企業研究ノートとは「志望企業の情報をまとめたノート」のこと
「企業研究ノート」は、書いて字のごとく、企業の情報をまとめたノートのことです。「就活ノート」と呼ぶこともあり、就活を有利に進める上で欠かすことのできないマストなツールといえるでしょう。
「どうやってノートを作ったらいいのかわからない」
「そもそも、企業研究ってどうやればいいの?」
と、お悩みの学生さんもいらっしゃるかもしれません。そんな方向けに、この記事では、企業研究ノートの作り方を解説します。実際の書き方例のほか、おすすめの市販ノートも紹介します。
企業研究ノートを作るメリット
情報を調べっぱなしにせず、ノートに書き残して整理することには、いろいろなメリットがあります。
まず、自分で考えながら手を動かすことで、情報が記憶に残りやすくなります。企業同士の比較もやりやすくなり、志望先を絞り込んでいくときに楽です。また、あとから情報がふりかえりやすくなるため、面接対策にも役立ちます。
では、いよいよ次項から、企業研究ノートの作り方を見ていきましょう。
企業研究ノートの作り方と基本項目
こちらでは、企業研究ノートの具体的な作り方と、書くべき基本項目を解説します。
作り方の流れ
企業研究ノートを作るときの基本的な流れは、以下のとおりです。
[1]やりたい職種を考える
↓
[2]入りたい業界を考える
↓
[3]その業界にどんな企業があるかを探す
↓
[4]興味を持った企業の情報を集める
↓
[5]集めた情報をノートにまとめる
これは、企業研究そのものの進め方にもなっています。順番に解説していきます。
[1]やりたい職種を考える
職種とは、「仕事の種類」のことです。たとえば、「営業」「開発」「宣伝広報」「経理」などがあります。
まずは、自分がやってみたい仕事を考えてみましょう。
「販売のアルバイト好きだったから、営業にチャレンジしたい」「新しい〇〇を作りたいから、開発職がいい」など、過去の経験や興味関心を出発点にすると進めやすいです。
[2]入りたい業界を考える
次に、業界について調べてみましょう。
「どんな業界があるのかわからない」という人は、総務省の「日本標準産業分類」をチェックしてみてください。
業界は、大まかに以下の2種類に分けられます。
- ものづくり系(機械、食品、繊維、医療品など)
- それ以外(金融、通信、マスコミ、小売業など)
自分が何かの「ものづくり」に関わりたいのか、それとも他に興味があるのかを考えてみましょう。なお、業界によって、現状や将来性が異なります。さらに詳しく調べるには、以下の本やインターネットを活用しましょう。
【参考書籍】
- 日経業界地図(日本経済新聞社)
- 会社四季報業界地図(東洋経済新報社)
- 図解!業界地図(プレジデント社)
- 図解入門業界研究 最新〇〇業界の動向とカラクリがよ~くわかる本(秀和システム)
【参考WEBサイト】
- 景気・経済の動向(帝国データバンク)
- 金融機関によるレポート(例:三井住友銀行「経済・業界動向に関するレポート」)
[3]その業界にどんな企業があるかを探す
志望業界を決めたら、次にどんな企業があるのかを調べましょう。方法としては、以下が挙げられます。
- 本や新聞で調べる
- インターネットで探す
- 上場企業から探す
- 大学のキャリアセンターで調べる
- お店に並んでいる商品を調べる
本や新聞を読むのは、もっとも基本的な調査方法です。業界によっては、専門の新聞や雑誌があります。図書館や日本専門新聞協会のサイトで探せますので、業界が絞れているのであれば、ぜひ読んでみましょう。
【参考書籍・新聞】
- 就職四季報 総合版(東洋経済新報社)
- 就職四季報 女子版(東洋経済新報社)
- 就職四季報 優良・中堅企業版(東洋経済新報社)
- 会社四季報 未上場会社版(東洋経済新報社)
- 日本経済新聞
- 業界の専門新聞
- 業界の専門雑誌
インターネットで企業を探す場合、いわゆる就活サイトは、企業から掲載料をとっている点に留意しましょう。高い掲載料を払えば、それだけユーザーの目にとまりやすくなる仕組みです。政府による企業情報サイトなどもあるため、就活サイト以外もいろいろ見てみましょう。
「上場企業」とは、その企業の株式を売り買いできるようになった企業のことです。日本経済新聞の株価欄は、産業ごとに企業の名前が並んでおり、どんな企業があるのかを一目で確認できます。
