2つのVMDの違い
VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは、「視覚的に、消費者に対し、適切な量、価格、タイミングで商品を提供する企業活動や計画、管理のこと」です。一般的には、店舗内で視覚的に訴える、効果的な売場づくり・販売計画と認識されています。
同じVMDという表記で「ビジュアルマーチャンダイザー」という職種を表すこともあります。
ビジュアルマーチャンダイジングを行う専任者で、いわば、お店づくりのスペシャリスト。最近では、VMDという職種の重要性が認知され、“アパレル業界”以外にも、その活躍の場が広がりつつあります。転職を検討している方に注目してほしい、VMDについて深堀りしていきましょう!
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VMDになるには? どんな業務があるの?
まずは、VMDの具体的な業務内容について解説していきます。
実際、売り場によって業務内容は微妙に変わります。ここで紹介するすべての業務を、VMDが担うとは限りません。中にはVMD以外の人物がビジュアルマーチャンダイジングを行う場合もあります。ここでは、VMDが担うことのある業務について触れていきます。
業務1 「見やすい」「買いやすい」「選びやすい」店舗づくり
VMDらしいメインの業務は、店舗レイアウト、店舗ウィンドウの管理、店頭商品のディスプレイ管理などです。視覚的に消費者に訴える売り場づくりをすること、そして、売上に貢献することが求められます。
企業によっては、VMDが売り場のレイアウトを決め、実際に商品を並べるのは各店舗で働く販売スタッフということも少なくありません。そのため、各売り場で働くスタッフに対してのVMDトレーニングなども、VMDが担当します。
他にも、ビジュアルマーチャンダイジングが計画的に実施できているかの進行管理や、店舗イベントの際の什器の手配、協力会社との折衝などもVMDの仕事です。また、売り場の不具合など、メンテナンスなどもVMDが行います。
業務2 売上分析
担当フロアの売上分析や、店頭在庫の管理、予算管理、価格設定などもVMDの仕事です。マーケターの仕事では?と、思われるかもしれませんが、店舗内のレイアウトと売上との関連性は、VMDだからこそ把握できることでしょう。レイアウトの技術を持っていること、デザインのセンスがあることだけでなく、VMD売り場と売上のすべてが任されていると言っても過言ではないのです。
業務3 商品開発など、ブランディングに関わる業務も
VMDによっては商品計画や新製品の企画などを行うことがあります。商品開発は、マーケターやバイヤーなどが関わることの多い業務ですが、“売り方”を加味して商品を開発することで、より売上アップが期待できたり、ブランディングを行うことができたりするからです。
夏休みシーズンにはレジャー用品を、やクリスマスにはプレゼント商品をと、季節に合わせた売り場の計画をするのもVMDの仕事です。場合によっては、売り場の計画に合わせてVMD自身が買付を行うこともあります。
その他にこんな業務も
基本的にはVMDの仕事ではありませんが、企業や店舗によっては、付随する仕事も同時に請け負うことがあります。
例えば、売り場づくりに必要な市場調査・マーケティング業務もVMDが請け負うことがある仕事です。また、競合調査、トレンド調査なども、売場づくりに欠かせない情報。VMDが請け負うこともあります。
VMD活躍の場は、アパレル業界に限らない!?
