面接で必ず聞かれるのが志望動機です。
「新しいことに挑戦したい」という理由で転職を考える場合、伝え方によってはネガティブな印象を与える可能性があります。よって、伝え方には注意が必要です。
本記事では、面接で好印象にする伝え方や、注意したいポイントについて解説します。また志望動機の例文も紹介していますので、合わせてご覧ください。
転職理由が「新しいことに挑戦」はアリ? ナシ?
面接で「新しいことに挑戦したいため、貴社を希望しました」と述べること自体は問題ありません。
ただし中途採用では即戦力を期待されるため、未経験者を採用することは企業側にとってメリットを感じにくいケースも多々あります。
そのため「新しいことに挑戦したい」という志望動機だけでなく、企業に採用したいと思われるようなスキルや経験のアピールが必要です。
採用担当者に好印象を与えるためには、自分がなぜその企業に興味を持ったのか、どのような価値観を持っているのかを具体的に説明しましょう。企業側が求める人物像に合わせて、自分自身をアピールすることが成功への近道です。
注意点として、企業側が求人票に「ポテンシャル歓迎」と明確に記載している場合があります。この場合は、即戦力でなく未経験者への門も開かれていると考えて大丈夫ですので、積極的に自分のポテンシャルをアピールすることをおすすめします。
転職理由「新しいことに挑戦」を好印象にするポイント
面接で「新しいことに挑戦」を転職理由として伝える際に、好印象を与えるポイントを4つ紹介します。
好印象にするポイント① 不満や愚痴は言わない
前職の不満や愚痴があっても、面接では口に出さないようにしましょう。
転職において、退職理由はよく聞かれる質問の一つです。給与面や人間関係、仕事内容などの不満を正直に答える人もいますが、あまり好印象を与えません。
たとえ心の中ではそのように思っていても、面接の際には「ポジティブな言葉」に置き換えることが重要です。
たとえば人間関係がうまくいかなかった場合、気が合わなかった人を責めるのではなく「チームワークを大切にしながら、仕事を進めていきたいと思った」など、前向きに伝えるようにします。
不満や愚痴の裏には、自分が実現したい目標や理想があるものです。前向きな言葉に変換して、プラスの印象を与えるようにしましょう。
好印象にするポイント② うそはつかない
自分をより魅力的にアピールしたいと思う気持ちは分かりますが、面接でうそをつくことは避けましょう。
なぜなら、その場ではうまくごまかせても、後でバレてしまう可能性があるからです。特に経歴や資格、実績での数値は記録として残っているため、調べればわかることです。
また採用されたいがあまり、できないことに対応できると言ってしまうのも、おすすめできません。もし採用されてから対応できなかった場合、転職者だけでなく企業側にとってもデメリットとなってしまいます。
好印象にするポイント③ 入社後のキャリアを具体的に描く
入社後のキャリアは、具体的に描いておきましょう。
面接ではキャリアプランを聞かれることがあります。キャリアプランとは将来の理想像を明確にして立てた、自身の行動計画のことです。
入社後のキャリアを具体的に伝えることで、自身の意欲や目標達成に向けた取り組み姿勢、組織への適合性などを、採用担当者へアピールできます。
未経験の業種への転職においてはやる気だけでなく、採用されたらどのように企業へ貢献できるかを提示することが大切です。
好印象にするポイント④ これまでの実績で次の仕事に生かせるアピールを考える
未経験の業種でも、新しい仕事で生かせる実績や経験をアピールすることが重要です。
求められるスキルと、自身が持っているスキルの共通点を探しましょう。
自分の長所を伝えるだけでなく、企業にとって必要な人材であると判断してもらえるようなアピールをする工夫が必要です。
面接で聞かれたときに慌てないよう、あらかじめ実績やスキルの棚卸しを行っておきましょう。
転職理由を「新しいことに挑戦」にする際の注意ポイント
転職理由を「新しいことに挑戦するため」とする場合、いくつかの注意すべきポイントがあります。以下では、避けるべきNGアピールについて紹介します。
注意ポイント① 「成長したい・勉強したい」はNG
「成長したい・勉強したい」という言葉で謙虚さや前向きな気持ちをアピールしようとする人もいますが、すべての採用担当者に良い印象を与えられるわけではありません。
むしろ自分で勉強できないから会社で学ぶ必要がある人物だと思われる恐れもあります。
成長・勉強は転職者のメリットであり、企業にとってのメリットは少ないと判断されることもあります。特に転職では即戦力を求めれる傾向が強いです。本音では勉強したいと思っていても、面接でそのままストレートに伝えるかどうかは慎重に考えた方がよいでしょう。
注意ポイント② 仕事に関係ないアピールはNG
面接で自己アピールする際は、転職先の業務に関連した内容を選びましょう。