また、投資情報サイトのYahoo!ファイナンスでは、業界名から企業を検索できます。上場企業は、有価証券報告書などで経営状態を公表しているため、会社の現状がわかりやすいのがポイントです。
もし、大学にキャリアセンターがあるのであれば、ぜひ活用をおすすめします。学生に就職支援をしてくれる場所であり、膨大なOB・OGの就職先データを持っています。また、視点をちょっと変え、 コンビニや商業施設、駅などに出かけて、商品を調べてみるのもおすすめですよ。
[4]興味を持った企業の情報を集める
興味を持った企業が見つかったら、その企業に関する情報を集めます。調べ方には、以下の方法があります。
- 資料を読む(本、レポート、WEBサイトなど)
- 人の話を聞く(会社説明会、会社訪問、講演会、OB・OG訪問、施設・工場見学など)
- 体験する(商品やサービスの購入、インターンシップ、アルバイトなど)
資料を読むだけでなく、ぜひ積極的に足を動かすことをおすすめします。「行動力」は、企業にとって大きな評価ポイントだからです。
[5]集めた情報をノートにまとめる
企業について調べたら、いよいよ企業研究ノートにまとめます。実際に書くべき項目は、次項で解説します。
企業研究ノートに書くべき基本項目
基本項目として、以下の情報をノートにまとめてみましょう。
- 企業のプロフィール(業界、社名、扱う商品・サービス、従業員数、経営理念など)
- 過去3~5年間の業績
- 企業の強み
- 企業の抱えている課題
- 将来のビジョン、今後の注力分野
- 従業員の情報(採用数、3年以内の離職率、男女割合、平均年齢、平均年収、有給取得率など)
- 労働環境(給与、休暇、福利厚生など)
- ライバル企業
- 求める人材像
さらに理解を深め、就活に役立てるには、以下の項目を書くのもおすすめです。
- 興味を持った理由
- 採用試験情報(試験内容、選考スケジュール、通過率など)
- OB・OG訪問や会社説明会で感じたこと
- 企業の沿革
- 現在の経営者がどんな人物か
- 倒産リスクの高さ(自己資本比率、営業キャッシュフローなどから判断)
- 海外売上高比率
- 面接の情報(過去の質問、実際の質問、自分の発言記録など)
企業研究ノートの書き方例5パターン
こちらでは、企業研究ノートの書き方例を5パターン紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
※サンプルに書かれているのは架空の情報です。
会社情報だけでなく、自分が興味を持った理由などもメモ
ただ会社の情報をメモするだけでなく、「その会社に興味を持った理由」「自分との相性」なども書くことで、自己分析や自己PRの下地になります。
スケジュールも書き込んで、情報を一元管理
受けたい企業の選考スケジュールもいっしょに書くことで、予定がわかりやすくなります。就活が本格化すると、説明会の連続や、面接日の重複、なんてこともありえます。スケジュールを把握して、直前に慌てないようにしましょう。
ルーズリーフの活用で、情報を整理しやすく
ルーズリーフは、簡単にページを入れ替えできるのが強みです。簡単に順番を入れ替えたり、不要なページを取り外したりできるので、情報整理が思いのまま。企業からもらったパンフレットや、印刷したページに穴を開けて、いっしょにファイルにはさんでおくこともできます。
記憶に残りやすいように、図解やイラストを入れる
絵は文字よりも目につきやすいので、重要ポイントや覚えておきたい部分に、図解やイラストを描いてみるのもおすすめです。就活は大変なものですから、自分なりに楽しむ方法を探すのも手です。
面接時の質問や反省点なども書いて、内定まで使えるノートに
企業研究ノートは、面接対策にも使えます。過去の質問を調べることで予習ができます。また、実際に自分が面接を受けたとき、話した内容や、反省点・改善点をノートに書いておけば、次の面接の参考になります。
使いやすい!おすすめ市販ノート4選
コクヨ キャンパスノート(ドット入り罫線)
ノート界において、圧倒的な知名度と1975年から続く歴史を兼ね備えた、コクヨのキャンパスノート。中でもおすすめなのが、ドット入り罫線タイプです。ドットが目安となり、文頭がきれいにそろうため、意識せずとも見やすいノートになります。図表が書きやすいのもポイントです。