VMDはアパレル業界に特化した職種と思われがちですが、実は最近では、その重要性が見直され、ビジュアルマーチャンダイジング専任の担当者であるVMDを配置する企業が増えています。VMD活躍の場は、アパレル業界に限らないのです。
ここからは、どんな業界、店舗などでVMDが活躍しているのかについてご紹介していきます。
活躍の場1 アパレル、ファッションのショップ
大まかなVMDの打ち出しは、本社が統括して行うケースがほとんどです。店舗ごとに任される裁量は小さいことも少なくありません。実際、全店舗を任されるようなVMDになるには、かなりのキャリアを積む必要があります。VMDは、店やブランドのイメージを決定するような職種で、憧れる人も多い花形の仕事です。しかし、店の売上も左右することから責任も重くなります。初心者では簡単に務まらず、なかなかハードルが高いのが現状です。
活躍の場2 古着屋
古着屋で取り扱う商品は、基本的にすべて一点物。また、店によっても扱う商品が違うことが特徴です。
古着屋に並ぶ商品は、お客様が持ち込んだ古着を買取したものや、中古品を扱う業者から一括で仕入れたもの、海外から買い付けたものと、実に多彩です。臨機応変に売り場をつくる必要があり、まさにVMDの腕の見せどころと言ってもいいでしょう。
トレファクスタイルという古着屋を例に、VMDのしごとについてご紹介しましょう。トレファクスタイルの商品は、お客様が店頭に持ち込んだ古着を買取したものが主力となっています。常に一点ものに出会うワクワクがあり、手元にある商品でどんな売り場がつくれるのか、自分のアイデアが活かせる面白さがあります。どんな売り場ができるのか、可能性は無限大です。
また、未経験者では任されることの少ないVMDですが、トレファクスタイルでは1年目からVMDに関わる仕事に取り組むことができる風土があります。一般的には未経験者の採用も珍しいVMDですが、トレファクスタイルの場合は初心者からでもVMDにチャレンジできます。目の前の商品で店作りができる状況下では、スキルアップもめきめきと上げることが可能です。また、同じ製品が各店舗にあるわけではないため、店長の裁量で、店舗ごとの特色を出すこともできます。
一般的なVMDは売上の責任も負うこともありますが、トレジャーファクトリーの場合はノルマも無し。アパレルに多い「社割で自社製品を買い取る」制度もなく、店の商品を着て店舗へ出る必要もありません。
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活躍の場3 スーパーマーケット
生活に必要な食料品や生活雑貨を売るスーパーマーケットにも、ビジュアルマーチャンダイジングは活かされています。スーパーマーケット業界では、商品の並べ方によって消費者の購買意欲を高めたり、売り場に長く滞在させ、1円でも多くの売上アップを狙ったりと、ビジュアルマーチャンダイジングのテクニックが欠かせません。
活躍の場4 カーディーラー
カーディーラーのビジュアルマーチャンダイジングは、ブランドイメージを伝え、乗ってみたいと思わせることが目的です。
また、自動車離れが叫ばれる中、車のある暮らしを想像させる取り組みもVMDには求められます。あまり普段は立ち入ることのないカーディーラーですが、カフェを設置するなどして、まずは足を運んでもらうオープンな店舗作りが必要です。
活躍の場5 ショールーム
入りやすさや見やすさは、どんなショールームにも共通する必要な要素です。そして、そのショールームに行きたくなるような、空間の心地よさなども考えなければいけません。実際にその製品を使ったらどうなるのか、暮らしを想像できるような工夫も求められます。
活躍の場6 美容サロン
施術への期待度を高める店舗づくりが求められます。お客様の満足度を高めるには、施術テクニックを高めることはもちろん大切です。しかし、施術はカタチのないもの。施術を受けていて心地よい、リラックスできると消費者に感じてもらうには、「心地よい、リラックスできる」と思えるような空間づくりをしなければいけません。美容サロンでは、照明、インテリアを熟知したVMDが必要となります。
活躍の場7 インテリア・雑貨ショップ
「クッションがほしい」と、特定の商品を求めて訪れる客と、「部屋のインテリアを一新したい」と、模様替えに必要なアイテムを探しに来る客の、どちらも取り込まなければならないのがインテリアや雑貨のお店です。生活必需品ではない商品でも、「これをぜひ自宅に置きたい」と、思わせる必要があります。
VMDになるために必要な経験・スキルとは?
さて、具体的な業務内容や、どんな業界で活躍できるのかについて触れてきました。では、実際にVMDとして働くには、どんなことが必要になるのでしょうか。
必要な経験・スキル1 接客経験がある
VMDとして働くには、接客経験がある人がおすすめです。店舗では、販売スタッフが消費者に商品をすすめたり、案内したりします。消費者と対面でものを売る経験が、ビジュアルマーチャンダイジングにも活かせるのです。
必要な経験・スキル2 ブランドへの理解力、商品知識がある
VMDとして働くなら、そのブランドや業態のことをきちんと理解していなければいけません。なぜなら、自社ブランドのイメージなどを、ビジュアルマーチャンダイジングを通して表現しなければいけないからです。視覚的に訴えかけるためには、ブランドや商品のことはきちんと把握しておく必要があります。
必要な経験・スキル3 意図ある店舗づくりができる
その色を選ぶ理由、音楽を流す理由、POPをつける理由など、すべてのビジュアルマーチャンダイジングに意図をもって取り組む必要があります。例えば、商品を手にとってもらえるようにしたいという意図があるなら、手の届くところへ商品を陳列したり、姿見の鏡を設置したりするなどして、消費者の手が商品へ伸びるように工夫をします。
必要な経験・スキル4 イメージを伝えるセンスや表現力がある
ファッションならファッションのセンス、インテリアならインテリアのセンスは最低限必要です。表現するのは、キャンバスなどの平面ではなく、店舗という空間で行います。そのため、空間においての表現力を磨いておくことも大切です。自分よがりではなく、人から見てどう見えるのかを考えることも大切ですね。
必要な経験・スキル5 ハードな勤務にも耐えられる体力がある
複数店舗を展開するような企業の場合、VMDは本社に数名所属しているだけということが少なくありません。全国の店舗を掛け持ちで担当し、出張続きになることもあります。また、VMDは開店前や閉店前の時間に活動することが多く、働く時間が変則的です。体力的にハードに感じる人も少なくないでしょう。
必要な経験・スキル6 資格「商品装飾展示技能士」を取得している
VMDとして必須資格ではありませんが、「商品装飾展示技能士」という資格を取得するのもおすすめです。VMDについての知識もつくため、これからVMDを目指すのであれば、資格勉強の内容が活かせることもあるでしょう。
VMD人材にはこんな人が向いている!
