?」「エコですね」と言われることがある。
そのときわたしは、「そうなんです。現代のファッションにおける過剰廃棄という社会の仕組みに対する問題意識のもと、古着というファッションを選択しておるのです」と、インテリジェンスにうなずいて見せるのだけれど、正直なところ、わたしが古着を着ている主たる理由は「リーズナブル」だからだ。
身も蓋もないことをいって申し訳ないが、そうなのだ。
安く買えるという意味ではこんにちファストファッションも安価なのだけれど、古着にはファストファッションにはない「アジ」がある。
当時の文化をうつした「雰囲気」がある。
ヴィンテージといわれる1950年代のデニムなどには、アメリカ黄金時代のロマンさえ薫る。
それは古着にかぎらず、家具や楽器、時計などさまざまなアイテムにもいえることだが、ヴィンテージをはじめリユースアイテムには新品にはない奥深い魅力がある。
江戸時代の“もったいない”精神がスゴい!
そういえば、江戸時代というのは大変にエコであったらしい。
といっても当然、江戸の人たちがホットカーペットなどの家電を使わないときにはコンセントをこまめに抜いていたり、江戸城のスタバに行く際にはマイ・タンブラーを持参していたという話ではない。
江戸時代の主な着衣といえば着物だが、それを買うとき江戸の人は「呉服店」や「太物(※ふともの:木綿など太い糸の織物の総称)の店」に通っていた。
江戸時代の風俗を伝える地誌『江戸名所図解』などを見ると、太物店の店構えは立派でたいそう繁盛していたことがうかがえる。
ただそういった店を利用できるのは一部の富裕層であり、一般の江戸庶民はどうしていたかというと、着物をトレファク(トレジャー・ファクトリー)で買っていたそうだ。
……というのは冗談で、当時のリユースショップ、つまり古着屋で買っていたのである。
柳原土手(現在の神田川沿い)などには古着屋街があり、そこに多くの庶民が通っていたという。
そうやって手に入れた着物をしばらく着て古くなると使える部分のみをリメイク。子ども用に仕立て直していた。
そして子どもが成長して着られなくなると次の子の「おしめ」に。その子のおしめが取れたら雑巾に。雑巾として使い切ったら薪などを燃やす際の「焚き付け」として利用していたというのだから恐れ入る。
そして最後に残った灰をトレジャーファクトリーの出張買取によって高価買取してもらっていた……というのも冗談です。
灰は灰で洗濯の際に灰汁として用いたり、農作物の肥料として活用していた。まさに究極の再利用である。
江戸の世では新しいものを次々と製造するのではなく、不要になったものを買い取る業者、壊れたものを修理して販売する職人、それを運搬する人など、いろいろな職人が存在し、再利用が可能な社会の仕組みを構築していたという。
当然「エコ」などという概念はまだ存在しないが、リユース(再使用)するという行為は我々にとって身近な生活の知恵であり、モノを大切に使うための根源的な営みなのかもしれない。
エコはSDGsのゴールでもある
SDGsについてのおさらい
わたしは、5年程前に「今の時代、SDGsに取り組まないことが逆にリスクだよね?」と取引先のクライアントに話を振られて、完全に知ったかぶりしたことがある。
「えすでぃーじーず」という聞き慣れぬそのコトバに困惑し、近しい響きの単語を探して心の森を彷徨いようやく“QBBチーズ”に思い当たったが、会話の文脈的に明らかにちがったのですぐに冷蔵庫の奥にしまった。
そして「リスクを取ることが、逆にチャンスということもありますけどねッ!」と含蓄がありそうでいて空虚な言葉で応戦し、帰りの電車で検索した。
だから今は知っている。
知らない人に、ドヤ顔で「SDGsつーのはよォ」とべらんめえ口調で唾を飛ばしながら熱弁することもできるほどだ。
SDGsというのは、つまりアレである。
2015年に国連総会において採択された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称である。
貧困・飢餓の根絶や、健康と福祉の推進、ジェンダー平等の実現、持続可能な消費・生産パターンの確保など、地球上の多くの課題を共有し、世界の国々に暮らすすべての人の未来に希望をもたらすための取り組みである。
SDGsについての概略をすべて解説するとなると規定の文字数では到底足りなくなるうえ、漢字と横文字が多すぎて舌を噛んで死ぬおそれもあるので、詳細が知りたい方はこちらにとてもよくまとまっている記事があります。
エコロジーとSDGs(さぁ、ここから本題です)
なにやら前置きが長すぎてクラクラしてきたが、そろそろ本題に移ろう。
今回、わたしがこのJOB STORYにおいてお伝えしたいのは、「リユース業界で働くことってめっちゃSDGsなんじゃないの?」ということである。
冒頭に申し上げたように、リユース業界──ひいてはリユースの発想自体が古来より脈々と受け継がれているエコロジーの根幹であることは間違いがない。
では、どうしてエコがSDGsにつながるのであろうか。
まず、エコロジーに関する課題はSDGsの取り組みのひとつであるということ。
SDGsが目指す17のゴールにおいて「つくる責任 つかう責任」という項目があり、そこでは「持続可能な生産消費形態を確保する」ことを目標としている。
資源の管理や利用効率のアップ、廃棄物の発生を防ぐこと、再生利用や再利用を促進するといったことが該当し、それはまさにリユース業界が日ごろ行っていることと合致する。
リユース業界で働くことがSDGsにつながる
リユースショップで貢献できるSDGs
では、リユースショップ(日本ではリサイクルショップと言われることも多いですよね)で働くことで貢献できるSDGsとは、いったいどのようなことだろうか。
検証していきたいと思う。
● 参考:リユースショップがわかるワクワク動画はこちら
ゴミの削減に貢献できる!
