【パラブーツのお手本にしたい素敵コーデ①】
オーバーサイズのファッションに合わせた、シュッとしたシルエットのシャンボード。バランス感覚が抜群でとってもオシャレ from instagram @k_kun0322
ある日突然、夫が古着屋でParaboot(パラブーツ)のシャンボード(CHAMBORD)を買ってきた。
これは我が家にとって号外級の一大ニュースである。
最近はOnitsuka Tiger(オニツカタイガー)の LAWNSHIP 3.0やadidas(アディダス)のスタンスミスを好んで履いていた彼。コーディネートを考えるときも“スニーカーとの相性”を重視して選んでいた。
そんな彼が革靴を買う日なんて、一生来ないものだと私は思っていた。
けれど、違った。
今では鼻歌を奏でながらシャンボードを丁寧に磨き上げ、雨の日も晴れの日も革靴コーデを堪能しているのだ。そしてパラブーツを履き始めたことで、彼から醸し出される雰囲気も変わった。確実に。
おかしい。
スニーカー派のときと服の好みは変わっていないのに。もっと言えば、服のコーディネート自体は何も変わっていないのに、だ。
『同じ服を着ても、足元がパラブーツってだけでいつもと違うでしょう?』
と得意げな彼。え、めっちゃくちゃパラブーツとやらにハマってますやん。
【パラブーツのお手本にしたい素敵コーデ②】
存在感のあるミカエルフォックはシンプルスタイルと相性抜群。幼く見えがちなハーフパンツも大人カジュアルに履きこなせる from instagram @shun.arkw.7
パラブーツのこだわりは三本の矢? 他社にはない魅力と人気の秘訣とは
聞く話によると、彼がパラブーツを購入したきっかけは職場にいる革靴マニアの先輩の一言だったらしい。
「革靴の何が嫌なの?」
『いやぁ、一日履いていると疲れるし手入れは大変だし、そもそも雨の日に履けないっていうのが厄介ですよね』
「あはは。なるほどね。じゃあとりあえず、一回でいいからパラブーツの革靴を試してみなよ。スニーカーよりも高価な買物になるから、初めてなら古着屋もいいよ。雨の日も気を遣わず履けるし、あの耐久性はスニーカーと比べ物にならないぞ 」
この先輩、革靴を語らせたら右に出るものはいない(もちろん社内限定での話)。
普段はパラブーツやJ.M. WESTON(ジェイ・エム・ウエストン)を愛用しているのだけれど、それ以外のブランドでも国内で買えるブランドならば一通り試着済み。
『まぁ結局、革靴は革靴。革靴好きな先輩だから魅力的に見えるだけで、きっと僕は変わらず、これからもスニーカー派だろうな』
と思いながらお店へ向かったそうだけれど、帰路につく頃にはすっかりパラブーツに心を奪われ、手にはシャンボードを持っていた。
スニーカー派の彼。パラブーツの“三本の矢”にやられる
「そもそもパラブーツの魅力って何なのさ?」
と聞くと、よくぞ聞いてくれましたとばかりに彼は目を輝かせながら口を開いた。(こういったときの彼は話が長い。やってしまった……)
『パラブーツには三本の矢があるんだ』
「三本の矢って、えーっと……あ! 戦国大名の毛利元就の言葉だっけ? 」
『そう! ご名答!!』
得意げになった夫がまず語り始めたのは、リスレザーの魅力についてだった。
『最初の矢が“LIS(リス)レザー”。パラブーツオリジナルのレザーなんだよ。見て、この油分。宝石みたいにキレイでしょう。フランスの宝石とも呼ばれてるんだって』
「へ……へぇ」
『このリスレザーは経年劣化も魅力のひとつでね、履けば履くほど味のある風合いになっていくらしい。スニーカーとは違った楽しみ方だと思わない?あー、僕が履くこの靴はどんな感じに育つのかなぁ(うっとり)』
【パラブーツのお手本にしたい素敵コーデ③】