さて、VMD人材に向いている人には、どんな特徴があるのでしょうか。
こんな人におすすめ1 流行に敏感、情報収集に余念がない
視覚的に訴えるビジュアルマーチャンダイジングは、斬新さやトレンドの要素が欠かせません。流行にも敏感で、情報収集にも余念がないタイプの人が向いています。
こんな人におすすめ2 勉強熱心、情報整理が得意
ビジュアルマーチャンダイジングには、しばしば心理学の知識なども用いられます。新しい情報がアップデートされることもあり、常に学ぼうとする姿勢が必要です。また、多くの商品を見やすく配置することが求められるVMDの仕事は、情報整理が得意な人ほど向いています。
こんな人におすすめ3 小さな疑問、関心を大切にできる
お店の商品を手にとってもらうには、消費者の気を引くことが大切です。その気を引くのに有効なのが、疑問や関心。「これ、なんだろう?」「まぁ、素敵!」など、まずはその商品に気づいてもらうことが必要なのです。VMDになるには、たとえ小さな疑問や関心でも、大切にして活かす姿勢が必要でしょう。
こんな人におすすめ4 フットワークが軽く、さまざまなお店を周ることができる
VMDは、他店のレイアウト、ディスプレイなどを見て学んだり、動向を知ったりする必要があります。1日に何軒ものお店を回ることができるなど、フットワークの軽さが仕事の質に変わることもあるでしょう。
未経験者でもOK? VMDへの転職
未経験からVMDへ転職するのは、簡単なことではありません。しかし、その方法がないわけではありません。
VMDへの転職 未経験での応募は難しいが……
VMDの求人を検索すると、ほとんどが経験者の募集です。しかし、未経験案件も0ではないので、根気強く未経験案件を探して応募するといいでしょう。まず手軽なのがネット上の求人サイトですが、気になるブランドや業態の公式サイトへ直接アクセスし、採用情報を仕入れることも有効です。もし、サイトに載っていないのであれば、企業の問い合わせ先へ尋ねてみてもいいでしょう。
また、VMDは募集していなくても、VMDのアシスタントを募集しているケースがあります。将来的にVMDになれるチャンスもあるので、チェックしてみてください。VMDアシスタントの場合は“アルバイト採用”ということもあります。正社員の転職求人サイトではなく、アルバイト求人のサイトなどもくまなく探してみてください。
この記事でも触れたとおり、VMDという職種以外の人がVMDの業務を担うことがあります。職種は「販売」などの別の職種でも、結果としてVMDの仕事に関われる職種もゼロではありません。求人情報の中の業務内容についてもしっかり読んで、VMDの仕事ができないか、調べてみてください。
【対策】未経験でもあると歓迎の経験・スキル
VMDとして働きたいのであれば、アパレルショップで販売スタッフをしたことがある、接客販売業務の経験があるという方のほうが歓迎されるでしょう。また、店舗マネジメント経験がある方も、その経験がVMDに活かせます。しかし、どちらも“あると歓迎”という程度で、有効な一手になるわけではありません。
「将来絶対VMDになりたい!」というのであれば、販売スタッフとしてでもビジュアルマーチャンダイジングの仕事に携わり、実績や経験を積んでいくことが大切です。まずはアシスタントや未経験OKの求人を探して、VMDの働く現場に入ることを目標にしてみましょう。
※未経験の方も大歓迎。1年目からVMDに関わる仕事に取り組めるトレファクスタイルでは、中途採用のスタッフを募集中です。詳しくはこちら
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この記事を書いたひと
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