あなたは「リファラル採用」という言葉を聞いたことがありますか?

リファラル採用は、これから日本でも増えていくとされる採用手法の一つです。これから転職を考えている人、一般採用試験しか受けたことがない人は、「リファラル採用」とは何なのか、知っておいたほうがいいかもしれません。

「リファラル採用」とは?

リファラル採用とは、すでに働いている社員が、自社の採用担当者に人材を紹介して採用につなげる採用活動を言います。紹介するのは、元同僚や知人、友人、学生時代の同期などさまざまですが、リファラル採用では、親しい間柄の相手を紹介します。

「縁故採用」とは何が違う?

ネコ採用、ネコ入社ではありません

知人や家族などを会社に雇ってもらう採用方法を、縁故採用と言います。縁故とは、親戚や血族などを示す言葉です。「コネ採用」「コネ入社」という言い方のほうが、わかりやすい人もいるかも知れません。(※ネコ採用、ネコ入社ではありません)

この縁故採用では、「うちの息子を雇ってほしい」と、社員の縁故というケースもあれば、「取引先のお客さんの娘さん」と、社外の人を雇うケースもあります。

縁故採用の場合は、“情け”や“義理”のようなものが作用して採用するので、採用する人物がどんな人物なのかは関係ありません。現場が求めていない人材であることもあり、現場と人材とのマッチングが合わないこともしばしばあります。

一方、リファラル採用は、企業に有益な人でなければ、採用には至りません。「このプロジェクトにはこの人材がマッチする」など、会社に紹介する理由がなければ、そもそも紹介することはないからです。

企業に対して有益かどうかは関係なく、人間関係だけで採用を決めることがある縁故採用と、会社に有益な人材を採用するリファラル採用。これが縁故採用とリファラル採用の最も大きな違いと言えるかもしれません。

リファラル採用が注目されている理由とは?

リファラル採用が注目されている理由とは?

働き手の不足は、日本の社会問題となっています。高齢化社会となり、労働人口が減少していることも、働き手不足の一員です。そんな中で、優秀な人材を十分に確保することは、簡単ではありません。そこで、注目され始めたのがリファラル採用です。

リファラル採用は、社員が有能な人材を紹介する制度です。なので、紹介される人材は企業や業務内容にマッチしている可能性が高く、有益な働き手となります。また、「一緒に働きたい」と思えるような人材です。会社にとって、いい影響を与えるのではという期待もできます。

最近は、働き手不足のほか、離職率の高さも企業の悩みです。とくに早期離職者が多く、せっかく教育しても離職してしまうため、若手が育たないと嘆いている企業は少なくありません。

その点、リファラル採用は早期離職者が少ないのが利点です。例えば、知人の紹介で入社したのに、数ヶ月も経たずに辞めるのは簡単ではありません。「せっかく紹介してくれたのに、知人の顔に泥を塗ることになる」と、遠慮してしまうでしょう。

そもそも、このような事態にならないように、しっかりと検討してから入社する人が多くなります。早期離職者が減る理由はこれだけではありませんが、企業側も、長く勤める気概がある社員が入社することは、大きなメリットでしょう。

このような理由から、昨今、リファラル採用に注目が集まっています。

リファラル採用のはじまりはアメリカ

リファラル採用のはじまりはアメリカ

リファラル採用がスタートしたのは、アメリカのIT企業からでした。リファラル(referral)とは「推薦」や「紹介」などを意味する単語です。アメリカではすでに2012年頃には、求人サイトよりも多くの人材を、リファラル採用で雇用したという調査結果もあるようです。

一般採用にはないリファラル採用のメリット

これまで一般採用しか経験がないという人のために、一般採用とリファラル採用の違いに触れていきます。

履歴書では伝わらない部分をアピールできる

「履歴書を送っても次の選考に進めない」

「面接ならうまくアピールできるのに…」

一般採用しか経験のない方は、こんなことを思ったことがあるのではないでしょうか。履歴書に書かれている内容は、学歴や保有資格など、どうしてもキャッチーな項目に目が行きがちです。面白いプロジェクトを経験していても、履歴書上だけでは語り尽くせない人も多いでしょう。なにより、何十、何百、場合によっては何千と送られてくる履歴書の中から、自分の履歴書に目を止めてもらうのは大変なことです。

しかし、リファラル採用では、自分の特技や特徴、仕事経験など、すべて紹介者が企業にアピールしてくれます。履歴書をむやみやたらに出すよりも、あなたのことが企業にきちんと伝わるのです。競合が少なくじっくり検討してもらえるので、万が一選考に漏れたとしても納得できることでしょう。

なんどか企業との面談を繰り返す中で、自分の足りない面にも気づくかもしれません。一般採用でなかなか採用してもらえないなら、リファラル採用を通して、自分の違う一面や、改善すると良い点などに気づくといいかもしれません。

マッチングトラブルを防げる

一般採用では、会社のことは会社の説明会などで聞くしかありません。また、口コミ投稿サイトなどで、評判を調べるしかないでしょう。入手できる情報が少なければ、入社後「こんなはずではなかった」と、入社前とのギャップに後悔することがあるかもしれません。あまりにギャップがある場合は、会社を辞める選択も避けられないでしょう。

リファラル採用の場合は、会社のことは現社員である紹介者に聞けばOKです。一般的な会社説明会やリクルーター制度とは違うので、尋ねにくいことも聞けるかもしれません。会社の雰囲気なども詳しく聞き出すことができるので、入社後、「こんなはずでは…」と、ギャップを感じることも少ないです。結果、マッチングトラブルにつながることを防げます。

リファラル採用のデメリット

リファラル採用の意外な「落とし穴」

メリットがある一方で、デメリットもあります。

良くも悪くも「紹介者頼み」

面談は受けるとはいえ、紹介者のアピールいかんで、あなたの採用・不採用が決まってしまうところがあります。紹介者が一生懸命対応してくれる人ならいいですが、そうでなければ不完全燃焼感が漂うかもしれません。

また、アピールしてくれる知人がいなければ、リファラル採用事態が不可能なのも、紹介者頼みとなる欠点かもしれません。

また、リファラル採用は、まだ日本で実施されてから間もない制度です。初めて取り入れるという企業も少なくありません。そのため、採用ノウハウがないなかでの採用となることもあります。正しく自分が検討されたのかと、不信に思ってしまうこともあるかもしれません。

人間関係に影響がある

知人に紹介してもらうリファラル採用の場合、少なからず人間関係に影響を及ぼします。例えば、あなたが誰かと揉めたとします。その揉めことが、紹介者にまで波及することも、可能性としてはゼロではありません。

また、紹介者が会社を辞めたことで、働きにくくなるという可能性もあります。リファラル採用を利用する際は、これらのリスクも加味して、入社を決めるといいでしょう。

まとめ

アメリカのように、日本でもリファラル採用が主流の採用手法となるかもしれません。しかし、現時点では、リファラル採用だけで転職活動をするのはリスキーです。じっくりと時間をかけて検討してくれるものの、本当に採用されるかどうかは最後までわからないもの。第一、入社したい会社にあなたを紹介してくれる人がいなければ、意味がありません。

最近では、リファラル採用専用のエージェントも増えてきたようですが、転職活動は長引けば長引くだけ、経済的な負担も大きくなります。できれば一般採用を並行して行い、転職活動をスムーズに進めていくことが大切です。

リファラル採用にもメリットとデメリットがあります。両方を理解した上で、転職活動をプランニングしてみてはいかがしょうか。

※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。


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