クールビズな出勤スタイルにも馴染んでしまうのが、パラブーツのグルカサンダル。シンプルながら意外と思いつかない上級者コーデ from instagram @taigadazo
「2つめの矢は?」
『このラバーソールだよ。そもそもパラブーツって、ソールまで自社で作ってるんだって。ソール製造までするブランドなんて聞いたことある?』
「(いや、そもそもそこに興味を持ったこともな…い……)」
『履いてみてビックリしたんだけど、革靴なのにクッション性があって履き心地がいいのなんのって。摩擦に強い特性もあるから、雨の日の濡れた地面でもしゃきしゃき歩けちゃうのよ』
「それはいいね。雨の日の君は滑らないように頑張りすぎて、後ろから見ると若干生まれたての子鹿みたいだったからね」
『で、最後の矢ね』
「子鹿のくだりは無視かい」
『パラブーツといえば、その製造方法も特徴的なんだって。ノルヴェ-ジャン製法っていう、軍靴とか登山靴に使われてきた堅牢性の高い製法なんだよね。そりゃ革靴マニアにはたまらないわ。ハードな環境下でも耐えられるぐらいの製法で作られた靴だなんて、人生で一度は履いてみたいよ』
「で、実際どうなのよ」
『まだ履き始めたばかりだから、正直堅牢性の高さまでは実感できてないんだけど、頑丈さをウリにしている割りには足にしっくり馴染んでくれて、そこは意外な感覚だった。革靴ってどれを選んでも最初は固くて歩きづらいと思ってたから』
「ほう」
『しかもこの製法、機械じゃできないから手縫いなんだよ』
「ええ?!今の時代に手縫い……?」
『ね、どう考えてももっと楽な製法なんてあるのに、ずっと手縫いで手間のかかる製法を採用し続けてるあたり、なんだか職人っぽさを感じて心惹かれちゃうよねぇ』
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他社にはない高い耐久性と耐水性
まあまあまあ、ここまで聞いてパラブーツの魅力は少しだけ伝わってきた。
けれど、それでも長年スニーカー派だった彼の“雨の日に革靴なんて……”という想いが、簡単に覆される理由が分からない。
すると
『さっきリスレザーの話をしたでしょう』
と、また口を開いた彼。
『そのリスレザーが、“雨の日に履ける革靴といえば、パラブーツ”と言われる所以らしいよ』
「はい?革なのに雨に強いってどういうことよ?」
うんちく話がはじまると眠くなる習性を持つ私だけれど、この部分は結構気になっていた。
雨の日に革靴なんて履いたらシミになっちゃう。急いでお手入れしないと!って、疲れて帰ってきた後に靴のお手入れなんて面倒すぎるんだよなぁ……。
『さっき見た通り、リスレザーって油分がすごかったでしょう? そのおかげで撥水性がとにかく高い! 多少雨に降られたぐらいじゃ全然影響ないんだって。しかもそこに、さっきのノルヴェ-ジャン製法が加わることで、耐水性がかなり高まる!2列のステッチが水を防いでくれるからね』
「ほう」
『雨に強いってだけでも僕の中にある革靴のイメージは90°ぐらい変わったんだけど、パラブーツは丈夫さもやっぱり魅力。そのおかげで、プライベートでも革靴デビューできたからね』
「たしかに。君はあまりマメじゃない方だから、繊細な革靴とは相性が良くないよね」
『その点、パラブーツの革靴は毎日のようにガシガシ履いてもへこたれない。もちろん僕も一応メンテナンスしてはいるけれど、平日は仕事で疲れているから土日にササッと磨くぐらいじゃん。なのにツヤがあって、いい感じなんだよねぇ』
ここまで話を聞いて思った。
パラブーツ、なかなかいいのでは?
革靴のケア方法が何だかんだ難しそうで、どのくらい変わるのかも分からない…..。実際にケアをしたらどうなるのか? 見たくありませんか? 私は見せたいです 笑
人気の秘訣はどんなコーディネートにもハマるスマートさ?
