人はなぜ、宮古島をアツく語る
こんな毎日が続いている。
ならばせめて気持ちだけでもバカンスを満喫したいではないか。
南国に行きたい。心身ともにリゾートを楽しみたい。あわよくば移住したりなんかして……。
場所はどこがいいだろう?
そういえばこのところ宮古島が盛り上がっているらしい。
「宮古島って、けっこういいよ」
「サイコーだった!」
「また行きたい」
それは、友人や知人を通じての感想であったり、宮古島好きの著名人がメディアでその魅力を紹介しているのを見たり等、出どころは様々だが、ほかのリゾート地よりも話題になる頻度が多い。
そして──往々にして彼らは「妙に熱っぽく」宮古島を語るのだった。
これはいったいどういうことなのだろうか。宮古島には私の知らない、どんなロマンが隠されているのか。とめどなく妄想があふれだす。きらきらと輝く海と空。珊瑚礁と戯れる熱帯魚。トロピカルフルーツが積み上げられたテーブルを囲んだ美女との宴。「うわ、ここは竜宮城か!」と見紛うような、めくるめく景色が広がっている。
そして気がつくと私は砂浜に倒れており、ポケットにはサーターアンダギーがパンパンに詰め込まれている──。
きっと、だれもがそんな期待を抱いているに違いない。
実際に宮古島の観光客も年々増えている。宮古島市の公式ホームページによると、2013年度に40万人そこそこだった観光客は3年後の2016年度には70万人を突破。そして2018年には114万にもの人が宮古島に訪れている。実に、3年間で実に約187%もの上昇率である。
もし、この計算でいくとすれば、2027年には東京都の人口を上回る2713万人の人が宮古島に訪れる。2045年にいたっては世界人口を遥かに凌駕する151億人もの人が宮古島に観光に訪れることになる。パリやロンドンといった名だたる世界の観光都市なんて目じゃない。宮古島がワールド・グレイテスト・アイランドとなる日もそう遠くないのではないか。
過熱する宮古島の人気に伴い、求人倍率もうなぎ上り
【6年連続で復帰後最高を更新/19年県有効求人倍率】
出典:宮古毎日新聞ウェブサイトより
沖縄労働局(福味恵局長)は1月31日、県内の有効求人倍率は2019年平均で1.19倍(前年比0・02ポイント上昇)となり、6年連続して本土復帰後の最高値を更新したと発表した。職業安定所別では、宮古所が1.69倍(同0.11ポイント上昇)で県内5地区中トップとなった。
2020年2月2日に、宮古島のカルチャーニュースを届ける『宮古毎日新聞』のウェブサイトに掲載された記事である。
沖縄県内(那覇・沖縄・名護・宮古・八重山)の職業安定所において宮古島の有効求人倍率が6年連続でトップになったと報じている。ちなみに、2019年における全国平均の求人倍率は、1.60倍(※1)であり、宮古島はそれを上回る。首都圏と比べると2.12倍と突出している東京都を除き、1.20倍の神奈川県、1.28倍の千葉県、1.33倍の埼玉県よりも高い数値を弾き出している(※2)。
※1:出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」。季節調整値で新規学卒者を除きパートタイムを含む
※2:出典:総務省統計局「労働力調査 長期時系列データ」。※季節調整値
求人倍率が高いということは、仕事の数が多く、よりたくさんの「働き手」を求めているということ。つまり、宮古島はいま大変に景気がいいのだ。そしてそんな「宮古島で働きたい!」と言う人も後を絶たない。仕事をする場所としても宮古島の人気は高いのだ。
なぜ宮古島はそこまで人を引きつけてやまないのか。検証していくことにしよう。
宮古島のことを簡単にまとめてみた
まずは、宮古島の基本情報から。
【宮古島の基本情報】
東京から約2000km、沖縄本島から南西に約300kmに位置する宮古島。宮古島をはじめ6つの島で構成されており、宮古島市の総面積は204平方km、人口約55,000人。亜熱帯海洋性気候に属し、高温多湿。年の平均気温は23度と四季を通して温暖な気候である。
【宮古島へのアクセス】
宮古島へのアクセスは沖縄本島(那覇)から、JTA・ANA・RACなどの航空便が約20便運行。東京(羽田)からも1日2往復の東京直行便(JTA・ANA)が運行。大阪(関空)からも、1日1往復の直行便が運行している。多良間島・石垣を結ぶ離島便、琉球エアーコミューター(RAC)もある。
【宮古島の名物】
宮古そば・宮古みそ・島バナナ・サトウキビ・サーターアンダギー
【宮古島のすごいコト・ベスト10】 ※ライター選
1位 めちゃめちゃキレイな海と珊瑚礁
2位 野菜がウマい!果物がおいしい!
