皆さん、アロハシャツについて真剣に考えたことはありますか?
アロハシャツの成立には、諸説ありますが、ハワイの日系人の歴史と深い関わり合いがあることをご存知でしょうか?
海に近くハワイアンな雰囲気がどこか漂う「茅ヶ崎市美術館」にて、9月から「ヴィンテージアロハシャツの魅力」という面白い企画展が開催されています。本邦初公開のヴィンテージアロハシャツも目白押し! その見どころになどについて、今回の展示を企画した学芸員の月本寿彦さんを取材してきました!
茅ヶ崎はアロハオエな世界
けれど今回はスタッフなので、美術館内では無理やり着せられている感もあります笑
「本当にその格好で来る人がいるのかな」と思っていたんですが、実際に来てみると、むしろアロハシャツの人の方が多いという笑
私は茅ヶ崎市民ですが茅ヶ崎市って、市の職員も10数年前から「クールビズ」としてアロハシャツを着てるんですよ。
街の人も夏になると、お気に入りのアロハシャツを持ち出して、「何十年着ているんだろう」という良い感じでエイジングしたシャツを、おしゃれに着てらっしゃる方をたくさん見かけます。
もちろん、こういう風土とか土地柄があって、今回のこの展覧会の企画を思いついたというのもあるんですけど。
美術館でアロハシャツ、なんか攻めてていいですね
でもまさか展覧会として実現できるとは、運命のようなものを感じます。
ちょうど、3年前になりますでしょうか・・・
そのときのご縁で、ホノルル美術館のテキスタイル・ファッションご担当の方に、次の取り組みについてアドバイスをお聞きする機会がありまして。
そのとき、「JAPANにアロハシャツの世界的なコレクターがいるから面白いんじゃない!」という話で盛り上がったんです。確かに、アロハシャツは面白いテーマだなと気がつきました。
(※詳しくはぜひ美術館の展示で見てみてください!)
その歴史もきちんと紹介することで、ハワイと日本の文化交流についてもアプローチできます。まさしく市民の美術館にふさわしいテーマですよね。
人づてに、ヴィンテージアロハシャツの世界的なコレクターである東洋エンタープライズ株式会社・代表取締役の小林亨一さんにお会いすることができ、この企画を熱意を持ってお伝えしたところ、快く協力の承諾を得ることができました。
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アロハシャツのブランド、サンサーフが僕たちにくれた奇跡
ヴィンテージアロハシャツはその中でも見どころで、日本初公開の作品も数多く取り揃えました。
来館されている方は茅ヶ崎市の方がおそらく多いのかなと思いますが、サンサーフ様の熱心なファンと見受けられる方も一定数いらっしゃって、全国各地から来館いただいている印象です。
あのぐらい説明をしないと全体が見えてこないのでは、という私の思いの現れです。
アロハシャツに関する本を一冊読んだ気持ちになるような、そんな構成を心がけました。
観光客が地上の楽園であるハワイに訪れて、日常と離された世界でこれからヴァカンスを過ごすんだ!
そんなすごく前向きでハッピーな気持ちに応えるべく、商品として需要があったアロハシャツですから、自然と「派手で華やかである」ことがプロダクトのDNAとして根付いています。
それが和柄にしても洋柄にしても共通するのかなと。
アロハシャツは着物が起源?
観光客がそれを好んだというのもあるのでしょうが、アロハシャツのルーツに日系人が深く関わっている立派な現れの一つだと思います。
このように日本の着物と共通する部分が多いアロハシャツですが、やはり南国の風土で生まれたファッションです。アロハシャツ独自の和柄を見つけるのも面白いと思います。
例えば、「百虎」という柄。
逆を言えば、非常にハワイっぽい着想の柄ともいえます。そんな日本にない匂いの和柄も楽しんでもらいたいですね。
ヴィンテージって、なんで大事にされているんでしょう
そんな中、ヴィンテージと呼ばれる古いものをあえて鑑賞する意味は、なぜあると思いますか。
技術的に、当時の最高の技術を使って作られていたマスターピースであれば、なおさらかもしれません。
今実現できない素晴らしい価値や美しいデザインが、そこで実現されているかもしれません。素材だったり技法だったりも、今は失われたものであるかもしれません。
「おお、昔のレーヨン生地ってこんなに味わい深いのか! 古いのに今にない感覚、なぜか新しいぞ!」。そういう見方ができます。
今も復刻もののアロハシャツはありますが、当時のオリジナルのものを、それが使われていた時代背景などを想像しながら見てほしいです。歴史的な意味も着こなせれば、それこそファッションの上級者ですよね。
ヴィンテージに宿る価値が見えてくると、ファッションの着こなしはもちろん、日常の暮らしもより本質的になり、より豊かな毎日を送れるのではないかなと思います。
そういった方が今回の展示を見て、「実はアロハシャツって知らないことだらけだった!」と思うぐらいの、価値変様を感じていただけることができるのであれば、学芸員冥利につきますね!
アロハシャツ好きにふらり見てほしい古着屋、10月に茅ヶ崎にオープン
ハワイに最も近い街、茅ヶ崎の駅から徒歩2分。茅ヶ崎市美術館の帰り道にも、ふらっと寄れる場所に古着屋がオープン。いろいろ面白いもの取り揃えています。
学芸員の方とちょっと寄り道のコーナー
今まで印象に残っているアート作品について、ずばり教えてください!(突然直球を投げてみる)
(我に返り・・・)
自分に大きな影響を与えた作品、大きなショックをもたらした作品というのは、5点ぐらいに収まるのかなと思っています。
作家でいうとネオダダイズムと呼ばれているアメリカの画家「ロバート・ラウシェンバーグ」や、日本の画家でいうと「長沢芦雪」とか・・・
昔絵を書いていたんですが、何となく自分と似た癖もあるような気がして。
それでデジャヴじゃないですけれど、子どもの頃に感じた記憶が蘇ってきたのを覚えています。
作品を追体験したような感覚になって、あたかも自分がなぞった線のような気がして。
色と色の間にある隙間の感覚とか、色の配置の具合とか、それに感動を受けて、全身に鳥肌が立ちました。
描きたいと思っても、こうは描けない。理想の自分の作品がコレであって、現実の自分の作品はそこに辿り着けない、、、という感覚でしょうか。なんか照れますね笑
美術館が好きになるのは、結局こういう個人的な体験がどこかにないと、また展示に行ってみようという気持ちになりにくいですよね。
体験の質や種類は人によって違うと思いますが、どんなことでもいいので美術館で個人的な「おおっ」という体験をたくさんしてもらいたいです!
「ゲルハルト・リヒター」、気になる方はウェブで検索!笑
というわけで、茅ヶ崎市美術館の皆さん、学芸員の月本寿彦さん、今回は取材にご協力いただき、ありがとうございました!
※取材協力:茅ヶ崎市美術館
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
この記事を書いたひと
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