リユース事業は、本来ゴミとして捨てられてしまうものを再利用するため、ゴミの排出量の削減に貢献する仕事。
普段の生活のなかで「もしかしたらこの家具や家電、まだ使えるかも」「欲しい人がいるかも」という気づきにもつながる。「高く売れるかも。うふ」というヨコシマな気持ちがあってもいい。
資源・エネルギーの消費を抑制する
リユースによってモノの寿命が延びるということは、当然新たにつくる必要もなくなるということである。
よって原材料となる資源やエネルギーの消費を抑えることができる。日本はエネルギーの大量消費国でありながら自給率が低いことも問題になっている国。資源確保は重要な課題である。
二酸化炭素の排出量削減に寄与
「気候変動に具体的な対策を」はSDGsの目標のひとつ。
ゴミの削減とモノの生産が抑えられれば、運輸のためのトラックや、処分の際のゴミ処理場、製造する過程で排出される二酸化炭素が減らせる。
2018年において日本の二酸化炭素排出量は世界で5番目に多いとされており、地球温暖化を食い止めるうえでも大切な取り組みだ。
環境保全運動への取り組み
リユース業をはじめ多くの企業が参画する一般社団法人「日本リユース業協会」。協会では、環境NPO富士山クラブ協力のもと2009年から加盟する企業のスタッフ200名規模で大々的な富士山清掃を行っている。SDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」、ゴール15「陸の豊かさを守ろう」にもコミットする環境保全運動である。
そのほかにも、株式会社トレジャー・ファクトリーでは「買い取り伝票のペーパーレス化」や「LED照明の活用」「従業員の成長支援」「障害者雇用」などSDGsゴールに関連する取り組みを推進している。その他のリユース関連企業においてもSDGsについて前向きな目標を掲げている会社が多いのは、リユース業自体がSDGsと親和性の高い業種であるということの証左であろう。
リユースは、もっとも身近なエコである
SDGsは現在各企業が積極的に取り組んでおり、リユース業に限らずそれに関わる仕事を見つけることは難しいことではない。一般的な企業のなかでサステナビリティを推進する部署で働くこともひとつの方法だ。
しかし、そもそもリユース事業は商品の形状を変更することなく再利用するため、製造工場などの施設が必要なく、建設時の資材やエネルギーといった資源を使わないため非常にエコロジーな業態である。
江戸時代から続く、日本人の「粋」な生き方を現代に継承する働き方といってもいいかもしれない。
これから社会で生きていくうえで「世のため人のためになる仕事がしたい」と思う人は、リユースショップを選択肢のひとつにしてみてはいかがだろうか。
持続可能な社会の実現に向けて、より自分にあった働き方のなかでSDGsとの有意義な関わり方を見つけていくことが大切なのだと思う。
ちょっといいことを言い過ぎて熱が出てきたので、このへんで。
※参考サイト
・関西電力「エネルギー問題と原子力 資源・エネルギーをめぐる問題」
・国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」
・一般社団法人 日本リユース業協会
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
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この記事を書いたひと
ライター・クリエイティブディレクター。1974年兵庫県生まれ。古着・ガラクタ好き。都内広告制作プロダクション勤務を経て2013年に独立。リクルート『SUUMO』メディアにおける大手不動産会社のクリエイティブをはじめ、幅広いジャンルのライティングを手がける。コメダ珈琲に行くとだいたい居ます。