【パラブーツのお手本にしたい素敵コーデ③】
足元か涼しげなオシャコーデ。ついラフなサンダルを合わせてしまいたくなるけれど、あえて革靴のグルカサンダルを選ぶところが今っぽい from instagram @kentaro_going
難しいことはよく分からない。
色々うんちく話を聞いたけれど、結局「なんか良さそう」っていう感想が残っているぐらいだ。でも、パラブーツのアイテムを色々眺めているうちに、機能性の高さと並んでデザイン性の高さも魅力なんだろうなと思うようになった。
デザイン性の高さといっても、トレンドをけん引していくようなデザインではなくて、繊細かつシンプルで、どんなコーディネートにもハマるスマートなデザイン性だ。
男性だったらスーツはもちろん、カジュアルなプライベート服にもいける。女性だったらマニッシュスタイルはもちろん、白いリネンワンピースに赤い靴下とミカエルなんてスタイルも抜群にかわいい。スニーカーだとスーツやマニッシュスタイルには合わなかったりする。
そう考えると、革靴ってありな選択肢だなと思うようになって、結局数ヶ月後には私も無事にパラブーツデビューしてしまったのである。
【完全なる主観】パラブーツのここが好き!
夫が急にパラブーツデビューをかまし、熱意溢れるプレゼンにより妻である私までパラブーツに目覚めてしまった我が家。
ここまで客観的な、それこそブランド側も売りにしているようなパラブーツの魅力を語ってきたけれど、ここからは少し、主観でパラブーツの魅力を語らせてもらおうと思う。
あくまで主観。
この前まで靴といえばスニーカー一択だった夫婦の感想だから、どうか気軽に見てほしい。
履き心地はもはやスニーカー
私たち夫婦が革靴を敬遠してきた理由は、履き心地の窮屈さにある。
こちとら仕事でバリバリに疲れてるじゃい。休日ぐらい足を休ませろー!って感じで、楽なスニーカーを選んできた。
カジュアルなスニーカーは、気持ちまで開放的にしてくれる。
そんな我々2人は、もし革靴デビューを他のブランドでしていたらスニーカーに戻っていた可能性が高いと思う。でも夫の先輩に勧められたブランドがパラブーツだったから良かった。
革靴にありがちな「お?あんたらなんかに、この私を履きこなせるのかい?」みたいな手厳しさがないのだ。ガシガシ履けて、革靴には珍しく2回目には結構しっかりめに馴染んでくれている。
『もはやスニーカー』というと言い過ぎかもしれないけれど、それぐらいフレンドリーな革靴だったのだ。
服のテイストを変えなくてもいいお手軽さ
休日に革靴デビューするにあたって気がかりだったのは、服のテイストに何かしら影響があるのでは?ということ。
革靴に合う服を買い足して、美容院にも行って、なんならネイルの色も変えた方がいいのかなとか思っていた。
けれど、パラブーツはほんとにフレンドリー。
コーディネートは何ひとつ変えていないのに、スッと足元に入り込んで前からそこに存在していたかのように、私や夫を見上げてくれる。ボーダーT×デニムというオーソドックスなお散歩スタイルにもすんなり溶け込む革靴。
ああ、買ってよかった。
【パラブーツのお手本にしたい素敵コーデ④】
いつものコーデにサラリと合わせたシャンボード。足元からコーデを格上げ。決めすぎていないのに、洗練された雰囲気を演出 from instagram @iifuku_official
なんかちょっといい場所まで運んでくれそうな品質の高さ
ちょうど誕生日だったし、結構働いた次の月だったからありがたいことに原稿料でほくほくしていた私のお財布。思い切ってパラブーツのグルカサンダルをポチっとしてみた。
早速届いたサンダルに足を滑り込ませてみて、驚いた。
“いい靴は、履く人を素敵な場所へ連れていってくれる”
そんな言葉を思い出させてくれる質感だったのだ。
正直ワンシーズンで履きつぶすなら、プチプラブランドの革靴でも十分かもしれない。でも、それはパラブーツではない。夫が熱弁をかましたパラブーツではないのだ。
