敬語表現? 悩み種の「ご査収」について、これを読めば最低限の基本がわかります

「ご査収(さしゅう)のほどよろしくお願いします」は、主にビジネスシーンで用いる言い回しです


「ご査収(さしゅう)のほどよろしくお願いします」は、主にビジネスシーンで用いる言い回しです。

特にビジネスメール、それ以外のメッセージのやり取りで使います。フリーライターである私も、仕事柄、かなりの頻度で使ったり見たりしています。

ただ「何となく聞いたことはあるけど、いまいち意味がわかっていない」「誰に、どんなふうに使うのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。

先に結論から言うと、この言い回しには次のような特徴があります。

  • ビジネスの場合、目上の人に書類をしっかり見てもらいたいときに用いることが多い
  • メールやそれ以外のメッセージに、書類(データ)を添付したときに用いる
  • 用いるときは、メッセージの最下段(締めくくりの部分)に記載するのが一般的

この記事では、以上のことを踏まえながら、ビジネスでの「ご査収のほどよろしくお願いします」という言い回しの使い方をまとめました。

働き改革などによりリモートワークの普及が進むと、ますます重要となるフレーズです。ぜひ参考にしていただければ嬉しく思います。

「ご査収のほどよろしくお願いします」の意味って?

「ご査収のほどよろしくお願いします」の意味って?

ビジネスにおいて「ご査収のほどよろしくお願いします」の意味するところは、

「私からお送りした書類をよく確認してから受け取っていただけますか? どうぞよろしくお願いします」

です。

順を追って解説しましょう。

まず査収とは、『広辞苑』(新村出編・岩波書店)によれば「よくしらべた上で受け取ること」と定義されています。

その査収に付いている「ご」は相手に尊敬の意を示す表現、「のほど」は言葉のニュアンスをやわらげる表現です。ですので、「ご査収のほどよろしくお願いします」は、査収の依頼を丁寧な表現で伝えるものとなります。

ビジネスでは、さまざまな書類の受け渡しがあります


ビジネスでは、さまざまな書類の受け渡しがあり、目上の人にメールを使って書類を送ることも珍しくありません。

相手に直接渡す場合であれば、誠実な態度で「ご確認をお願いします」と言えば、それほどど失礼にはならないでしょう。

しかしメールで書類を送る場合は、相手に声のトーンや態度が伝わらないので、それではやや不十分です。そこで、ワンランク上の丁寧な表現ということで、「ご査収」という言葉を用います。

「ご査収のほどよろしくお願いします」は、目上の人に、メールで送る書類をしっかり見てもらいたいことを丁寧に伝えるフレーズ、と覚えておくといいでしょう。

「ご査収のほどよろしくお願いします」 違和感を与えずに使えたい! 注意点4つ

「ご査収のほどよろしくお願いします」を用いるときの注意点4つ


「ご査収のほどよろしくお願いします」は、基本的に目上の人に用いる表現です。それを用いるときには、いくつかの注意点があります。

以下、4つご紹介するので、相手に不快な気持ちを与えないようにおさえておきましょう。

注意点1:添付するものが何もないときは使わない

注意点1:添付するものが何もないときは使わない


「ご査収のほどよろしくお願いします」は、前章で紹介したように、単なる報告やお礼など、何も渡すものがないときにメールに記載するのは誤りです。

「よろしくお願いいたします」のような、万能な締めくくりの言葉と同じ感覚で使ってしまうと、かえって相手に「あれ?」と思わせてしまうので注意してください。

注意点2:相手によってより丁寧な表現にすることがある

「ご査収のほどよろしくお願いします」は、相手によってより丁寧な表現にすることがあります。

就職先や転職先に対しては「添付ファイルにて、エントリーシートを送付いたします。お忙しいところ恐れ入りますが、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます」、社外の方などに対しては「請求書を郵送いたしましたので、ご査収いただけますと幸いです」といった具合です。