どれだけ高度なスキルや得意分野を持ち合わせていても、業務にまったく関係ない内容であれば、必要とされない場合が多いです。
無意味なアピールをすると、「こちらの質問の意図を理解できない」と思われたり「うまくコミュニケーションがとれない」と判断されたりする可能性もあります。
そうならないためにも業務内容をしっかりと理解し、どのようなスキルが求められているかを事前に把握しておく必要があります。
面接では仕事内容に沿ったアピールを考えるようにしましょう。
面接官が転職理由を聞く理由
面接官が転職理由を聞くのは、転職者が長期的に勤務できるかどうかを判断したいためです。具体的に面接官がチェックしている項目を紹介します。
転職理由を聞く理由① 転職者が社風にあっているかを見極めたいから
転職理由を聞く目的の一つは、「社風」に合う人物かどうかを見極めることです。入社後にミスマッチとわかり、自社には合わない人材だったと気づいても、手遅れとなるからです。
そうならないためにも、転職者の仕事に対する価値観や業務に対する希望を、企業側は把握したいと考えています。
ミスマッチは転職者だけでなく、企業側にとっても避けたいものです。面接官は社風に転職者が合っているかどうかを確認するために、転職理由を尋ねています。
転職理由を聞く理由② すぐに辞めてしまわないかを知りたいから
二つめの理由は、転職者が長期的に働けるかどうかを確認するためです。
転職理由が「新しいことに挑戦」の場合、採用しても「すぐ辞められてしまうのではないか」と懸念を持つ企業も少なくありません。
「入社後は長く働いてほしい」と企業側は考えています。しかし社員として戦力になる前に、再び「新しいことに挑戦したい」が原因で辞められてしまうと、採用コストが回収できなくなり、企業としては困ってしまうのです。
企業側はこのようなリスクを回避するためにも、具体的な転職理由を知ることで、長期的に働けるかどうかを見極めています。
転職理由を「新しいことに挑戦」にするメリット
「新しいことに挑戦」にするメリットは以下のとおりです。
「新しいことに挑戦」にするメリット① 新たなスキルを身につけられる
未経験の業種に挑戦することは、新しいスキルを身につけられます。
業種によっては、専門的なスキルが必要とされることもあるでしょう。そのスキルを身につける過程で、前職では体験できなかったことを経験でき、仕事へのやる気が高まる可能性もあります。
新しいスキルを習得することで、仕事へのモチベーションが高まり、さらなる成長のチャンスにつながるかもしれません。
「新しいことに挑戦」にするメリット② 人脈を広げられる
新しい環境に身を置くことで、人脈を広げられる可能性があります。
たとえば会社のイベントや勉強会に参加することで、部署以外の人たちとのつながりが作れます。また取引先との出会いも、新たな人脈の拡大につながることでしょう。
人脈が広がることで視野が広がり、ビジネスチャンスにつながりやすくなります。また困ったときには助け合え、信頼関係も深まっていくことでしょう。
このように転職しなければ出会えなかった人に出会えるのも、メリットの一つです。
「新しいことに挑戦」にするメリット③ 前職のスキルが役立つこともある
前職のスキルが新しい職場で生かせることもあります。
自分自身では、できて当たり前と思っているスキルが、新しい職場において重宝されることも珍しくありません。
たとえばイラストレーターから保育職に転職する場合、絵を描くスキルは大いに役立ちます。毎月のクラスだより制作や壁面作成などにおいて重宝されるスキルだからです。
このように仕事に関係ないスキルだと思っていても、新しい職場で役立つことは十分に考えられます。
転職理由を「新しいことに挑戦」にするデメリット
反対に「新しいことに挑戦」と伝えるデメリットは以下のとおりです。
「新しいことに挑戦」にするデメリット① 収入が上がらないこともある
新しい業種への転職は、年収や待遇が下がる可能性もあります。
厚生労働省「-令和3年雇用動向調査結果の概況-」によると、「転職により賃金が増加した」と答えた割合は34.6%、一方「転職により賃金が減少した」と答えた割合は35.2%でした。こちらの統計はあくまで一例ですが、転職後の収入は上がることもあれば下がることもある、と言える結果になっています。
ただし転職においては即戦力となる経験者と比べて、未経験者は育成に時間がかかるものです。よって実務経験の少ない未経験者は、年収が下がりやすい傾向にあります。
「新しいことに挑戦」にするデメリット② 一から学び直す必要がある
未経験からの転職では、業務内容だけでなく業界の知識や常識などを一から学び直す必要があります。
前職でのスキルを生かせても、業種や職場が変われば、未経験者としてスタートすることになるのです。