古着を愛するすべての人へ。ブランド古着の通販サイト「TREFAC FASHION」ではパラブーツの販売を強化中。どの商品も一点物のため購入はお早めにどうぞ。
男女ともに迷ったらコレ! 一足目におすすめの定番(注目)アイテム 3つ
さて、夫の先輩に影響を受けた我々夫婦は見事パラブーツの魅力に気が付いてしまったわけだけれど、最初はどのアイテムを選ぶべきかでかなり悩まされた。
主婦にとっては安い買い物じゃないから、渾身の一足を選びたかった。
既に購入済みの夫は夫で、パラブーツの良さを最大限知るためにも、一足目でチョイスミスは許されないと思っていたらしい(大げさすぎないかい?)。
というわけでここからは、私たちがリサーチにリサーチを重ねた結果、「これを選べば間違いない」と思ったモデルを3つ紹介したい
定番アイテムはシャンボード・ウィリアム・ランスの3つ
【シャンボード CHAMBORD】
パラブーツといえばシャンボード、と表現しても過言ではない。
スーツにも合うし、キレイめなカジュアルスタイルにもマッチするニクイやつ。
通勤がスーツなら、シャンボードを一足目に選ぶと間違いないと思う。
【ウィリアム WILLIAM】
シャンボードよりもどこか高貴な雰囲気漂うウィリアム。
ポテッとしたシルエットと、存在感のあるダブルモンクストラップがたまらない。
足元を見るだけで「あ、この人はオシャレだ」と伝わってくること間違いなしだ。
【ランス REIMS】
学生から社会人まで、それこそ男性から女性まで幅広いターゲット層から人気のモデルがランス。
着脱しやすく、デニムやチノパンといった王道カジュアルとも相性◎!
スーツだと若干の合わせづらさがあるかもしれないので、オフィスカジュアルやゆるめのフォーマルスタイルで通勤することが多い人におすすめ。
注目株はグルカサンダル!
まだ定番ではないけれど、2021年からの注目株は断然グルカサンダルと言える。
そもそも今年は、どのブランドもグルカサンダルがアツい。
夏はもちろん、ソックスと合わせて春先から秋口ぐらいまでは楽しめるアイテムだ。
SNSでも、#パラブーツ で検索するとグルカサンダルのコーディネートが続々投稿されている。プライベートにピッタリなパラブーツを探しているなら、まずグルカサンダルをチェックしておけばきっと損はない。
パラブーツに興味がある人にはこんなブランドもおすすめ
最後に、パラブーツに興味はあるけれど他のブランドも気になる人へ向けて、おすすめのブランドを革靴マニアである夫の先輩に聞いてみたので3つ紹介したい。
オールデン(ALDEN)
王道の革靴ブランドからチャレンジしたい人におすすめは、オールデン。
アメリカ最高峰とも評される革靴ブランドで、丁寧なお手入れで10年ないし20年は履ける上質さが魅力だ。
トリッペン (TRIPPEN)
ドイツ発のシューズブランドで、ドイツ国内だけでなくアメリカや日本など、さまざまな国でデザイン賞を受賞している。
1つひとつのシューズを手作業で丁寧に作られているところは、パラブーツと共通する魅力だ。
ドクターマーチン(Dr.Martens)
パラブーツよりもハードで重厚感あふれる雰囲気が好みなら、ドクターマーチンを試してみてほしい。
特に3ホールは合わせやすさから老若男女問わず、多くの人から愛されている。
私は夫の先輩に感謝している
何足も揃えられるような価格帯ではないけれど、確実にオシャレの幅を広げてくれるパラブーツ。
「革靴に興味がないわけではないけれど、スニーカーが安心だよなあ」
と思っている人にこそ、一度試してみてほしい。
きっと実感できるはず。
「ああ、この靴は良い」と。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
この記事を書いたひと
スーツ専門店やGU、UNIQLOで計5年勤務。UNIQLOではVMDを、GUでは店長を経験し、さまざまな角度からファッションについて学んできました。現在はその経験を活かし、ファッションや美容など、最新トレンドに関する記事を複数のメディアで執筆中。