また、単に「よろしくお願いします」を「よろしくお願いいたします」にするだけでも印象が随分変わります。バリエーションを増やす意味でも覚えておくといいでしょう。

なお、他の表現方法については、次章でご紹介しています。

注意点3:漢字表記の仕方を正しく身につける

注意点3:漢字表記の仕方を正しく身につける


上記のとおり、「ご査収のほどよろしくお願いします」は相手によって表現を変える場合がしばしばあります。そのとき、もっと丁寧に表現したいと思って漢字表記にしたいと考えるときもあるでしょう。

具体的には「ご」→「御」、「ほど」→「程」、「よろしく」→「宜しく」などが思い当たると思います。「ご査収のほどよろしくお願いいたします」とする場合は、「いたします」→「致します」もあげられるでしょう。

結論から言うと、無闇矢鱈に漢字にしていいわけではありません。それぞれの注意ポイントをご紹介します。

●「ご」「ほど」は、できるかぎりひらながにする


「ご」「ほど」はできるかぎり、ひらがなにすることをおすすめします。「御査収の程」と字面を見ておわかりいただけるように、堅苦しい印象を与えてしまうからです。

また慇懃無礼という言葉があるように、漢字を多用して丁寧にしすぎた文章は、相手によってはかえって嫌味に取られてしまうこともあります。メールを何度もやり取りするような相手のときは、「ご査収のほど」と表記したほうが無難です。

●「よろしく」はひらがなで表記

「よろしく」はひらがなで表記


「よろしく」については、「宜しく」と漢字にするのではなく、ひらがなで書くようにしてください。

文化庁が公開している常用漢字表(※)で、「宜」の表記は「ギ」のみで、「よろしく」のときには使わないと記されているからです。

※:常用漢字表とは「法令,公⽤⽂書,新聞,雑誌,放送など,⼀般の社会⽣活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使⽤の⽬安を⽰すもの(引用・常用漢字表(平成22年11月30日内閣告示))」

常用漢字表の前書きには「この表は,科学,技術,芸術その他の各種専⾨分野や個々⼈の表記にまで及ぼそうとするものではない(同)」とされていますが、ビジネスマンとしてしっかり則るようにしましょう。

●「いたします」を使う場合はひらがなで表記


「いたします」も、原則としてひらがなです。「よろしくお願いいたします」の場合の「いたします」は謙譲を示す補助動詞のため、漢字にするのは基本的にNGとなります。

なお、反対に「致すところ」「到らず」など動詞の場合は、漢字で表記します。

注意点4:「ご査収ください」はやや冷たい言い方

「ご査収のほどよろしくお願いします」と似たような言い回しに、「ご査収ください」があります。

意味するところは同じですが、「ください」の場合は何かしてほしい気持ちがやや強調され、場合によって冷たい印象を相手に与えてしまうので注意が必要です。

もし「ご査収ください」と表現したい場合は、「ご査収くださいませ」「ご査収くださいますよう、よろしくお願い申し上げます」とするといいでしょう。

相手別に紹介!「ご査収のほどよろしくお願いします」の例文

「よろしく」はひらがなで表記


前章でも紹介したように、「ご査収のほどよろしくお願いします」は、相手によって言葉を少し変えることのある表現です。

そこで以下では、特に用いることの多い相手ごとに、どんな例文があるのかを見ていきます。

▼ 就職先・転職先が相手のとき

第一の相手は、就職先転職先です。たとえば就職先であれば、エントリーシート(ES)を提出するときに用います。一方転職先であれば履歴書や職務経歴書があげられるでしょう。

エントリーシートを一生懸命作成しても、メールの印象がよくないだけで読まれなくなってしまっては泣くに泣けません。「ご査収のほどよろしくお願いします」を用いて、ビジネスマナーを身につけていることをアピールしましょう。

【例文】

「添付ファイルにて、エントリーシートを送付いたします。お忙しいところ恐れ入りますが、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます」