また職場によっては協調性や指導力が求められることもあり、仕事に関する専門的なスキルだけでなく、他の能力が必要となる場合もあります。
このように、未経験業種への転職はさまざまな内容を学び直す必要があるというわけです。
「新しいことに挑戦」にするデメリット③ 環境の変化によりストレスがかかることもある
新しい環境に慣れるまでは、ストレスを感じることもあるかもしれません。
新しい職場では、以前の常識が通用しないこともあります。これまでは良いとされていたことが、受け入れてもらえなくなることも珍しくありません。
また職場の雰囲気になじめないと、孤独を感じてしまうこともあります。
転職による環境の変化は、避けられません。よってストレスをためないためにも、人に相談したり自分なりの目標を見つけたりするなどして、心身に影響を及ぼす前に対策を講じることが大切です。
「新しいことに挑戦」にするデメリット④ 入社後のミスマッチが起こる可能性もある
「新しいことに挑戦」したくて転職した場合、入社後のミスマッチが起こる可能性もあります。
ミスマッチは入社前と入社後のギャップが大きかったり、企業と転職者の情報共有が不十分だったりすることで起こりやすくなります。
転職のミスマッチを防ぐためには、企業について詳しくリサーチすることが必要です。転職フェアやインターンシップなどへ参加して、実際に社員と関わってみるのもおすすめです。
転職理由「新しいことに挑戦」を使った例文紹介
転職理由「新しいことに挑戦」を使った例文を、業種別に紹介します。
例文① アパレル職 → マーケティング職
前職では衣料品店で販売を担当しておりました。そこでは接客業務に加えて、SNSでの情報提供や自社ホームページのブログ更新などにも携わりました。
特に30〜40代のお客様に多くご来店いただき、ニーズに合わせたトレンドを取り入れるなどして、マーケティング戦略に力を注いでまいりました。
貴社は特にアパレル向けのECサイト支援事業に力を入れていると聞き、私の前職での経験を生かせると考え、志望いたしました。
入社後は現場で培った分析力とコミュニケーション力を生かし、貴社に貢献してまいりたいと思います。
例文② 営業職 → 経理職
以前の職場では商社営業として、商品の仕入れから営業販売までを担当し、自身で作成したExcelのマクロを使って顧客情報や営業成績、行動やスケジュールを管理していました。
非常にやりがいのある仕事でしたが、営業成績の分析や予算の策定に携わる中で、経理業務の重要性と影響力に深い関心を抱きました。
営業職で培ったクライアントとの関係構築や交渉スキルを経理の領域へ応用し、数値分析に基づいた経営判断に貢献したいと考えています。
経理に興味が湧いた頃から簿記の勉強も始め、現在2級を保有しております。
今後もさらに経理の知識とスキルを身につけ、入社後は企業の持続的な成長に寄与することを目指します。
例文③ 保育職 → 事務職
保育園ではクラス担任以外にも、給食の発注から職員のシフト作成、保護者の意見の集約など、事務全般に携わってまいりました。
また毎日の作業をよりスムーズに進めるためMOSの資格を取得し、次はビジネス文書検定を受験する予定です。
貴社は幼児向けおもちゃの販売に力を入れているとのことなので、これまでの保育士としての経験も生かせるのではないかと思い志望いたしました。
保育職で培ったコミュニケーション能力や組織力を生かし、入社後はチームの円滑な運営や効率的な業務処理に、貢献したいと考えています。
例文④ 小売業→リサイクルショップ店員
前職ではスポーツ用品店の仕入れバイヤーとして、トレンドのリサーチや価格設定、顧客データの分析や各交渉に携わってまいりました。
私は趣味で子どもたちに野球を教えています。そこで必要なものが買えずに辞めてしまう子どもがいることに、心を痛めていました。そんな中、スポーツ用品専門のリサイクルショップである貴社を知り、社会貢献にもつながる事業に自分もぜひ参加したいと思ったのが志望理由です。
入社後はマーケティングの経験を生かし、持続可能な消費の推進やリサイクル文化の普及に貢献する一員として、新たなキャリアの道を歩んでいきたいと思っております。
まとめ
「新しいことに挑戦」は前向きな転職理由ですが、採用側に「すぐ辞めてしまうのではないか」とマイナスな印象を持たれる可能性もあります。
そうならないためにも、具体的かつ前向きに志望動機を伝えることが重要です。例文を参考にしながら、自分らしい志望動機を作ってみてください。
本記事があなたの転職活動のお役に立てることを願っています。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
この記事を書いたひと
公立保育園で保育士として7年間勤務。退職後は10年間、専業主婦として子育てをしてきました。現在はフリーランスのWebライターとして「わかりやすい記事」をモットーに、SEO記事や取材記事を執筆しています。