「給料日」と書き、“しあわせ”と読む
毎月の楽しみ、それはお給料!何歳になっても、給料日は待ちどおしいですよね。
誰も教えてくれない、給与明細書の見方や社会保険制度。ここで一度、基本を押さえておきましょう。
給与明細書の見方を解説。一度チェックすべし!
給与明細書には何が書いてあるのでしょうか?ここでは、私が以前所属していた会社で実際に受け取った明細書を元に解説していきます。
● 給与明細書(見本)
給与明細書は、会社からもらう金額が書かれた「支給」欄と、会社に天引きされる金額が書いてある「控除」欄に分かれています。
そして最後に記載された「差引控除額」が、給料日に受け取る手取り金額です。
もらえるお金(支給欄):雇用契約書との相違をチェック
決められた時間・日数分を勤務すると、雇用契約書で約束した「基本給」がもらえます。勤続していくと、役職についたときにもらえる「役職手当」や、仕事内容がより高度になったときなどにもらえる「職能手当」なども増えていく会社が多いです。収入が増えると、頑張り甲斐がありますよね。
この基本給や、役職手当などの各種手当ての金額は、基本的にすべて雇用契約書に明記されているはずです。まずはこの金額をチェック!
最近は経理業務がシステム化されていることも多いですが、記載ミスなどのヒューマンエラーはどうしても起こりうることです。
金額が相違していたときは、直属の上司や経理・人事部などに確認しましょう!
ちなみに「不就労手当」は、有給休暇がなかった時期に風邪で2日ほど休んだため、支給額から引かれました。有給休暇がもらえるまでは体調管理に注意した方がいいですよ(涙)
引かれるお金(控除欄):天引き割合は公的に決まっている
健康保険、厚生年金、雇用保険、そして介護保険をまとめて「社会保険」と言います。社会保険料の金額(保険料率)は、基本給などを元に決められた標準報酬月額や月収を元に定められています。
会社員として勤務している場合、この社会保険料の一部を会社が負担してくれます。一方自営業・個人事業主はすべて自分で払わないといけません。なので、社会保険料負担の軽減は、会社員の大きなメリットと言えるでしょう。
下段の「所得税」は課税対象の所得から、「住民税」は前年度の総所得から計算され、控除されます。この所得税には、東日本大震災以降から引かれるようになった「復興特別所得税」も含まれています。ちなみに、住民税が引かれていないのは、この時期の住民税は私が直接役所に支払っていたからです
そのため、一年目から二年目にかけて昇給や手当の増加がないと、二年目の方が収入が下がることも!
私はその減少分を、日々の残業代でカバーしました。しかし後輩にごはんをおごることも多く、結果的に支出が増えた記憶があります。最近はこういった「飲み二ケーション」は減ったみたいですね。
給与明細書チェックのポイント:昇給・転職したとき
「給与明細書を毎回チェックするのは面倒……。」そんな方にもチェックしてほしいタイミングは、昇給したときです。
基本給や役職手当、職能手当が増えるので、その金額が合っているか確認しましょう。私自身、昇給額が間違っていた経験がありますので、念のためチェックしておくと無難ですよ。
将来もし転職した場合、最初の給与明細書は念入りに金額を確認するといいですね。 契約した内容と違った、なんてこともあるかもしれないです。トラブルは初期段階で防いでおくのがベストです。
社会保険とは:今・未来の生活を支える重要な制度
社会保険とは、労働者を守る最低限の保証として、企業が加入するよう定められている制度のこと。健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険の4種類があり、それぞれ企業と個人で分担して納めています。
健康保険:医療費の負担を軽減
健康保険組合に加入し保険料を納めていると、健康保険証がもらえ、医療費の窓口負担が3割(場合によっては1~2割)になります。健康保険料は、企業と個人で50%ずつ健康保険組合に納めています。
厚生年金保険:老後の生活費を積み立てる
厚生年金保険を納めていると、退職後の65歳ごろから老齢年金が受給できます。厚生年金保険料の負担割合も、企業と個人で50%ずつです。
会社も保険料を払ってくれている関係で、老後に受け取れる年金額は、自営業などの国民年金保険の加入者よりも厚生年金加入者の方が多くなりやすいんですよ。
雇用保険:失業時でも安心
雇用保険は、失業者した際に給付金を受けられる保険です。自己都合退職でも、いくつかの条件を満たせば受給できますよ。雇用保険料は、会社と個人が2:1の割合で支払っています。
介護保険:40歳以降に負担する社会保険
介護保険は、介護が必要な方に介護サービスを提供するための制度です。介護保険料は、会社と個人で50%ずつ支払っています。40歳以降が負担する保険料なので、若いうちはかかりませんよ。
会社員として働くメリット:社会保険料の一部を企業が払ってくれる
社会保険料は毎月天引きされるので、「なんとなく支払っている」「毎月数万円引かれるのは辛い」と感じる方もいると思います。
しかし、社会保険料の一部を企業が負担してくれること自体、会社員として勤務する大きなメリットです!
自営業の場合、健康保険料や国民年金保険料は自分だけで支払います。そのため、健康保険料は会社員よりも負担額が大きくなりやすく、老後に受給できる国民年金の金額は、厚生年金よりも少なくなりやすいです。
特に年金は、老後のライフラインとも言えます。この年金額が比較的多めに確保できるのは、会社員の強みでしょう。
ちなみに会社側から見ると、社員一人を雇うのにかかる費用は、その社員に支払っている給与の”約2倍”と言われています。月収300万円の方を雇うのに、約600万円がかかっているということです。
まとめ:給与明細書、一度チェックしてみて!
給与明細書の項目にはそれぞれ意味があります。金額が間違っている可能性もありますので、昇給時や転職時など給与金額が変更されたときには、しっかりチェックしましょう。
毎月天引きされる社会保険料は、会社があなたの社会保険料を納めてくれている証拠ですね。
毎月のお給料を働くモチベーションに変えてみてはどうでしょうか?明日も頑張っていきましょう〜!
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
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- 第2回 – 給与明細書の見方、知ってる?
- 第3回 – 「ストックオプション」と「従業員持株会」の違い
この記事を書いたひと
1985年生まれ、神奈川県出身。大学在学中にFP3級を取得し、大手信託銀行に総合職として就職、個人・法人向け営業などに従事。その後不動産会社、証券会社、ITベンチャーを経て、フリーライターとして独立。金融系記事や取材記事などを執筆中。