3位 気候が温暖!過ごしやすい
4位 宮古そばや宮古みそなど名物いっぱい!
5位 原生林などダイナミックな自然環境
6位 今も独特の島ことば(方言)が残る
7位 台風が多く上陸するので家が頑丈!
8位 天女伝説などの言い伝えが残る
9位 沖縄県の記念物の馬「宮古馬」がいる
10位 地下に巨大なダムがあり地下水が蓄えられている
ここにひとつ補足させてもらうとすれば、プロレスラーの長州力も「宮古島が好き」ということである。
長州力は、試合で訪れた宮古島がいたく気に入り、その後プライベートでもたびたび足を運んでいるという。さらに、長州力たっての希望で、引退試合の花道になる試合会場のひとつに宮古島のリングを選んだ。
この、長州力のエピソードがユーザーにどれほどの求心力を持つのかは未知数である。もっと言えば、完全にスルーされるのかもしれない。もうちょっと、説得力のある文化人や、きれいどころの有名人を出すべきだったのかしらと反省している。ただ、平沢進作曲の「パワーホール」を入場曲とする革命戦士(長州力のニックネームである)が、肩入れするほどの魅力もまた宮古島にはあるということは重ねて伝えておきたい。
宮古島で人生がキラキラする理由
キラキラした人生と、ペタペタした人生であれば、だいたいの人がキラキラした人生を選ぶと思う。
「キラキラした」という言葉には、明るくきらびやかな雰囲気や輝かしい栄光といったニュアンスが内包される。一方、「ペタペタした」という言葉はどうだろう。なにかこう、泥足で廊下を歩いているようなうらぶれたイメージがある。もう何も考えられなくなって、餅の表面を手のひらでただ叩き続けている人のような、むなしい印象をおぼえる。
宮古島にふわさしいのは、当然前者である。なぜか。人生の喜びが凝縮されたような体験が、宮古島では働きながらにして体感できるということではないだろうか。宮古島は、断じてペタペタしていない。
【宮古島の求人とそこで働く魅力1】
もう都会には戻れない。身も心も開放される南国の海。
プライベートが充実していれば、仕事も頑張れる。ましてやそれが宮古島のような環境であれば……皆まで言わすな。
なにせ「日本一きれい」とも称される宮古島の海である。宮古島はほかの沖縄リゾートと比較してもあまり混雑しておらず、ゆったり過ごせるプライベート感もいい。東洋一の美しさと名高い与那覇前浜ビーチは、どこまでも続く白い砂浜と、透きとおったエメラルドグリーンの海とのコントラストがまさに南国。夜は夜とて星空も美しいというのだから最高だ。
● 夕焼けの美しい海
その名の通り「サンセットビーチ」や、宮古島の市街地からクルマで5分程度行けば辿り着くパイナガマというビーチは夕日の美しさで知られている。仕事の合間の気分転換にそんな絶景を拝めるとは……うらやましい限りだ。
ほかにも佐和田の浜(伊良部島)もサンセットがいい。展望台付近の橋の上からは、夕日に輝く水平線と大岩のシルエットが見ものと評判。長間浜のビーチで眺められるのは、空と太陽と海のほかになにもない景色。黄金色の水平線と、ぽっかりと浮かんだ夕日というロマンチックな風景に出会える。ただ日没後は、1m先すら見えない漆黒の闇に包まれるので注意が必要である。
● 多彩なアクティビティが楽しめる海
さらに宮古島の海には様々な楽しみ方がある。シュノーケリングができるのは、大規模なサンゴ礁が形成され、熱帯魚の数では宮古島で一番といわれる吉野海岸。透明度が高い遠浅の海で、いと可愛らしいカクレクマノミと出会える(かもれしれない)、新城(あらぐすく)海岸も人気のスポット。もしもあなたが「ウミガメといっしょに泳ぎたい」と願ってやまないのなら、「自然の水族館」と呼ばれるシギラビーチへ案内したい。
カヤックやスタンドアップパドルなどのマリンスポーツも楽しめるここは、数10もの珊礁、100種類もの熱帯魚、そしてウミガメも棲息するシュノーケリングポイントでもある。南国の澄んだ海でウミガメといっしょに泳げたなら、もはや思い残すことはなにもない。
【宮古島の求人とそこで働く魅力2】
モチベーション爆上がり!南国メシがうますぎる!