「本日、履歴書と職務経歴書を郵送させていただきました。お手数ですが、ご査収のほど何卒よろしくお願い申し上げます」

▼ 上司が相手のとき

上司が相手のとき


第二の相手は、上司です。仕事では、上司に書類を提出することが度々あります。

たとえば「自分がどんな仕事をしたのか。それによってどんな結果が得られたのか」を記した報告書、「どんな企画を立てたのか。それによって得られる成果や見いだされる課題は何か」を記した企画書などです。

その際、「ご査収のほどよろしくお願いします」と添えれば、上司に気持ちよく受け取ってもらえます。仕事に対して真摯に向き合っている印象も与えられるでしょう。

【例文】

「○○の報告書を添付ファイルにて送付いたします。お忙しいところとは存じますが、ご査収のほどよろしくお願いします」

「○○の企画書を添付いたしますので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます」

▼ 取引先が相手のとき

第三の相手は、取引先です。見積書や請求書、企画の資料などを送るときに、この言い回しを使います。

ただし、下記の例文でも紹介しているように、「ご査収のほどよろしくお願いします」ではなく、より丁寧な表現を心がけるのが一般的です。

相手に不快感を与えてしまうと、会社の信用にも関わってきます。不安であれば、一度上司や先輩に見てもらうのもいいかもしれません。

【例文】

「本日、請求書を発送いたしました。
お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます」

「先日お問い合わせいただきました○○の資料を、添付ファイルにてお送りします。
お手すきの際に、ご査収いただけますと幸いです。ご不明な点がございましたら、下記メールまでお問い合わせください。何卒、よろしくお願い申し上げます」

「ご査収のほどよろしくお願いします」は今後重要になる言葉

テレワークやリモートワークなどが注目を集めています


今日、会社のオフィス以外で働く(≒自宅で仕事をする)テレワークリモートワークなどが注目を集めています。

今後、「ご査収のほどよろしくお願いします」は、ますます利用する機会が多くなる言葉でしょう。直接人と合う機会が減り、その代わりにメールなどを介して書類を渡すことが増えると考えられるからです。

「ご査収のほどよろしくお願いします」に限らないことですが、こうした言い回しや表現の使い方を身につけておけば、「あれ、このときどう言ったらいいんだっけ?」とメールを書くときに悩むことが少なくなります。メール作成に時間がかからなくなり、仕事の効率化を図れるでしょう。

特に在宅ワークの鍵は、いかに作業の効率を高められるかです。たかが1個のフレーズ、されど1個のフレーズ。適切な場面で適切な表現が使えるようにするために、覚えておいて損はありません。

マンネリ化を避けるには?

メールを送る相手が上司や親しい取引先などの場合、事あるごとに書類を送るようになるでしょう。

その際、毎回「ご査収のほどよろしくお願いします」では、マンネリ感を与えてしまうこともあります。

相手方に「いつも同じ言い回しだね」と直接言われることはまずないのですが、「ご査収」を使ったフレーズのストックはある程度持っていたほうが便利です。

ちなみに筆者は、「ご査収のほどよろしくお願いします」の他に、「ご査収いただければ幸いです」「ご査収くださいませ」などを使いまわしています。

特に違う語尾のフレーズを覚えておくと、たとえばメールの文章の語尾が「いつもお世話になっております」「ありがとうございます」と続いているときに重宝します。参考としていただければ幸いです。

結論 ~ 敬語的な使い方を身につけるために

比較的ニュアンスがやわらかく使いやすい表現


「ご査収のほどよろしくお願いします」は、査収してほしいことを相手に伝える表現の中で、比較的ニュアンスがやわらかく、使いやすい表現です。しかし一方で、相手や状況によって、丁寧さの加減を調節する必要もあります。

インターネットの記事を参考にご自身で学習するのも大切ですが、先輩や上司など、身近な方がどのように使っているのかを見てみるのもいいでしょう。


※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。


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