「自己PRはこうあるべき」にとらわれていない?
就活になるとあちこちで求められる「自己PR」。
あなたはサクッと話せますか?
インターネットで自己PRの書き方について調べると、情報が溢れています。例文を自分にあてはめてみて、全然しっくりきていない・・・というあなた。安心して下さい、けっこう多数派です。
私は過去12年以上、企業の採用担当者として数千枚を超えるエントリーシートを読み、フリーランスのキャリアコンサルタントとしても就職活動生の支援を8年以上してきました。
その中で、自己PRはこうあるべきというカタチにとらわれて苦労する人の話をたくさん聞いてきました。(ちなみに苦しむ不動のツートップが、自己PRと志望動機なのは、何年も変わりません。)
インターネット上の情報は、文字数が限られていたり書き手の立場もあったりするので、どうしても表面的な書き方のテクニックになりがち。
せっかくこの記事にたどりついてくれたあなたには、ちゃんと自己PRが良くなる情報を持ち帰ってもらいたいので、この記事ではあえてボリューム覚悟で「本当に使える考え方」をお伝えしていきます。
ここで伝えることは全て、実際に支援した就活生の自己PRが大きく変わった事実に基づいたお話です。
だから、この記事を読むことで新しい視点が加わり、考え方を修正していけることがあれば、ぜひすぐにあなたの自己PRに取り入れてください。
自己PRは、企業と信頼関係を築くもの
本題に入る前に、そもそも自己PRって何でしょうかね。
いろいろな解釈があると思いますが、私は「PR=Public Relations」という言葉の意味から、自己PRは「自分が世の中や企業と信頼関係を築くもの」ととらえてはどうか?と考えています。
自己PRを、企業と信頼関係を築けるものにするために大事にしたいポイントは3つです。
1.初めて会った人が聞いても納得感があること
2.相手にメリットがあること
3.未来について語られていること
まず今回は「納得感がある」というポイントについてお伝えします。
このコラムでは連載3回にわけて順番にポイントを説明します。ひとつのポイントを見直すだけでも効果があると思うので、どんどん見直しを進めてみてください。
狭い期間であなたは語れない!人生全体を通じて強みを見つけよう
まず、よくある自己PRのひな形を紹介します。
・私の強みは〇〇です
・学生時代にこんなことをして、
そこでこんな課題があり、
このように乗り越えて、結果的にこうなりました
・今後も仕事で○○を大事にしていきたいです
このように、学生時代に頑張ったエピソードを話の中心にした自己PRはよく出回っているテンプレートです。
書きやすいのでこれがダメというわけではないですが、気をつけたいのは「どのエピソードを使うか?」を中心に考えてつくった結果、本当のあなたの持ち味でない部分を強みとして伝えてしまうことです。
面接では、あなたの話した強みについて、2つの確認をしていくことが多いです。
①「それは本当なの?また、どの程度なの?」
②「今後の仕事でも発揮できるような“再現性”がある?」
エピソードありきの自己PRをつくり、自分の強みをあまり表現できていないと、ほかの場面で同じ強みが発揮されたことは?といった質問をされてもイマイチ伝えられません。結果、面接官に納得してもらえません。
突っ込まれても大丈夫な、納得感のある自己PRにしたい!と思うなら、学生時代のエピソードを中心に考えるよりも人生全体を見直して伝える強みを決めるのがおすすめです。
この考え方にするメリットは、学生時代パッとした成果を出せなかった人でも自分の持ち味を伝えられる内容をつくりやすいということです。なかなか、いいでしょう?
自分の強みの見つけ方
人生全体を見直して強みを見つけるにはどうすればいいのか?
3つの方法を紹介します。
強みを探す3つの質問
1.自分の良いところや個性は?(人に聞く)
2.これまで長い時間かけたことや、
長くいた環境で、伸びた力や得た経験は?
3.過去上手くいったことは、
自分のどんな力によってうまくいったのか?
このような質問で整理すると、より深く、またいろんな角度で自分の強みに気づけます。この考え方でつくった例を紹介します。
私は、短い時間でも
相手と良い関係を
つくっていくことが得意です。
私は中学生頃まで
転校を数回繰り返していて、
転校先で早くその空気に
馴染むことや、
受け容れられるように
印象良く振る舞うことが
得意になりました。
その強みは
大学時代のアルバイトでも活かされ、
クーポン雑誌の
配布のアルバイトでは、
配布する相手との一瞬の
コミュニケーションを大事にして、
同じ時間でほかの人の
2倍配布することができ、
派遣のアルバイトながら
責任者から指名で
現場に来て欲しいと
依頼をいただいています。
今後も店頭の仕事において、
初めて来店される
お客さんと短時間で
関係を近づける接客に
活かしていきたいと
思っています。
なんだか、文面だけでも人柄が伝わってきませんか?
エピソードはひとつしか入れてはダメなんて決まりはありません。あなたの強みが魅力的に伝わるストーリーになります。
仕上げのコツ。「事実」で強みに「客観性」を加えよう
最後に、自己PRをもっと信頼されるものにするためのコツは、「客観的な事実」を加えることです。
たとえば、先ほどの例のように「短時間で相手との関係をつくることが得意」ということを強みとしてアピールしようとします。話の中に、以下のような事実を入れることで、客観性が加わります。
1.数字(周りや過去との比較)
・・・ 通常〇部のところを、2倍の〇部配布できる
2.第三者の言葉
・・・「〇〇さんの関わり方は周りの手本になる」と
責任者に言われた
3.その他事実
・・・ 現場のリーダーに抜擢される、
派遣にもかかわらず指名で仕事がくる
自己PRは「数字で表現する」とよく指導されますが、数字以外でも客観的な事実を伝える表現はあるので考えてみて下さい。
いかがでしたか?
今回お伝えしたように、自己PRは、学生時代だけではなく、人生全体を振り返ってつくることをおすすめします。
あなたの人生は、他の誰も生きていない、あなた一人だけが生きてきたストーリー。個性なんて「あるに決まっている」のです。あなたらしさが輝く自己PRをしてください。
次回は「相手にメリットがある自己PR」というポイントをお伝えします。今回の考え方をマスターするだけでかなり変わると思いますが、ぜひ次回もお楽しみに。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
井上真里さん連載記事
キャリアコンサルタントが「実際に使える就活のコツだけ語ります」
- 第1回 – 面接で納得感を与える「自己PR」の書き方
- 第2回 – 企業に好感を持たれる「自己PR」の書き方
- 第3回 – 最後の仕上げ!未来を語る「自己PR」の書き方
この記事を書いたひと
慶応大学経済学部卒。東証一部上場(当時)企業二社の元人事として5000人以上の学生の選考に立会い、20代でキャリアコンサルタントとして独立。就活女子専門のスクール『就活モード』を立ち上げマンツーマン指導や講演を行い、超大手企業から人気ベンチャー企業まで多数内定を支援。企業の採用コンサルタントとしても採用現場に現役で携わる。著書に『就活女子のための 就活迷宮から抜け出すトビラ』(TAC出版)など