ある職業に就き仕事をすることを「○○でメシを食う」と言うように、労働の根源的な目的は「メシを食うこと」である。
「より美味い飯を食った方がええやん?」
唐突ではあるが、マハトマ・ガンディーの偉大な教えに則り、「非暴力・不服従・飯ウマ」をここに提唱しようではないか。宮古島名物の「宮古そば」。豚の尻骨を煮出した黄金色のスープを一口啜るや「お出汁の味が、やさしい」と、かのガンディーも言ったとか、言わなかったとか(←すみませんウソです)。
● このスープは、ずっと飲んでいられる【宮古そば】
宮古島といえば「宮古そば」。中華麺と同じ製法でつくられた麺に、鰹出汁に豚骨ベースの澄み切ったスープが美味! 具は豚の三枚肉(皮・赤身・脂身を三層になるようにスライスしたもの)に、豚のアバラ肉であるソーキ、モツ、野菜などがトッピングされたものが一般的。沖縄そばとも似ているが(というかほぼ同じ)、具を麺の下に隠す、「具隠れスタイル」が伝統的な宮古そばの特徴なのだとか。
トロトロと舌の上でとろけるソーキに、麺とよく絡むスープ…。「ワシこれ、ずっと飲んでられる」。
● 豚足 in おでん【島おでん】
どんな具を入れてもだいだいうまくなる。「おでん」自体が、包容力のある料理ではあるが、沖縄のおでんはさらに斜め上を行く。テビチといわれる豚足なんかも入れてしまう。それで、なにせ豚の足なので、見た目こそちょっとアレなかんじではあるが、これがどうにもウマいのである。煮込まれ柔らかくなった肉のほろほろと崩れる様は官能的ですらある。皿に具を盛り付けたあと、出汁にさっとくぐらせた菜っ葉をトッピングするのが沖縄のおでんスタイル。これにまた泡盛が合うのである。
● ちょっとヤシガニ食ってく?【激レア海の幸】
大阪ならタコ焼き。名古屋なら味噌煮込みうどん。どうせ食べるのなら、できるだけ地元でしか食べられないものを食べたいと思うのが人の常。なので都会から来た客人が「何か宮古島らしいものを食べたいなあ」とリクエストすれば、「じゃ、ヤシガニ食ってく?」と宮古島の人は言うかもしれない(想像 その1)。
ヤシガニは天然記念物のため、規制により宮古島でしか食べられない貴重な食材。食べ方はシンプルだ。茹でたヤシガニの身にコクのあるヤシガニ味噌をつけて食べるだけ。かくも美味である。ほかにも、「ハマダイ」「ノコギリガザミ」「夜光貝」など、南国らしいめずらしい魚介も食べられるとあって、魚好きには兎角そそられる島である。
●パッションフルーツは別腹【トロピカルフルーツ】
「甘い物は別腹」とは、内地の人も言うのだけれど、宮古島の人ぐらいになると、「パッションフルーツは別腹」と言うのではなかろうか(想像 その2)。
なんとなくセレブな響きだ。これも南国ならではの贅だろう。宮古島で食べられるフルーツは有名なマンゴーを筆頭に、パイナップル、ドラゴンフルーツ。時期によっては名前がかわいい島バナナや、パッションフルーツ、ピンポンマンゴー(一般的なアップルマンゴーより小ぶりで甘みが凝縮されたマンゴー)などにもありつける。
【宮古島の求人とそこで働く魅力3】
ここでしか体験できない仕事がある!
