贅沢ランチに、彩り野菜と『カブ』のマリネでも
(外を歩きながら)
ちょっとした相談があるんですけれど!
「従業員持株会」と何が違うのかも教えてほしいんです!
就職する会社を選ぶとき、ストックオプションや従業員持株会という福利厚生がある企業を見たことがあるかもしれません。両方とも会社の株式に関する制度ですが、実は内容がまったく違うんですよ。
ストックオプションと従業員持株会とは何か、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
ストックオプションとは:自社株を決まった価格で買える権利
まずストックオプションとは、株式会社に勤務する社員や役員が、自社株を事前に決められた価格(権利行使価格)で取得できる権利のこと。
会社の株価が上昇して、ストックオプションの権利行使価格を超えたときに自社株を購入・売却すれば、一定の利益を得られるという仕組みです。
例えば、あなたの会社の株が入社時点で1株500円、ストックオプションの金額(権利行使価格といいます)が1株1000円だったとします。
入社5年後、業績が上がって株価も1株1500円まで上昇しました。このときにストックオプションを行使すれば、通常1500円の株を1000円で購入できるので、1株あたり500円の利益が出るわけですね。
これから急成長したいベンチャー企業などで、比較的よく見られる制度です!
ストックオプションのメリット・デメリット
ストックオプションのメリットは、将来株価が上がったときにインセンティブ的な利益を得られることです。「業績を上げよう!」という意欲あるスタッフが集まってきやすい傾向もあるので、活気ある職場で働けるかもしれないですね。
株価が上がらず権利を行使しなかったとしても、資産がマイナスになることはないので損もしません。よってデメリットは特にないでしょう。
デメリットを強いて挙げるなら、ストックオプションを行使できる時期になったとき、その権利を持っている人だけが得をするので、その待遇の差に不満の声が発生して社内の空気が悪くなるかもしれません。
従業員持株会とは:長期的に自社株を積立購入できる制度
安定した経営をしている大企業に多い福利厚生ですよ。
一般的な株式は、1株単位ではなく100株単位で購入します。例えば、1株3000円の会社の株を買おうとしたら、最低でも30万円を用意する必要がありますね。
しかし従業員持株会に入れば、1口1000円程度と少額から自社株を購入できます。購入方法は、給料からの天引きなので、毎回手続きする必要もありませんよ。
従業員持株会に入るメリット・デメリット
従業員持株会に加入するメリットは主に2つです。
まず、優良な株が少額で購入できること。大手企業の株式は最小単位でも数万円から数十万円の購入資金が必要なことが多いので、1000円程度の少額から買えることが大きなメリットです。
社会人なりたて、家計が厳しい僕にはありがたいです!
それから、預貯金以外の資産形成ができること。現在の日本は超低金利なので、普通預金や定期預金ではほとんど金利がつかない状況が続いています。しかし大手企業の株式であれば、売りどきを見極めば数%の利益が出ることも。あなたの資産形成に一役買うでしょう。
対してデメリットは、購入時よりも低い株価のときに自社株を売却すると、損をすることです。購入後に自社の株価が大きく上がったときには、持ち株を売却してもいいと思いますよ。
ちなみに会社を退職するときは、持株会も退会することになります。そのときの株価(時価)で売却するのが一般的ですが、証券会社の口座で保有し続けられるケースもあります。詳しくは持株会の規定を確認しておきましょう。
ストックオプションは権利の獲得を!従業員持株会は利用すべき?
実際にストックオプションや従業員持株会が会社にあったら、利用した方がいいのでしょうか?
まずストックオプションは、権利があって株価が上がったなら利用すべきです。というのも、ストックオプションを利用できる権利は、会社の創業期メンバーや一定の役職者以上など、限定的なメンバーに与えられるケースが多いです。
なので、ストックオプションの権利があるなら、株価が上がったときに行使してインセンティブを得るといいでしょう。
従業員持株会は、少額から利用するのがおすすめです。その理由は、少額でも株式を購入し続けることで、資産運用に少しでも慣れることができるから。
今は自分の年金さえ自己責任で運用するように言われる時代です。少しでも金融や経済への苦手意識をなくしておくと、将来的に自分の資産を守ることにつながると思います。
補助金が出る範囲で利用すれば、よりオトクに自社株が入手できますね。
ただ、大手企業の株式が大きく上昇する可能性はあまり高くないですし、値下がりするリスクもありますので、少しずつ購入するのがおすすめですよ。
まとめ:ストックオプション・従業員持株会とも利用を検討しよう
ストックオプション・従業員持株会は、よく似ていますが内容の異なる制度です。どちらもメリットのある福利厚生なので、ぜひ利用を検討してみるといいですよ。
では、私は株の売却益で、野菜のおいしいフレンチへランチに行ってきます♪
ごちそうさまです!
仕方ない、株の恩恵を二人で分けますか!
全3回、連載いかがでしたか?少しでもお金や経済に関して興味を持ってもらえたらうれしいです!
これからの社会人生活、ただはたらくだけじゃつまらない。
学校でも会社でも教えてくれない豆知識を武器に、ちょっぴり貪欲で豊かな毎日を送ってみてください!
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
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新社会人に贈る、貯金力UP講座
- 第1回 – 「社会人1年目~3年目までの貯金術」キモは固定費削減
- 第2回 – 給与明細書の見方、知ってる?
- 第3回 – 「ストックオプション」と「従業員持株会」の違い
この記事を書いたひと
1985年生まれ、神奈川県出身。大学在学中にFP3級を取得し、大手信託銀行に総合職として就職、個人・法人向け営業などに従事。その後不動産会社、証券会社、ITベンチャーを経て、フリーライターとして独立。金融系記事や取材記事などを執筆中。