※詳細はこちら
無印良品 ノート・7mm横罫(A4・A罫・30枚・糸綴じ)
「いっぱい書きたい」「今後書き足すために、余白を残しておきたい」というのであれば、A4サイズのノートがおすすめです。一般的なノートはB5サイズです。A4サイズはかなり大きく感じるかもしれません。それだけたっぷり書き込めますし、A4サイズのプリントをはみ出さずに貼ることもできます。
無印良品のA4ノートは値段も手頃で、デザインもシンプルなので、好きなように使ってみましょう。
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中村印刷所 目に優しいノート【B5判 5mm方眼 紙色 グリーン】30枚 水平開き(ナカプリバイン)
視覚過敏の方のツイートで話題になった、グリーンノート。ページが淡い緑色をしており、反射が少ないことから、使っていて目が楽なのが特徴です。中村印刷所のグリーンノートは、目に優しいだけでなく、きれいに水平開きになります。実は、この水平開きの技術も、かつてツイッターで話題になったもの。
見開きを1ページとして使える、見開きコピーもきれいに取れる、というメリットはもちろんですが、いちいち起き上がってくるページを押さえなくて済むので、小さなストレスがありません。
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無印良品 植林木ペーパー裏うつりしにくいルーズリーフ・ケース入り
ノートではありませんが、「整理」という点から、ルーズリーフはとても便利です。今回おすすめするのは、無印良品のルーズリーフです。
元からケースがついており、少量のページをきれいに持ち運べます。会社説明会などににケースごと持っていってメモし、家に帰ってファイルに閉じる、という使い方もいいですね。紙自体の質感もよく、なめらかな書き心地です。
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企業研究ノートを作る上で注意するべき3つのポイント
企業研究ノートは就活に役立ちますが、作るうえで気をつけたいポイントもあります。
それが、以下の3つです。
- ノートを作ることを目的化しない
- 比較をしやすくするために、記載項目は統一する
- きれいに書く必要はないが、読みやすいように書く必要はある
それぞれ詳しく説明します。
ノートを作ることを目的化しない
重要なポイントです。企業研究は、ゼミのレポートではありません。情報をよくまとめて研究書を作れば、良い成績がもらえて就職成功、というものではないのです。
ただでさえ、就活生は時間が足りなくなりがちです。ノート作りに一生懸命になりすぎて、ノートを作ること自体が目的化しないように気をつけましょう。
比較をしやすくするために、記載項目は統一する
項目とは、「観点」と言い換えることができます。世の中にはたくさんの企業があり、一見、どの企業もやっているビジネスは同じように見えます。
しかし、よく調べると、ビジョンや注力分野、給与や休日の実態、社員の雰囲気など、細かい部分が違います。同じ項目(観点)から企業を比較すると、その違いが見えやすくなります。ノートに書く項目はあらかじめ決めて、テンプレート化しておくのがおすすめです。
きれいに書く必要はないが、読みやすいように書く必要はある
企業研究ノートは、きれいに書く必要はありません。大事なのは、「後から読みかえして、ちゃんと自分で内容がわかること」です。「ノートに何が書いてあるのかわからない…」とならないように、その点だけは注意しましょう。
まとめ
企業研究ノートは、企業への理解を深めるのに有効です。自己PRや面接の受け答えにも役立ちますし、入社後のギャップを避ける効果もあります。この記事を参考に、ぜひ企業研究を進めていただき、内定獲得を目指してください。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
この記事を書いたひと
「仕事の数だけ物語がある」をテーマに、JOB STORYの編集部がさまざまな視点で記事をお届けいたします。