温暖な気候のリゾートアイランド・宮古島。ここには、南国ならではのバラエティ豊かな仕事がある。しかも、宮古島は求人倍率もぐんぐんと上昇中の“売り手市場”。「働ける場」がたくさん用意されているのだ。そう聞くと「ちょっと働いてみたいかも」と思う人もいるのではないだろうか。しかし離島であるがゆえにネックとなるのが距離。
実は、宮古島では住み込みの短期アルバイトの仕事も少なくない。数ヶ月滞在し、仕事をコンプリートすると帰りの交通費を出してくれるという太っ腹の会社もあるのだ。ほかにも「ありきたりな仕事はイヤ!」な人や、「観光やマリンレジャーに携わる仕事がしたい!」という人には、理想的な仕事環境といえそう。
● 海が仕事場!充実のマリンレジャー業界
宮古島はマリンレジャー天国。ダイビングやシュノーケリング、カヤックにジェットスキーといったインストラクターの仕事をはじめ、さまざまなアクティビティーのツアーガイドといった求人がある。海が好きな人にとってこのうえない環境で働ける。ガイドの仕事は英語ができるとさらに優遇されるらしい。どれも、一生の思い出に残るような仕事ばかり。「あの頃、オレは宮古島でさ……」といつか酒を飲みながら語り合いたい。
● 宮古島ライフを満喫できる農業補助
農作物の収穫補助の仕事なども面白そうだ。さとうきび畑での収穫補助や、葉たばこの収穫補助、マンゴー出荷アルバイトといった農家の求人があり、期間は2〜3ヵ月程度。住み込みの仕事で、家具や家電が完備されたシェアハウス型の寮を用意している農園もあり、全国各地からスタッフが集まる人気の求人になっている。平日は農園で汗を流し、休日はマリンスポーツを楽しむ。宮古島を存分に満喫できそうな短期アルバイトである。
● 宮古島でのテレワーク最高説
「働き方改革」の施策として、近年よく耳にする「テレワーク」。オフィスに出勤せず、自宅で業務を行うことができるので多様な働き方が可能になる。で、あれば「宮古島でも働けるんじゃない?」との妄想が膨らむことを禁じ得ない。
気候が温暖で、食事がおいしく、心身共にリフレッシュできる環境は、テレワークの楽園と言っても過言ではない。差し当たっての問題は、「最高すぎて仕事なんかしている場合じゃない!」と感づいてしまうこと以外は思いつかない。実際に島内ではサテライトオフィス誘致事業などの活動も進められているようだ。都心の企業に勤めながら、月の半分は宮古島で働くというワークスタイルもこれからの働き方の選択肢のひとつになるのかもしれない。
宮古島の求人はなぜ人気なのか おわりに
宮古島と仕事にまつわる話は以上である。
記事の特性上、「パラダイス感マシマシ」でお伝えしたが、実際には「そんないい話ばかりでもない」という意見もある。仕事はあるけれども首都圏に比べて低賃金であるとか、宮古島ならではの「しきたり」や「対人マナー」といった独自の島ルールがしんどいとか、亜熱帯海洋性気候に属するため台風がハンパない等々、移住した人の話を聞くとそれなりに大変なこともあるようだ。とはいえ、どこで働いても少なからずそういった問題はあるもの。
もしあなたが今、求職中なら「宮古島で働く」ことも1つの選択肢としつつ、まずは身の回りにある魅力的な仕事を探してみてはどうだろう。そして頑張ってお金を貯めたあかつきには──楽園・宮古島で思う存分バカンスを満喫しようではないか。
※こちらの記事の内容は原稿作成時のものです。
最新の情報と一部異なる場合がありますのでご了承ください。
この記事を書いたひと
ライター・クリエイティブディレクター。1974年兵庫県生まれ。古着・ガラクタ好き。都内広告制作プロダクション勤務を経て2013年に独立。リクルート『SUUMO』メディアにおける大手不動産会社のクリエイティブをはじめ、幅広いジャンルのライティングを手がける。コメダ珈琲に行くとだいたい居ます。